159985 朝日新聞は3つのパターン化された手口でその独特の論調を訴えかける(4~6)
猛獣王S ( 30代 東京 営業 ) 07/08/29 PM03
159984の続きです。
『朝日の論調、3つの手口~朝日新聞は3つのパターン化された手口でその独特の論調を訴えかける。』(国際派日本人養成講座)リンクより転載します。
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■4.「朝鮮人従軍慰安婦」の「思い出すと今も涙」■
慰安婦問題は朝日が火をつけたのだが、その発端となった記事の一つも、やはり「弱者をいたわれ」パターンだった。
平成3(1985)年8月11日付け朝日新聞は、社会面トップで「思い出すと今も涙」「元朝鮮人従軍慰安婦 戦後半世紀重い口開く」とのタイトルで、「日中戦争や第二次大戦の際、女子挺身隊の戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた朝鮮人従軍慰安婦のうち、一人が」名乗り出たと報じた。
「思い出すと今も涙」「戦後半世紀重い口開く」などと、さすがに天下の英才の集まる朝日、文章もなかなかのものである。
しかし、実はこの女性は日本軍に強制徴用されたのではなく、14歳の時に母親によって朝鮮の置屋に売られた事を、自らある韓国紙に語っている。[a]
「弱者をいたわれ」というパターンに忠実に従うあまり、肝心の事実をねじ曲げての報道では、新聞の基本から外れてしまっている。14歳で親に売られた少女の身の上は気の毒だが、それは政府や軍の責任ではない、という常識が、「弱者をいたわれ」というパターンで覆われてしまっている。
■5.第2のパターン「よその国の機嫌を損ねてはならない」■
第2のパターンは「よその国の機嫌を損ねてはならない」だ。その例として、高山氏は船橋洋一氏のコラム「日本@世界」の「六ヶ所村再処理は凍結を」(平成16年12月2日付け)を挙げる。船橋氏は入社後、ハーバード大学に学び、北京、ワシントン特派員を歴任するという朝日を代表する国際派エリート記者である。
青森県の六ヶ所村の核再処理施設は、核爆弾にもなるプルトニウムを抽出するが、イランや北朝鮮の核疑惑が騒がれている時期に、日本が再処理を始めたら「世界の目は険しくなる」と危惧する。北朝鮮がそれを口実に核武装するかもしれない。日本への警戒感を生み出していることに、「日本はもっと敏感にならなければならない」と訴え、だから「日本は再処理を凍結するのがよい」と結ぶ。
使われたのは「よその国の機嫌を損ねてはならない」パターンだ。自分たちは核実験をやり、テポドンを飛ばすような悪辣な国でも機嫌を損ねてはならない。そんな国々が少しでも危惧を持つようならエネルギー不足で日本が沈没しても我慢しろというわけだ。。[1,p208]
朝日は、このコラムを受けてエルバラダイIAEA(国際原子力機関)事務局長と会見し再処理問題について聞いているが(2005年1月7日付け)、日本はIAEAの査察を何度も受けており、局長が日本の核再処理について「険しい目」で見ている様子はまったく窺われない。
朝日の代表的国際派記者が「世界の目は険しくなる」と言っても、それは国際常識から相当ずれている場合がある、という事だろう。
■6.北朝鮮への異常なご機嫌取り■
「よその国の機嫌を損ねてはならない」パターンの極致が、北朝鮮へのご機嫌取りだろう。弊誌273号では、核、拉致、ミサイルに関する読売と朝日の社説を読み比べてみたが、朝日の論調はひたすら北朝鮮をなだめすかすのみである。[b]
平成6(1994)年に、北朝鮮が核開発施設を稼働させ、「米国からの援助があれば止める」と脅した際に、読売は「段階的制裁を」と主張したが、朝日はこう述べた。
北朝鮮が最終的に米国との交渉による解決を切望している以上、米国は北朝鮮との対話のパイプを閉ざすべきではない。
北朝鮮の脅しは米国と交渉したいというシグナルなのだから、米国はそれを聞いてやるべきだ、という。ナイフを振り回して、金をせびろうとする不良少年に対して、まずは話を聞いてやれ、というご機嫌取りである。
平成10(1998)年、北朝鮮側が拉致疑惑を全面否定した際には、読売は「誠意ある取り組みがなければ、正常化交渉も、食糧の追加支援も困難だという明確なメッセージを」送り続けるべき、と主張した。それに対して、朝日の方は、被害者家族の北支援に反対するのは、「肉親の情としては当然かもしれない」としつつ、
しかし、朝鮮半島の緊張をやわらげるには、構造的な食糧、経済危機をかかえる北朝鮮に必要な援助を続けつつ、軍事的な暴発を防ぎ、開放を促していくしか道はない。それがもうひとつの現実である。
ここでもやはり北朝鮮のご機嫌取りである。
この年の9月には、北朝鮮は日本列島越しにミサイル実験を行った。ここでも朝日は「とても容認できない」としつつも、最後は「約束通り10億ドルと食糧支援を」と結ぶ。
他国民を拉致したり、勝手に核兵器開発をしたり、他国の上空に勝手にミサイルを飛ばしたり、という無法は許されない、というのが国際常識だが、これらは朝日の社説では「よその国の機嫌を損ねてはならない」パターンに覆い隠されてしまっているのである。
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続く
■リンク■
a. JOG(106) 「従軍慰安婦」問題(上)
日韓友好に打ち込まれた楔。リンク
b. JOG(273) 社説読み比べ ~ 対北朝鮮外交
北朝鮮の核、拉致、ミサイルに関する朝日新聞と読売新聞の社説を読み比べてみれば。リンク
猛獣王S ( 30代 東京 営業 ) 07/08/29 PM03
159984の続きです。
『朝日の論調、3つの手口~朝日新聞は3つのパターン化された手口でその独特の論調を訴えかける。』(国際派日本人養成講座)リンクより転載します。
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■4.「朝鮮人従軍慰安婦」の「思い出すと今も涙」■
慰安婦問題は朝日が火をつけたのだが、その発端となった記事の一つも、やはり「弱者をいたわれ」パターンだった。
平成3(1985)年8月11日付け朝日新聞は、社会面トップで「思い出すと今も涙」「元朝鮮人従軍慰安婦 戦後半世紀重い口開く」とのタイトルで、「日中戦争や第二次大戦の際、女子挺身隊の戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた朝鮮人従軍慰安婦のうち、一人が」名乗り出たと報じた。
「思い出すと今も涙」「戦後半世紀重い口開く」などと、さすがに天下の英才の集まる朝日、文章もなかなかのものである。
しかし、実はこの女性は日本軍に強制徴用されたのではなく、14歳の時に母親によって朝鮮の置屋に売られた事を、自らある韓国紙に語っている。[a]
「弱者をいたわれ」というパターンに忠実に従うあまり、肝心の事実をねじ曲げての報道では、新聞の基本から外れてしまっている。14歳で親に売られた少女の身の上は気の毒だが、それは政府や軍の責任ではない、という常識が、「弱者をいたわれ」というパターンで覆われてしまっている。
■5.第2のパターン「よその国の機嫌を損ねてはならない」■
第2のパターンは「よその国の機嫌を損ねてはならない」だ。その例として、高山氏は船橋洋一氏のコラム「日本@世界」の「六ヶ所村再処理は凍結を」(平成16年12月2日付け)を挙げる。船橋氏は入社後、ハーバード大学に学び、北京、ワシントン特派員を歴任するという朝日を代表する国際派エリート記者である。
青森県の六ヶ所村の核再処理施設は、核爆弾にもなるプルトニウムを抽出するが、イランや北朝鮮の核疑惑が騒がれている時期に、日本が再処理を始めたら「世界の目は険しくなる」と危惧する。北朝鮮がそれを口実に核武装するかもしれない。日本への警戒感を生み出していることに、「日本はもっと敏感にならなければならない」と訴え、だから「日本は再処理を凍結するのがよい」と結ぶ。
使われたのは「よその国の機嫌を損ねてはならない」パターンだ。自分たちは核実験をやり、テポドンを飛ばすような悪辣な国でも機嫌を損ねてはならない。そんな国々が少しでも危惧を持つようならエネルギー不足で日本が沈没しても我慢しろというわけだ。。[1,p208]
朝日は、このコラムを受けてエルバラダイIAEA(国際原子力機関)事務局長と会見し再処理問題について聞いているが(2005年1月7日付け)、日本はIAEAの査察を何度も受けており、局長が日本の核再処理について「険しい目」で見ている様子はまったく窺われない。
朝日の代表的国際派記者が「世界の目は険しくなる」と言っても、それは国際常識から相当ずれている場合がある、という事だろう。
■6.北朝鮮への異常なご機嫌取り■
「よその国の機嫌を損ねてはならない」パターンの極致が、北朝鮮へのご機嫌取りだろう。弊誌273号では、核、拉致、ミサイルに関する読売と朝日の社説を読み比べてみたが、朝日の論調はひたすら北朝鮮をなだめすかすのみである。[b]
平成6(1994)年に、北朝鮮が核開発施設を稼働させ、「米国からの援助があれば止める」と脅した際に、読売は「段階的制裁を」と主張したが、朝日はこう述べた。
北朝鮮が最終的に米国との交渉による解決を切望している以上、米国は北朝鮮との対話のパイプを閉ざすべきではない。
北朝鮮の脅しは米国と交渉したいというシグナルなのだから、米国はそれを聞いてやるべきだ、という。ナイフを振り回して、金をせびろうとする不良少年に対して、まずは話を聞いてやれ、というご機嫌取りである。
平成10(1998)年、北朝鮮側が拉致疑惑を全面否定した際には、読売は「誠意ある取り組みがなければ、正常化交渉も、食糧の追加支援も困難だという明確なメッセージを」送り続けるべき、と主張した。それに対して、朝日の方は、被害者家族の北支援に反対するのは、「肉親の情としては当然かもしれない」としつつ、
しかし、朝鮮半島の緊張をやわらげるには、構造的な食糧、経済危機をかかえる北朝鮮に必要な援助を続けつつ、軍事的な暴発を防ぎ、開放を促していくしか道はない。それがもうひとつの現実である。
ここでもやはり北朝鮮のご機嫌取りである。
この年の9月には、北朝鮮は日本列島越しにミサイル実験を行った。ここでも朝日は「とても容認できない」としつつも、最後は「約束通り10億ドルと食糧支援を」と結ぶ。
他国民を拉致したり、勝手に核兵器開発をしたり、他国の上空に勝手にミサイルを飛ばしたり、という無法は許されない、というのが国際常識だが、これらは朝日の社説では「よその国の機嫌を損ねてはならない」パターンに覆い隠されてしまっているのである。
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続く
■リンク■
a. JOG(106) 「従軍慰安婦」問題(上)
日韓友好に打ち込まれた楔。リンク
b. JOG(273) 社説読み比べ ~ 対北朝鮮外交
北朝鮮の核、拉致、ミサイルに関する朝日新聞と読売新聞の社説を読み比べてみれば。リンク