ふつうは初対面のときに名刺交換した後は、
異動や組織変更でもなければ、新しい名刺を渡す機会はありません。
そうして何年間も同じ担当者と取り引きをしていると、
「相手がいつの間にか昇進しており、
そうとは知らずに旧い役職で呼んで気まずい思いをした」
などという人は多いのではないでしょうか。
「役職に敬称をつけるべきか否か」とか、
「敬称は『殿』とすべきか、『様』とすべきか」
などといった議論はよく見聞きします。
しかし、社外の相手の氏名に役職をつけること、
あるいはつけないことの是非についての議論はあまり見かけません。
そもそも社外の相手に対し、
役職で呼ばなかったり、役職名をつけないことは失礼なのでしょうか。
もちろんビジネスマナーでは、宛名を書くときには、
「組織名+役職+氏名+敬称」とすることが正式とされています。
お礼状や招待状など、あらたまった手紙やメールを送る場合は、
宛名の組織名や役職名に不安があれば、相手の会社に電話などして、
確認してから発送する手間を惜しむべきではありません。
しかし、日常の担当者同士のやり取りなどであれば、
相手の名前を口に出して呼んだり、メールや書類の宛名では、
役職名をつけないほうが良いと考えます。
相手が昇進していたことを知らず、
旧い役職を呼び続けてしまう可能性を考えたら、
初対面の時から、声に出して呼ぶときは「○○さん」、
宛名に書くときは「××株式会社 △△部 ○○ ◇◇様」、
などとしておいたほうが、のちのち失礼もありません。
もちろん社内でもこの方法は通用します。
総務の仕事などでは、相手は自分のことを知っているのに、
自分は相手のことをまるで知らないということが頻繁にあります。
そんなときは、うろ覚えの役職で相手を呼ぶよりも、
思い切って分け隔てなく「さん」付けで呼んでしまったほうが安心です。
長年この方法を続けていますが、
社内外において、「無礼だ」と言われたことはありません。
ところでときどき、
「○○部長さん」などと、役職に敬称をつけて呼ぶ人を見かけます。
特に、電話を取り次いでもらうときなどに、思わず言ってしまうようです。
もちろんこれは夜のお店の世界での呼び方です。
注意したいものです。