大黒さんの金魚鉢

黒金町の住人の独り言は“One”

One voice , one mission , one family

協同組合の存在意義(教育が命)

2014年07月10日 | 労働者福祉
協同組合は資本主義の弊害を正す役割を持つ。
資本主義の弊害とは18世紀に見たような資本家の搾取であったりするが、現代はどうであろうか。
「連合評価委員会」や「労福協の理念と2020年ビジョン」にも指摘があるように、私たちは新自由主義の暴走を許してしまった。
ふたつの「指南書」ではその原因を探り、私たちが進むべき道筋も示しているが、その具体策の実現にはまだ至っていない。

協同組合が市場経済万能主義への対抗勢力として重要な役割を期待されていることは事実である。
それは逆説すれば市場が完全であり健全であれば協同組合は不要であるということに繋がる。
実際には市場の失敗があるから協同組合の存在意義があるということだ。
しからば市場の失敗とはなにか、そこを深く追求しないといけない。
ひょっとしたら現代の協同組合は、資本主義と同様に市場の失敗に加わっているかもしれないからだ。


賀川豊彦について学び始めたが、実に面白い。
彼の演説もわかりやすくて参考になる。

共済事業に強い思い入れを持つ彼には強い意志と明確な理念があった。
それは「共済事業の根本には、社会還元機能がある」というもので、だからこそ「協同組合は国家の背骨である」とまで言い切れたのだろう。
彼の演説を聞いてみよう。

「…協同組合は国家の背骨です。
その協同組合の背骨が生命共済です。
人間を国家に見立てると頭脳は政府です。
心臓、胃袋、肺臓、筋肉などがそれぞれの機能を持った協同組合です。
胃袋は消費組合、筋肉は生産組合…つまり生産、販売、購買、信用などの協同組織で人間の体という国家はできているのです。
そこへ生命共済が新たに入ってきました。
生命共済が入ったことで人間の背中がピンと立ったのです。
生命共済のない協同組合はクラゲのような軟体動物ですし、協同組合のない国家もグニャグニャの軟体動物です。
生命共済は協同組合の背中をピンと立て脊髄動物にかえました」

農家から流れ出る金は農家に還元させる!という彼の説得力ある言葉に農協共済は急成長を遂げた。
その共済事業が株式会社化されようとしているが、農協がなんの抵抗もできない現実はどこから生まれたのだろうか?
バークレー生協の教訓とともに真剣に考えねばならない事例だが、明確なことがひとつだけある。
それはすべてが人の手によるものだということ。
だからこそ教育が命なのである。
賀川豊彦の伝道と普及のための地方行脚はリーダー育成の理想的なOJT教育だった。
しかし組織が大きくなって快適なビルが建った頃から、リーダーはマネージャーに衣替えしてしまった。

一万歩クラブ特別企画「賀川豊彦の足跡を訪ねて」では、御殿場にある「高根学園」を訪ねる予定だ。
昭和初期、地元の若者たちの強い願いに応えて、賀川豊彦はこの地に1ヶ月滞在し夜学の教室を開いた。
これが契機となって、教育の大切さを知った若者たちの力で「御殿場農民福音学校高根学園」がつくられていく。
その記念すべき場に立って、在りし日の賀川豊彦のパワーを少しでも貰ってこようと思う。