昼すぎ、彼から「今日は得意先を三時には抜けられそうだから、早く会えるよ。
得意先へ行くのにレンタカーを借りたから、その車でドライブでもしよう」と
いう電話がありました。
名古屋をよく知らない彼にもわかりやすい街角を待ち合わせ場所に指定して電
話を切ったあと、私はあわてて着替えました。じつは、前日同様ディナーデー
トを予想して、わりとドレッシーなワンピースを選んでいたので、急いで、ド
ライブ仕様のカジュアルな服とヘアメイクに替えたのです。
まだ明るいうちに恐る恐るマンションを出て、その待ち合わせ場所まで行って
彼に拾ってもらいました。女の子姿で彼の運転する車の助手席に乗るという、
これまた初めての体験にワクワクしている間に、車は夕暮れの名古屋港に着き
ました。
冬の初めで、風はちょっと冷たかったのですが、二人で海に沈む夕陽を見てロ
マンチックな気分になり、そのあと、近くにある観覧車に乗り(「箱」がてっ
ぺんに達したところで、お約束どおり彼がキスしてきました)、それから水族
館を見て、食事をして、そのあとでまた夜の埠頭を歩いきました。今度は本格
的に寒く、ふるえる私の体を、彼は包むように抱いてくれました。
「ミニスカートだし、冷え切っちゃったね。どこか、温かいところで休もうか」
車に乗るなり、スカートから出た私の太股にそっと触れながら言った彼は、発
進させると、そのまま、さほど遠くないところにあったラブホテルの駐車場に
車を入れました。(どうも、来る途中で目星をつけていたようです。)
「ちゃんとしたホテルとってるんだし、わざわざこんな所に来なくても‥‥」
私が言うと、彼は、「こういう所の方が、君も、もっとその気になれるんじゃ
ないかと思って」と言いました。
どうやら今日、仕事を早めに切り上げたのも、車を借りてドライブに誘ったの
も、港をデートしてロマンチックな雰囲気を演出したのも、すべて、私を(女
の子として)リラックスさせるためだったようです。
そんな彼に、またいじらしさを感じた私は、今夜こそちゃんと受け入れてあげ
なければいけないと思いました。
彼の選んだ、そのラブホでいちばんゴージャスな部屋に入ったところで、私は
まず、トイレとバスを使わせてもらいました。昨夜は、そこの処理ができてい
なかったことが、私自身の抵抗感になっていた気がしたからです。
持ってきた幼児向けのイチジク(大人用だと私は本格的な下痢になってしまう
ので)を使ったあと、バスルームのビデでお湯を送り込み、中を洗いました。
そのあと、彼がバスを使っている間にメイクをし直し、やはり秘かに持って来
ていたベビードールふうのネグリジェを着ました。
バスから出てその姿を見た彼は驚いたようですが、すぐにうれしそうな顔をし
ました。
「かわいいなあ。脚もすごくきれいでセクシーだし」
そう言いながら、バスローブ姿で近づいてきた彼は、またお姫様だっこしてく
れ、ベッドまで運んで降ろそうとしました。でも、私はそこで、彼の首に両腕
をまわし、甘えた声で言いました。
「だめぇ。あやか、もっと、こうしてたいもん」
もちろん、そんなことを言うのは恥ずかしかったのですが、思い切って飛んで
みようと思いました。
前夜はお互い、まだ心のどこかに「男同士で私の方が年上」という意識が残っ
ていて、それが彼にとっても私にとっても障害になっていた気がしたのです。
そんな意識を一掃し、「たくましい彼に頼り、身をあずけた女の子」というシ
チュエーションをつくるためには、私の側からつまらないプライドを捨てる必
要があると思ったのです。まあ、実際に、お姫様気分をもう少し味わっていた
いという気持ちも、まちがいなくあったのですが。
その言葉に、彼はちょっとあきれたように笑いましたが、どうやら私のそんな
思惑も伝わったらしく、それをも含めてかわいいと感じてくれたようです。
「ほんとにあやかは、甘えんぼな女の子だな」
そう言って、抱きかかえたままキスしてくれました。私はそれが、なんだかす
ごくうれしくて、彼の首にさらにしがみついて、そのキスに応えました。
ただ、いくらこの間ダイエットしていたとはいえ、かろうじて60キロを切ると
いう体重で上半身にしがみつかれては、彼もバランスを崩し、私を抱いたまま
ベッドの上に倒れ込む形になってしまいました。
「あっ、ごめんね」
下敷きになった私のことを心配して、彼はあわてて体を起こそうとしました。
でも私は、そんな彼の首から腕を放さず、さらに引き寄せました。
「ううん、だめ。あやかのこと、抱いてて」
その言葉に笑い返した彼は、ふたたびキスしながら、自分もベッドの上に上がっ
てきました。
そこで私は、やっと首から手を離し、彼のバスローブの帯を解きました。
得意先へ行くのにレンタカーを借りたから、その車でドライブでもしよう」と
いう電話がありました。
名古屋をよく知らない彼にもわかりやすい街角を待ち合わせ場所に指定して電
話を切ったあと、私はあわてて着替えました。じつは、前日同様ディナーデー
トを予想して、わりとドレッシーなワンピースを選んでいたので、急いで、ド
ライブ仕様のカジュアルな服とヘアメイクに替えたのです。
まだ明るいうちに恐る恐るマンションを出て、その待ち合わせ場所まで行って
彼に拾ってもらいました。女の子姿で彼の運転する車の助手席に乗るという、
これまた初めての体験にワクワクしている間に、車は夕暮れの名古屋港に着き
ました。
冬の初めで、風はちょっと冷たかったのですが、二人で海に沈む夕陽を見てロ
マンチックな気分になり、そのあと、近くにある観覧車に乗り(「箱」がてっ
ぺんに達したところで、お約束どおり彼がキスしてきました)、それから水族
館を見て、食事をして、そのあとでまた夜の埠頭を歩いきました。今度は本格
的に寒く、ふるえる私の体を、彼は包むように抱いてくれました。
「ミニスカートだし、冷え切っちゃったね。どこか、温かいところで休もうか」
車に乗るなり、スカートから出た私の太股にそっと触れながら言った彼は、発
進させると、そのまま、さほど遠くないところにあったラブホテルの駐車場に
車を入れました。(どうも、来る途中で目星をつけていたようです。)
「ちゃんとしたホテルとってるんだし、わざわざこんな所に来なくても‥‥」
私が言うと、彼は、「こういう所の方が、君も、もっとその気になれるんじゃ
ないかと思って」と言いました。
どうやら今日、仕事を早めに切り上げたのも、車を借りてドライブに誘ったの
も、港をデートしてロマンチックな雰囲気を演出したのも、すべて、私を(女
の子として)リラックスさせるためだったようです。
そんな彼に、またいじらしさを感じた私は、今夜こそちゃんと受け入れてあげ
なければいけないと思いました。
彼の選んだ、そのラブホでいちばんゴージャスな部屋に入ったところで、私は
まず、トイレとバスを使わせてもらいました。昨夜は、そこの処理ができてい
なかったことが、私自身の抵抗感になっていた気がしたからです。
持ってきた幼児向けのイチジク(大人用だと私は本格的な下痢になってしまう
ので)を使ったあと、バスルームのビデでお湯を送り込み、中を洗いました。
そのあと、彼がバスを使っている間にメイクをし直し、やはり秘かに持って来
ていたベビードールふうのネグリジェを着ました。
バスから出てその姿を見た彼は驚いたようですが、すぐにうれしそうな顔をし
ました。
「かわいいなあ。脚もすごくきれいでセクシーだし」
そう言いながら、バスローブ姿で近づいてきた彼は、またお姫様だっこしてく
れ、ベッドまで運んで降ろそうとしました。でも、私はそこで、彼の首に両腕
をまわし、甘えた声で言いました。
「だめぇ。あやか、もっと、こうしてたいもん」
もちろん、そんなことを言うのは恥ずかしかったのですが、思い切って飛んで
みようと思いました。
前夜はお互い、まだ心のどこかに「男同士で私の方が年上」という意識が残っ
ていて、それが彼にとっても私にとっても障害になっていた気がしたのです。
そんな意識を一掃し、「たくましい彼に頼り、身をあずけた女の子」というシ
チュエーションをつくるためには、私の側からつまらないプライドを捨てる必
要があると思ったのです。まあ、実際に、お姫様気分をもう少し味わっていた
いという気持ちも、まちがいなくあったのですが。
その言葉に、彼はちょっとあきれたように笑いましたが、どうやら私のそんな
思惑も伝わったらしく、それをも含めてかわいいと感じてくれたようです。
「ほんとにあやかは、甘えんぼな女の子だな」
そう言って、抱きかかえたままキスしてくれました。私はそれが、なんだかす
ごくうれしくて、彼の首にさらにしがみついて、そのキスに応えました。
ただ、いくらこの間ダイエットしていたとはいえ、かろうじて60キロを切ると
いう体重で上半身にしがみつかれては、彼もバランスを崩し、私を抱いたまま
ベッドの上に倒れ込む形になってしまいました。
「あっ、ごめんね」
下敷きになった私のことを心配して、彼はあわてて体を起こそうとしました。
でも私は、そんな彼の首から腕を放さず、さらに引き寄せました。
「ううん、だめ。あやかのこと、抱いてて」
その言葉に笑い返した彼は、ふたたびキスしながら、自分もベッドの上に上がっ
てきました。
そこで私は、やっと首から手を離し、彼のバスローブの帯を解きました。