クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

GWはさきたま古墳群の“周辺”古墳をハシゴする?

2024年05月01日 | 考古の部屋
4月29日午後、編集者のY氏と打ち合わせ予定だった。
午前に図書館へ足を延ばし、ひと作業したいところだったが、妻は仕事の関係でどうしても職場に行かなければならないという。

Eテレをつけると、劇場版「おしり探偵」が放映されていた。
シリアティ教授が登場する作品である。
休職から職場復帰する直前、子ども2人を連れて観に行ったことがある。
あの頃娘は保育園児だったが、いまや小学生である。
月日の流れは速い。

初夏と言えば古墳。
さきたま古墳群周辺の古墳を訪ねることにした。
子どものテンションは無視して、“八幡山古墳”(埼玉県行田市)へ足を運ぶ。
周知のように、石室がむき出しになっており、関東の石舞台と言われる古墳である。

過去に何度か子どもを連れてきたことがあったが、いかんせん幼すぎたらしい。
初めて目にするテンションで石室の中に入る。
重機もない時代に、よくこれほどの石室を組み立てたものである。
緑泥石片岩を運搬するのも大変だっただろう。

八幡山古墳へ行ったついでに“地蔵塚古墳”(同市)にも足を延ばした。
石室に線刻画が施されていたことで有名な古墳だ。
埼玉県立歴史と民俗の博物館でも復元された線刻画が展示されている。
保存・保護のため現物を目にすることはできないが、墳頂に建つ地蔵堂の前で手を合わせた。

その後は小見真観寺古墳(同市)へ行く。
いつ見ても大型前方後円墳に目を奪われる。
石室の入り口を目にするが、中に入ることはできない。

ここを訪問したのは、拙著『歴史周訪ヒストリア』(まつやま書房)を執筆したとき以来だったか。
あの頃、息子は生まれたばかりで、娘は影すらなかった。
三十代半ばで、毎日飲むクスリは少なく、眼圧を下げる目薬もさしていなかった。
古墳はゆっくりと悠久の時の中にいるように見えるのに、
人が身を置く時間の流れはとても儚く感じられる。

お昼は羽生のうどん店へ向かった。
ついでに“毘沙門山古墳”(同県羽生市)を目にする。
うどん店は生憎の休みだったが、4つの古墳をハシゴできたことに良しとしよう。

最初は乗り気ではなかった息子は、八幡山古墳の石室でテンションが上がっていた。
一方、娘は上がりも下がりもしていなかった。
いや、父に無理矢理付き合わされている感じだったか。
年齢的なものではなく、娘は歴史に興味を持つことはないかもしれない(たぶん)。

ちょうどいい時間になったから、帰路に就く。
一気に巡ったせいか、いささか古墳疲れがした。
このノリで群馬県や栃木県の古墳にも足を延ばしたいものである。
あるいは奈良県の古墳へも……。

午後に会った編集者Y氏とは、地域資源としての埼玉県内の歴史の話をする。
書くものは豊富にある。
ある人は毛呂氏のこと、ある人は秩父事件の巡査の視点、ある人は小説を書き進めているらしい。

文学の話題を少々、昨今の出版と書店事情についても少々。
4月29日付の「埼玉新聞」では、書店が1軒もない自治体について取り上げられていた。
つまらない時代になってきたものである。
本を読むから書く。
書くからさらに本を読む。
そんな表現者の創作バランスは崩れていないように思えるが、環境の方が壊れてきているのかもしれない。


※本記事に登場する古墳は、拙著『歴史周訪ヒストリア』(まつやま書房)で取り上げた。
 興味を持たれた方はご参考にしてください。

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