くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

「古代ギリシャ展」に行ってきました

2011-07-09 23:59:59 | お出かけ

去年から楽しみにしていた「大英博物館 古代ギリシャ展」が、
いよいよ今月から東京で開幕しました。

「古代ギリシャ展 公式HPはこちら」

    
今回はフィギュア付限定前売り券を購入したほどの気合の入れよう。

先行して3月から始まった神戸展では、
3ヶ月間で10万人以上の入場者が動員したことから、
今回は東京展の開幕後、最初の土曜日に出かけることにしました。
イベントというものは、どんなものでも会期の後半、
特に閉幕日が近くなればなるほど混雑するものですから。

  
会場は上野の国立西洋美術館。(画像クリックで拡大)
開館(9:30)と同時に入場したので、比較的ゆったり観覧できました。

展示は大理石像やブロンズ像、アンフォラ(陶製壺)を中心にして、
「①ギリシャ神話の世界」「②人の身体美」「③オリンピアとアスリートたち」
「④人々の暮らし」の4部構成になっています。

  
今回の企画展の目玉は、日本初公開となる「円盤投げ」です。
均整のとれた身体、躍動する筋肉、浮かび上がる血管。
その精緻な表現技術は、当時の息遣いまでも現代に伝えるようです。

鍛え抜かれた男性、やわらかくたおやかな女性。
その美しい身体美を表現した彫像の数々に目を奪われます。

しかし、「人類史上もっとも美しい」とも評され、
その後の西洋文明の「美」のお手本となったギリシャ美術ですが、
「円盤投げ」を含め、展示された大理石像の多くは、
ローマン・コピーと呼ばれる古代ローマ時代のものです。

元となる古代ギリシャの彫像は、紀元前400~前200年頃に作られました。
その後、ギリシャはローマ人によって征服されてしまいますが、
征服者たちはギリシャ美術にたちまち魅せられ、競って買い求めたため、
数多くの複製や変形が1~2世紀頃に製作されたということです。

これが、
「ギリシャはローマに武力で征服されたが、  文化でローマを征服した」
と言われるゆえんです。

複製の元となった古代ギリシャ時代のオリジナルは、
そのほとんどが破壊されて残っていません。
ブロンズ像は溶解されて武具に作り変えられ、
大理石像はキリスト教徒やイスラム教徒によって、
異教の偶像としてことごとく破壊されてしまったそうです。

したがって、私たちは古代ローマ人のおかげで、
現代にギリシャ美術が伝えられ、見ることができたとも言えます。

  
サテュロスから逃れるニンフ像(左)とゴールドの耳飾(右)
2000年も前に、どうやって作ったのかと思うほど緻密な技術です。
(ともに展示図録から。展示場内は撮影禁止です)


文献に基づいて同定されているオリンピアの復元模型
こういう展示にもわくわくしてしまいます。

いつも古代ギリシャ展や古代ローマ展を見て思うのですが、
当時に比べて科学技術は格段に進歩し、文明はめざましく発展しましたが、
文化や芸術、人々の精神は、ほとんど変わっていないのではないでしょうか。

結局、私たちは独創的であると思っていても、
その影響から離れることができていないのではないのでしょうか。

  
家族へのお土産にオリジナルクッキーを買いました。