台風15号が関東に接近した21日、
はじめて帰宅難民というものになってしまいました。
就業時間が終わった17時30分。
すでに何本かの鉄道路線は運休していましたが、
私が帰宅に利用する地下鉄はまだ動いていました。
「自宅近くの駅まで、雨風の影響を受けない地下路線なので、運休はないだろう」
そう判断して、すぐに会社を出ました。
また、インターネットのニュースに、観測史上もっとも低い中心気圧を記録し、
大きな被害をもたらした1979年の台風20号では、
「営団地下鉄(現・東京メトロ)以外の鉄道がすべてストップし・・・」 と書かれてあったことから、
やはり地下鉄は台風の影響を受けにくい、と考えたことも帰宅を決めた理由でした。
しかし、会社の最寄駅から地下鉄に乗って二駅め。
電車はホームに停車したまま、運転見合わせとなってしまいました。
理由は、山手線と交わるターミナル駅が、
運休しているJRや私鉄からの乗客であふれかえり、
地下鉄の駅構内も危険な状態なので乗り入れできないということでした。
風雨ばかりに気を取られていたので、混雑で運休するとは思いもしませんでした。
確かに、今の東京圏の人口は、1979年頃に比べれば格段に増加しています。
バブル時期の宅地開発で、東京近郊の新興住宅地に住む人々は激増しました。
しかし、そう気づいたときには、もうあとの祭りです。
「駅の混雑が解消されるまで運転は見合わせる」 との構内アナウンスが流れます。
台風では、地震のときのように徒歩で帰るわけにもいかないでしょうから、
山手線やその外側にのびる私鉄各線が動かなければ、
駅の混雑は解消されようもありません。
動かない電車の中、持っていた単行本も読み終わり、
万一に備えてバッテリーを温存するため、携帯電話の使用も最小限にすると、
あまりにも暇なので、いろいろなことを考えてしまいます。
・荒川が氾濫して、あふれ出した水が地下に流入してきたら・・・
・・・このまま地下構内いては、とってもやばい。
・停電で構内の明かりがすべて消えてしまったら・・・
・・・復旧するまで動かずにじっとしているほうが安全。
・洪水と停電の両方が起きてしまったら・・・
・・・たぶん死んじゃうかも。
荒川が氾濫すると、地下鉄が水路となって東京の地下はあっという間に水没する。
そんな記事や番組をどこかで見たことを思い出し、
これから台風が通過するという時間帯に会社を出たことを、ちょっと反省したのでした。
それから約二時間後、何事もなく電車は運転を再開し、
自宅の最寄駅に着いたときには、もう空には星が出ていました。