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こっぱもちの部屋

http://blog.livedoor.jp/kisaragi12yukari20/「こっぱもちの読書日記」

『抱卵』堀真潮

2017-02-11 19:35:52 | 読書感想
第一回ショートショート大賞を受賞した堀真潮さんのデビュー作の本です。

美しい話、醜い話、怖い話、ほのぼのした話など、結構バラエティに富んでいます。

どれが特別と言えるのかは、その時の気分で違うので難しいのですが、
冒頭の井戸に憑りついた女中の霊への対応を描いた「井戸の住人」は、意外とほのぼのしていますし、
受賞作の「瓶の博物館」は、幻想的な美しさを持っていますし、
「クリスマス・プレゼント」は、タイトルからは想像できない内容ですし、
表題作は、主人公自身もさることながら、その恋人について深く考えさせられます。
ダジャレから来ている「かたおもい」は、笑えます。

なかなか楽しめるショートショート集だと思います。
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『日曜は憧れの国』円居挽

2017-02-10 19:37:00 | 読書感想
内気で引っ込み思案な中学二年生・暮志田千鶴は、母親に言われて四谷文化センターの特別料理教室に向かった。
何でも、色々な講座を体験できるトライアル5コースというものに申し込んだらしい。

教室で同じグループになったのは、元気な小型犬みたいな先崎桃。
お金好きのちゃっかり者の神原真紀。
そして堅物の優等生の三方公子。
みんな中学二年生だった。

今回のテーマは、様々な肉、野菜、米、カレールーをじゃんけんで勝った者が選んでいくというものだった。
そんな中、三万円の盗難事件が発生。
近くにいた千鶴たちが真っ先に疑われたが、講師がその場で三万円を立て替えて丸く収まったかに見えた。
しかし、一時的に疑われた真紀たちは腹の虫が収まらず、四人で捜査・推理を開始した。
果たしてその真相とは?

真相を突き止めたあと、四人は多少ギクシャクしながらも一緒の講座を受け、その度に発生する謎に挑みます。
受講するごとに、その講座から刺激を受けるのはもちろんのこと、メンバーお互いの良い面から影響を受けて成長するところに好感が持てました。

私も、引っ込み思案な面はありますが、千鶴のような本当の思いやりが持てるようにはなれていません。
また、公子のように小説を書きたいと思えれば本好きとしては理想的なのでしょうが、そこまでは思えません。
確かに、キャラクターの背景をでっち上げて演じるのをSF大会のある企画でやって楽しかった思い出はありますし、周囲の皆さんも、面白がって名刺交換をいっぱいして下さったのです。
ただ、ゼロからは難しそうですねえ。
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『メビウス・ファクトリー』三崎亜記

2017-02-07 19:28:38 | 読書感想
全ての人が、ME創研という一つの工場で働いている町。

家族で、子どもの頃に暮らしていたこの町に戻って来たアルト。
工場で完成されたP1というものを鑑定する鑑定士に、町の住民として初めて選ばれた遠山。
P1を町の外に出荷する役目を担う瀬山。
誰よりもME創研のために働いていると自負する日比野。

閉鎖的で、どこか狂信的な新興宗教めいた発言と行動をする、この町の人々全てが不気味であり、謎です。
結末に至っても、一体、この町の人々の生活を支えるもの全てが、何を対価に得られているのかが分からず、一層不気味に感じました。
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再読『メガロマニア』恩田陸

2017-02-06 19:41:29 | 読書感想
2009年5月に出版された恩田さんの中南米への旅エッセイと、いくつかの短編が収録された本です。

マヤ文明、インカ文明、アステカ文明、アンデス文明、これら中南米の様々な遺跡を、恩田さんは巡ってこられました。
過去ばかりでなく、現代の土地の風土・住人・気候などの違いを体験され、色々と感じられることもあったようです。

また、この旅で新たな小説のインスピレーションを得られればという思惑もあったようですが、遺跡に圧倒されて逆に頭が空っぽになってしまわれたとか。
さぞかし素晴らしく存在感のある遺跡なのでしょう。

当時の私は、これらの情報を受け止めて消化する精神的時間的余裕がほとんどありませんでした。
今でも自信はありませんが、今回、恩田さんが直木賞を受賞され、図書館でこの本に再会したのも何かの縁と思い、再読しました。

同じように感じるには、現地に行くのが一番なのでしょうが、以前よりは恩田さんの言葉をより深く感じ取れたのではないかと、勝手に思っています。

小説は一通り読んだよ、という方も、こちらもぜひ!
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『Visionsヴィジョンズ』宮部みゆき 飛浩隆 木城ゆきと 宮内悠介 円城塔 神林長平 長谷敏司

2017-02-05 19:31:26 | 読書感想
大森望さんのあとがきによると、そもそもコミック化を前提としたSFアンソロジー。

宇宙から来た精神体によって、人に別の姿を見てしまう少女を描いた「星に願いを」
先日、『自生の夢』で感想を書いた「海の指」
その物語にインスパイアされて描かれたコミック「霧界」
など、かなり面白い作品が並んでいます。

中でも、空気の読めない男性の考えと感情を描いた神林長平さんの「あなたがわからない」と、アフリカのコンゴでチンパンジーに知能が少し向上するチップを埋め、人類の進化を研究する人々とチンパンジーたちを描いた長谷敏司さんの「震える犬」が、特に気に入っています。

今の日本SF人気作家が並んだアンソロジー集なので、興味を持たれた方は、ぜひ、お読みください。
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