こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『ロイスと歌うパン種』ロビン・スローン

2019-10-11 19:51:35 | 読書感想
 
プログラマであるロイス・スラ―リーは、転職した会社でストレスによって栄養補給ゼリーしか受け付けなくなっていた。
しかし、<クレメント・ストリート・スープ・アンド・サワードウ>のスープとサンドウィッチは、その不調である胃に、なんの問題も無くおさまった。

ベオレグとチャイマンという兄弟が営むその店は、法律には反するが、食べる上では問題は無いという。
そうは言いつつも、ある日、べオレグの方が隠れているのは嫌で、本物のレストランを開きたいと考えて、フランスシスコを出て行った。
ロイスにスターター(発酵種)を残して。

ロイスがそれを使ってサワードウを作り始め、周りの者に配っているうちに味が評判になり、もう一つの仕事になり始めた。

初めは、歌ったり焼き上がりに笑顔が見られたりと、感じの良い発酵種だったのが、ああなるとは思いませんでした。
まあ、どんな生き物も、弱肉強食の元にありますからねえ。
しかも、ああいう着地点に落ち着くとは!
とても面白く、意外性のある物語でした。

解説の池澤春菜さんもパンがお好きらしいのですが、私も、日本人好みのモチモチしたパンばかりでなく、100%ライ麦パンにバターをつけてハムを挟んで食べるのも大好きなので、親近感を感じます。
ただ、あいにくサワードウは食べた事がないと思うのですが、一度、いただいてみたいです。
酸味のあるパンかー、興味深いですねえ。
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映画『蜜蜂と遠雷』

2019-10-09 19:52:28 | 映画
観終わってみると、本当のコンサートか音楽コンクールの現場にいるような音楽への浸り方をしたように感じました。

4人の奏でる曲それぞれが個性的で、いかにもその人が演奏しそうな音だと思えました。

中でも『春と修羅』のカデンツァ。
私としては「あめゆじゅとてちてけんじゃ」の明石の曲と、大きくて華やかな亜夜の曲が好きです。
一方、技巧的なマサルは苦手です。
塵は、外見からは想像もつかない曲でしたが、曲のタイトルからして納得できました。

インスパイア―ド・アルバム、できれば4枚揃えて聴きたいです。

あと、自分で意外だったのは、プロコフィエフ。
私、ピアノ協奏曲2番も3番も、好きみたいです。
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CD『アルカン・ピアノ・コレクション2《協奏曲》』森下唯

2019-10-04 20:39:05 | CD・DVD等
 
やはり、買ってしまいました。

相変わらずきらびやかなアルカンさん。
第8番嬰ト短調は、練習曲と言いつつ28分03秒という長さ。
ピアニストになるって大変なのねーという感想を、しみじみ感じました。
もちろん、長さだけでなく、難しいらしいですし。
だからこそ、華やかになるのでしょうか?

そうそう、最近、このシリーズの5枚目が出たそうですが、私が揃えられるのは、いつになることやら(って、揃えるんかいっ!(笑))

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『店長がバカすぎて』早見和真

2019-10-04 19:59:11 | 読書感想
 
<武蔵野書店>吉祥寺本店の書店員・谷原京子は、今日も店長・山本猛の無意味に長い朝礼に、苛立っていた。
他にも無神経さなど、色々挙げればキリがないのだが、谷原が何よりも許せないと思っているのは、彼がたいして本を読んでいない事だった。

久世番子さんの本のおかげで、本屋さんの内情が、多少なりとも分かってきたのですが、この本も、出版社の営業さんや小説家などが、かなり個性的で面白いです。

中でも、お客さんに対する評がね(笑)
私も、書店員さんに色々と思われているんだろうなと、考えてしまいます。

あと、表紙の店長さんらしき人物。
内容を読んだイメージからすると、もっとすすけながらも油っぽい人というのを想像していたのですが、意外と普通でした。
内面で外見を判断してはいけませんね。ごめんなさい。
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『おじさんのトランク 幻燈小劇場』芦辺拓

2019-10-03 19:52:49 | 読書感想
 
TVに出演し、台詞は多いものの、名も無いチョイ役ばかりの年配の役者。
そんなベテラン役者の主人公が、とある劇団プロデューサーに、以前話した事がある主人公の親戚だったかのおじさんを主役にした芝居を打診される。

話したかもしれないが、主人公自身も、かのおじさんについてあまり知らないと言うと、自分で調べれば役作りもできるし一石二鳥だと、強引に依頼して去っていった。

調べていくうちに、親戚などの集まりにヒョイと現れる独り身らしきこのおじさんは、鍛冶町清輝という名前だという事が分かり、たまたま、彼のトランクを譲り受ける運びとなった。
更に、おじさんと日本や世界との暗部にも触れ、自分自身の土台さえも揺らぐ心地になる。

おじさんの冒険は、楽しい中にも一抹の不安と危険が伴い、ハラハラドキドキしながら読み進めるうちに、主人公のおじさんに対する複雑な気持ちが強調されるような気さえしました。

中でもバビラリア・アモエータは幻想的な印象を感じ、ダガーについては暴力的な要素で印象に残りました。
面白かったです。
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