こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

イブラヒムおじさんとコーランの花

2004-12-14 00:00:00 | 未分類
昨日に引き続いて映画の感想。
もう1本は『イブラヒムおじさんとコーランの花』です。
あらすじは、13歳のユダヤ人の少年が、仲良しになったトルコ人のおじいさんの養子になるという話です。
ここから先は、この映画をこれから見る方は見ない方がいいかもしれません。
ラストは明かしませんけどね。

さて、この少年モモが住むのは、フランスの裏通り。昼間から街娼がたむろしています。
母親が家出して以来、陰気な父親との2人暮らし。生活は苦しく、父親に優等生だったという兄ポポルと比べられ、憂鬱な毎日。

そんなモモですが、それなりにお年頃で、初体験をすませたいと娼婦を誘う練習に励んでいました。ある日貯金箱を壊し、トルコ移民の老人が経営する食料品店に両替に行きます。その老人イブラヒムにも目的はお見通し。でも黙って両替してくれます。モモはその35フランを握り、娼婦には16歳だと嘘を言って誘うことに成功。無事大人の仲間入りを果たします。
でも、彼女が「次はプレゼントを持ってきてね」と言ったら、多分小さい頃から宝物だったのであろう、熊のぬいぐるみを持っていくあたりが、子供なんですよね。
受け取った彼女も、怒ることなく「まぁ可愛い子」というような表情を浮かべていたところが印象的でした。

しばらくして、この通りに映画の撮影隊がやってきて、モモも撮影を見学します。
その主演女優が、イブラヒムの店で買い物をし、5フランで売るのを見て「ぼったくりだね」とモモが言うと、彼は「君がくすねた分を取り返さなくちゃ」と答えます。
モモが、毎日のお使いのついでに缶詰を万引きをしていたのを、知っていたのです。
「弁償するから」と言うモモに、モモの家の家計の苦しさを知るイブラヒムは「弁償しなくていい。でも、盗みを続けるなら、うちの店でやってくれ」と言います。

その後、彼は余ったパンをあぶって食べる方法や、コーヒーにチコリを混ぜる方法、ティーバックを乾かして再利用する方法を教えます。
他にも、茶目っ気のあることを教えますが、あまり書いてしまうと面白みがなくなるでしょうから、内緒。お父さんが、ちょっと可哀想かな?
旦那さんとけんかした奥さんが、翌日、その旦那さんにしてやりそうなことではあります

モモは、父親から得られない愛情を、イブラヒムにたくさん与えられます。
この後も、様々な苦難がモモに襲いかかりますが、イブラヒムの助けで乗り越え、
ついには、モモは彼に「養子にしてほしい」と頼みます。

とまぁ、内容はこの辺りで割愛しますが、まるで賢者のようなイブラヒムはもちろんのこと、初めに書いた街娼の女性達が、思いのほか、モモに愛情深く接するんですよね。何気ない優しさ、思いやりを持っていて、私は彼女達も好きです。
モモも、自分の不幸な境遇を解っているんだかいないんだか、それほどグレもせず、たくましく生きているところがいいですよね。
今の世界情勢から見て、ある願いがこめられている映画でもありました。
矢車菊も、美しく印象に残りました。

コメント
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