こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『不見の月 博物館惑星II』菅浩江

2020-02-17 19:46:29 | 読書感想
 
今回の主人公は、博物館惑星に赴任したばかりの新人自警団員・兵頭健。
1メートル四方の黒い立方体を展示したり、盲目の手厳しいミュージカル評論家アイリス・キャメロンの護衛に手こずったり、博物館惑星創成期のいわくつきの手回しオルガンの行き先にもめたりと、色んな問題に悩まされます。

全体としては、警察官と人物データベース〈点呼(ロールコール)〉をつなぐ〈ガーディアン・ゴッド〉が、未だ予測できない〈なぜ(ホワイ)〉を把握できるように〈ダイク〉こと〈ディケ〉に、健を通じて人心を学ばせようとしているところが興味深いです。

また、健のどうやら犯罪歴のある叔父についても気になります。

あと、発売されてすぐ購入したくせに、読むまでに1年近くかかってしまったことが、何とも情けない限りではあります。
面白いのにねえ。
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『活版印刷三日月堂 空色の冊子』ほしおさなえ

2020-02-13 20:02:40 | 読書感想
 
西部劇の本を出すはずだった片山さんの在りし日の出来事。
弓子の母・カナコが亡くなってそれほど経たない頃の父・修平の思い。
弓子が再び父親と暮らす前に、祖母と作ったオリジナルのレターセット。
カナコと学生時代にバンドを組んでいた裕美の、日常生活における葛藤。
近所の笠原紙店から毎年依頼されていた和紙カレンダーと和紙の年賀状の、祖父による三日月堂最期の印刷。
震災の余波で、オフセット印刷が不可能となった、弓子がかつて卒園した幼稚園の記念冊子と、祖父の行動。
そして、家族を亡くして三日月堂に帰ろうと引っ越し支度をしていた弓子に、偶然再会した大学の同級生・唯。

過去に出会い、様々な形で交流していた人々と再び出会い、支え合い、刺激し合い、補い合う事で、みんなが新たな一歩を踏み出す。
そんな素敵な連作短編集でした。
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『妖たちの祝の品は 妖怪の子預かります9』廣嶋玲子

2020-02-12 20:09:14 | 読書感想
 
妖怪の医者・宗鉄と娘・みおが往診に周るところから物語は始まる。
シリーズでおなじみの妖怪たちを診ていくうちに宗鉄が知った、みおの決心とは?

今回は6つの短編から成り、あの事件の前後に周りで起きていた事が語られます。

弥助の暑気あたりから、思いがけず千弥と弥助の出会って間もない頃のエピソードが知れたり、そもそもうぶめが子預かりをするきっかけとなった出来事とそれからつながる未来が楽しめたり、巻末も、初音姫の出産祝いの品を選ぶあやかしたち、それぞれの個性や考え方、思いが何とも微笑ましく、愛しく感じられたりと、とても面白かったです。

ただ、千弥の記憶の欠如が、とても悲しくもありますね。
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『本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません 第三部 領主の養女III』香月美夜

2020-02-11 20:15:23 | 読書感想
 
前回ハッセの神殿建設の時に、本来なら専属のインゴを通して木工協会に話を持って行かなければならないところを、マインの無知とスピードを優先するためにギルド長を通して行った事で、インゴの専属としての立場が微妙になってしまった。

また、ハッセの町長の処分をマインが行う事になったが、それはとても残酷な光景だった。

一方識字率向上のため、貴族院入学前の子どもばかりでなく成績不振な護衛騎士の教育まで行い、グーテンベルクの職人たちと印刷機の改良にも余念がない。

まず、マイナス面の感想としては、町長の処分において、とても胸が悪くなりそうな光景が想像され、つらく感じました。

逆にプラス面では、識字率向上のための絵本販売で、財産の少ない下級貴族の子どもにも上級貴族と変わらず読め、それでいて遠慮しなくてすむアイディアを考え出したところが、マインさすが!と思いました。

採集に関しては、ライレーネの蜜を採るにあたり、とても幻想的な光景が繰り広げられたところが、読んでいてとても楽しめました。

次の採集はリーズファルケの卵だそうですが、どのような冒険が待っているのかが楽しみですね。
もちろん、グーテンベルクの今後の成果も期待しています。
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『ひとり旅日和』秋川滝美

2020-02-10 19:52:10 | 読書感想
 
梶倉日和は、東京都内に住む24歳。
大学卒業後、小宮山株式会社に就職して2年目の会社員。

人見知りがひどく、なかなか笑顔もできず話そうとしても声が小さくなってしまう為、就職活動の面接で不採用になってきたところを、社長の小宮山が拾ってくれたようなものだった。
そんな中、直属の上司である仙川が小宮山に敵意を抱いているために、日和を『目の敵』にして説教する事が度々だった。

ある日、小宮山に呼ばれた日和は、仙川の八つ当たりについての今後の対応を考えている事を話してくれた上で、気晴らしにひとり旅をすすめてくれた。

思い立ったが吉日と、終業後ガイド本を探しに書店に立ち寄ったところ、ひとり旅の達人で職場の先輩の加賀麗佳に会い、アドヴァイスをもらう事ができた。

片道2、3時間の日帰りから始めたひとり旅ならではの行き当たりばったりのお気楽旅。
この物語では、パワースポット巡りと美味しい物がメインテーマでしたが、ひとり旅は自分のテーマで好きなペース配分で動けるところが心身ともに楽なところですよね。

秋川さんらしく、美味しいお酒と食べ物がたくさんでしたが、その中でも福岡の「筑紫もち」
話の中では名前は出ませんが、多分、これだと思うんです。
発祥の地の方が美味しいかと思えば、福岡のは違った美味しさという評価でした。
最近の私は予算の関係で旅もできませんが、福岡の旅で出てきた名前の挙がっていない店を探してまわるのも面白いかもしれません。私には近場ですから。

面白かったですよ。
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