くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

ある日、病は突然に!(6)~セカンドオピニオン

2014-04-29 23:22:22 | 健康のためなら死んでもいい!?
いわゆる世間でスーパードクターと呼ばれる眼科医をインターネットで探し、
これまでの診療経過をメールで送ると、
「いつでもいらっしゃい」とのありがたい返事をもらいました。
そこで、前の病院の診療記録を作成してもらう期間も待てず、すぐに受診しました。

視力、眼圧、眼底検査、光干渉断層検査、視野検査など、
ひととおりの基礎検査を終えて下されたセカンドオピニオンは、
私の予想を超えた、かなりショックを受ける診断でした。

「前の先生の診断を否定するつもりも、脅かすつもりもありませんが・・・」
厳しい表情でそう前置きした医師は、「私はもっと悪い状態だと思います」と言いました。

「これは静脈分枝閉塞ではなく、
 静脈の根元の部分が半分閉塞している半側網膜中心静脈閉塞症です。
 視神経乳頭に新生血管が発生していることからもそう判断します」

要するに、静脈の枝分かれした毛細血管が閉塞して出血したのではなく、
大元の静脈の根元部分が半分閉塞したため、眼底の下半分に広く出血したと言うのです。
完全に閉塞しなかったのは幸いでしたが、今後は新生血管が増殖し、
新生血管緑内障を併発して失明するリスクもあると言います。

「網膜静脈分枝閉塞症」と「網膜中心静脈閉塞症」とでは、
静脈の閉塞場所が異なるだけでなく、治療の予後に雲泥の違いがあります。
「中心静脈閉塞」「新生血管」「緑内障」「失明」など、
インターネットで見た恐怖の単語が医師の口から次々に飛び出します。
内服薬で様子見するレベルではないため、
次の三種類の治療方法と、それぞれのメリット・デメリットが説明されました。

①レーザーによる光凝固
②アバスチンの硝子体(眼球)注射
③硝子体切除手術

もともとこの病院に来たのは、
前の病院で硝子体切除手術しかないと言われ、
その前にできる治療はないのかどうかのセカンドオピニオンをもらうためでした。
その結果、前の病院の診断より病状は悪いと診断されれば、
できることはすべて試してみるしかありません。

その日のうちにレーザーによる光凝固を行い、
後日、アバスチンの硝子体注射を行うことに決めたのでした。




ある日、病は突然に!(5)~一か月後検診

2014-04-20 23:18:28 | 健康のためなら死んでもいい!?
一か月前にステロイド薬(ケナコルト)を注射し、
一週間で黄斑浮腫は三分の一になっていたものの、
その後、変視症(視界の歪み)と小視症(小さく見える)は、
ほとんど改善しませんでした。

そして不安を抱え、一ヶ月後検診の日を迎えました。

結果は、ステロイド薬を注射した一週間後と変わりなし。
黄斑浮腫は三分の一の大きさのままでした。
どうりで自覚症状にも改善がみられないわけです。

正常な右眼に比べ、
左眼で見るものは三分の二ほどの大きさに見えるため、
まるで極端に左右の度数が違うメガネをかけているよう。
眼精疲労が激しく、集中力も極端に落ちて、
仕事の効率もモチベーションも著しく低下してしまいました。

主治医は「う~ん」とうなってカレンダーを見つめ、
「まだ患部に薬が残っている時期なので、もう一か月様子を見ましょう」
と、また経過観察の診断です。

そして、
「一か月たってもこの状態なので、浮腫が今後自然に消える可能性は低いです。
 もっと強い薬(ルセンティス)も打てますが、手術も考えておいてください」
と、突然の手術宣告を受けてしまいました。

手術とは硝子体手術のこと。
眼内を満たしている硝子体というゼリー状の物質を切除し、
還流液という体内の水に置き換える手術です。
主治医が眼球の断面模型を使って説明するのですが、もう上の空です。
もっともこの一か月間、自分の病気について、
インターネットや書籍で調べるだけ調べつくしていたので、
主治医が説明する以上の知識が頭に入っていました。

振り返ってみれば、
初診で一か月間の経過観察になり黄斑浮腫が拡大、
ステロイド薬を注射して一か月間の経過観察になり、
充分な効果が出ていないので、いままた一か月の経過観察。
自分で勉強した限りでは、症状からみて教科書通りの対応でしたが、
すべて後手後手、裏目裏目に出ています。

「こんなんじゃ、このまま任せておけない」
そう考え、「セカンドオピニオンを受けたい」と申し出たのでした。

同じ専門医であれば、
自分が専門とする医療知識のレベルに大差はありません。
大きく異なるのは、これまでの経験に基づく判断力です。