女装子愛好クラブ

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名古屋妻の幸せ②

2021年12月09日 | ★女装体験記
ただでさえ女装外出に慣れていない上、思ってもみなかった男性との「デート」。
私の方は、かなり緊張していたのですが、そんな私に、彼は「ちゃんと女の子
に見えるからだいじょぶだよ」とか「今すれちがった女の人より、君の方がず
っときれいでかわいいよ」とか声をかけてくれます。その上、正直に実年齢を
告白した私に、「ウソっ、僕よりふたつ上? 信じられない。君のが10歳以上
若いと思ってたよ」なんて言ってくれたり‥‥。
まあ、お世辞だとは思ったのですが、言われて悪い気はせず、その上、ヒール
の分を加えても彼の方が10センチは身長が高く、私はどんどん自分が年下の女
の子だという感覚になっていきました。
彼は、仕事の関係で、ほぼ毎月一回、4日間くらい名古屋出張があるのだとか。
その夜は結局、ただ街を散歩しただけで別れたのですが、別れ際に「まだ2日
こっちにいるから、明日の晩も会えない?」と言われ、私はうなずいていました。

次の日は、なんだか朝からそわそわし、仕事も手につきませんでした。午後に
なるともう、服をとっかえひっかえして、メイクにもめいっぱい時間をかけて
「デート」の準備をしていました。仕事柄許されることもあり、ふだんからロ
ングにしている髪に、ホットカーラーを巻いたりもしました。
ふと我に返り、自分のしていることにあきれもしたのですが、そのワクワクす
るような気持ちを押しとどめることはできませんでした。

午後7時、彼のホテルからも近い、カップルがよく待ち合わせに使う場所で会
ったのですが、待っている間、周囲からじろじろ見られるようなこともなく、
それなりにパスできていたようです。内心ビクビクしていた私は、ひとまずほ
っとし、恋人を待っているらしいまわり女性たちを秘かに観察しながら、彼女
たちと同化しようとしていました。
しばらくしてやって来た彼に対し、胸の前あたりで細かく手を振り、小首をか
しげて女の子っぽくほほ笑むことができたのは、その成果です。
そんな私を、彼は、前夜同様、完全に女の子としてエスコートしてくれました。
一方では、実年齢が近いこともあり、映画や音楽の趣味も共通したものが多く、
声に気をつけながら女言葉を使う違和感と気恥ずかしささえ乗り越えてしまえ
ば、話題に困るようなことはありませんでした。
たぶん、彼にしてみれば、“旅の恥はかきすて”という気楽さの上で、からか
い半分の“好奇心”と、いくらかの“下心”で遊んでいるのだろうと思ってい
たのですが、その会話にも態度にも、興味本位なところや下卑たところは感じ
られません。あくまで紳士的に、緊張する私をなごませてくれようとし、一方
で、セックスを誘うような素振りはいっさい見せませんでした。
私を女性として大切にしてくれているという感じの彼の態度に、私はますます
その気になり、ますます好感を持ちました。並んで歩きながら彼の顔を見上げ
る私の眼差しが、ふだん男を見る時とはまったくちがうものになっていること
を、私自身がいちばんよくわかっていました。
その夜も結局、食事して街を歩き、バーで少し話しただけだったのですが、別
れたあと、それに安心すると同時に、それだけで終わったことに切なさのよう
なものも感じました。

だから、彼が東京へ帰る、次の夜には、名古屋駅まで見送りに行きました。
新幹線のホームに出て、ふと、十数年前のJR東海のCM「シンデレラ・エク
スプレス」シリーズを思い出したりして、やはり切ない気持ちを抱いていると、
彼は指定の乗車位置を通り過ぎ、さらに先へと歩いていきます。
首をかしげながらついていくと、ホームのはずれ近くまで行ったところで向き
直り、いきなり私を抱きしめ、キスしてきました。
もちろん男とキスするのは初めてだし、遠くにしろ人目はあるしで、私はもう、
どぎまぎして真っ赤になっていました。
「この3日間、楽しかったよ。誰かに対して、こんな気持ちを持つなんて、ほ
んとに何年ぶりだろう。自分でも不思議なんだけど、君のこと、本気で好きに
なりかけてるみたいなんだ。これで終わりにしたくないから、来月名古屋に来
たとき、また会ってくれるよね」
私を抱いたまま、彼は耳もとでささやきました。
男の私としては「突然のキスのあと、そのセリフは、ほとんど反則だろう」と
思ったのですが、女の子としては、ゴールの真ん中をパワーシュートで射抜か
れたという感じて、手も足も出ず、火照った顔で、ただうなずくしかありませ
んでした。
すると、さらに彼はこう言いました。
「その時は、いいよね」
一瞬なにを言われたのかわからなかったのですが、すぐに気づき、おたおたし
ながらも、見つめてくる彼の視線に、私は、またこくんとうなずいていました。
コメント (2)
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