こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

展翅少女人形館

2012-01-21 00:00:00 | 未分類
瑞智士記さん『展翅少女人形館』を読みました。

人が球体関節人形しか出産できなくなって以来、<機関>は、
奇跡的に人として生まれることができた少女たちを、
ピレネーの女子修道院にかくまっていた。

人形である姉リゼットを常に連れ歩くマリオン、バレエに打ち込むミラーナ、
人形細工師フローリカ。
彼女たちは、絶妙のバランスでお互いを認め合っていた。
そこに一つの異分子が入り込むまでは!

耽美で醜悪でエロティックで崇高で背徳、その他もろもろの要素が渾然一体となって形作ったのが、
この物語と言ってよいのではないでしょうか?

人類の結末の形としては、異形の部類に入るのかもしれませんが、ある種の美しさがあります。

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少年・卵

2012-01-20 00:00:00 | 未分類
谷山浩子さん『少年・卵』を読みました。

昔、サンリオ出版から発売されていたものが、復刊ドットコムから再販されたものです。

川村鳥子の彼、柿ノ木朝也の様子がおかしい。
いつもは明るい人なのに、どんなに声をかけても、心ここにあらずの調子が続いている。
日曜日を挟んだ翌日には、とうとう登校しなくなってしまった。

心配になった鳥子が朝也の家を訪ねてみると、朝也の家族を含めて数人の人々が、
一人の少年を囲んで笑っていた。

猫也というその少年から人々を解放しようと、精神科医ハンニバルと共に行動を起こす鳥子だったが、
事態は思わぬ展開に!

猫也と鳥子は、鏡の裏表だったのでしょうか?
どこまでが現実で、どこからが幻想?
この結末は、様々な解釈ができ、不思議な気分にさせられます。
ちょっと不気味な物語です。

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物語のルミナリエ異形コレクションXLVIII

2012-01-19 00:00:00 | 未分類
井上雅彦さん監修による『物語のルミナリエ異形コレクションXLVIII』を読みました。

これは困りました。
ショートショートのアンソロジー集なのですが、どれをお勧めすべきか迷ってしまいます。

初っ端から、平谷美樹さんの滅亡と再生を描いた『猫』で引き込まれ、
飛鳥部勝則さんの『幽霊に関する一考察』で温かな謎に出くわし、
草上仁さんの『オレオレ』に温かい意外な結末でクスリと笑わされました。
また、梶尾真治さんの『すりみちゃん』の正体にホロリとさせられますし、
北原尚彦さんの『ハドソン夫人の内幕』には、シャーロキアンが喜びそうです。

これだけで、出だしですよ。
全て紹介したいくらい一編一編が輝いています。
面白かったです。

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マンゴスチンの恋人

2012-01-18 00:00:00 | 未分類
遠野りりこさん『マンゴスチンの恋人』を読みました。

大庭季里子の初恋は、大人の女性だった。
表題作を始め、この短編集は同性愛者などのマイノリティの様々な恋愛の形を描いています。

公立高校を舞台にしたとても切ない物語ばかりですが、恋に限らず、様々な人間関係を考えさせられました。

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子どもたちの長い放課後

2012-01-17 00:00:00 | 未分類
仁木悦子さん『子どもたちの長い放課後』を読みました。

子どもを主人公にした、大人向け短編ミステリです。
背表紙には、「誘拐者たち」と「うす紫の午後」が紹介されていますが、
私の一番好きな作品は、兄のノイローゼの原因となった事件を妹が解決する「影は死んでいた」です。
でも、どの作品も、どこか陰のある深みのあるものばかりで、とても魅力的でした。

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