トホホおやぢのブログ.....

アンチエイジング、自転車、ダイエット、スイム、ラン等々、徒然なるままを・・・

Calamita Due(+) が素晴らしいのは、ガチレースジオメトリーに太いタイヤを履いているから・・・・

2022-11-30 15:15:26 | スチールバイク

 

クロモリロードに関するフェイクニュースが、ネット空間を含め巷に溢れている。中には、マトモなクロモリロードに乗ったことのない自転車小売店関係者もおられるようなので困ったものだ。一番多いのはこの二つ

1,クロモリロードは重いのでしょう?

2,クロモリロードは軟らかくて坂登らないのでしょう?

 確かに、上記に該当するクロモリロードバイクの完成車は少なからずあるかもしれない。そもそもこの業界の悪習で、フレームの材質とコンポのグレードで売値決めて、逆算して自転車を作るなんてことがある。重要なフレームとか車輪の品質は後回しだ。そんな自転車を買ったら、サイクリングの楽しさなんてあまり期待できない。コンポは乗り手の成長に伴って用意にアップグレードできるような商品開発コンセプトにするべきなのだ。実はコンセプトをきちんと考えて作ったバイクは、ミドル価格帯以下では稀だった。

1のフェイク情報について言えば、カラミータは9㎏前半の重量で、この価格帯では最軽量の部類だ。もちろん進化したスチールパイプのニオビウム鋼やオムニクロム鋼を使えばもっと軽くすることも可能だ。おそらく、クロモリロードは重いなんて言う人の多くは、マトモなクロモリロードを知らない人なんだろう。それに軽すぎる自転車は、ヒルクライムイベントの様に短時間ならよいけれど、ロングライドのサイクリングでは、けっこう疲れる。風や路面の変化に意外とナーバスだったりする。

2の”軟らかい”というひとには、「競輪の自転車はクロモリなんですが軟らかいという話は、あまり聞かないですねぇ」と言うことにしている。軟らかいとか硬いというのはそもそも主観的な要素。人によって、いや脚質や経験・技量によって大きく違う。弾性という点にフォーカスすれば、それを決める要素はフレームの材質よりは、ジオメトリーだ。フレームのデザインを比例してサイズを決めれば、LサイズよりもSサイズの方が剛性が高くなる。

前置きが長くなったが、チコちゃんばりのこの題目・・・・

「Calamita Due(+) が素晴らしいのは、レースジオメトリーに太いタイヤを履いているから・・・」

TVと同じように、少し解説が必要だ。そもそもこのバイクが誕生したキッカケは、イタリアの工房TommasiniとCasatiの存在が大きい。日本の代理店である僕としては、これらのブラントが日本で売れなきゃ困るワケだが、当時、前置きで書いたようなフェイクをカタチにしたようなクロモリロードの完成車が多かった。そのせいでクロモリロードは、安いアルミフレームに席巻されて、時代遅れの悪者にされていたような雰囲気さえあった。手ごろな価格帯で、サイクリングを楽しめる本格的なクロモリロードバイクは、市場にほとんど存在しなかったのだ。

で、いろいろ考えた結果、台湾でこれらブランドのバイクを作ろうという結論に至ったのだが・・・・

 Tommasiniのマーケティング責任者、長女バーバラの反応は、「私は、他社のマネはしない!それが出来ないわけじゃなくて、私たちの利益は私達のブランドを育んだトスカーナに還元(投資)する」と瞬殺。最初は何をいっとるんじゃ??とワケが解らなかったけれど、どうやらそれは、あの素晴らしいオリーブ畑らしい・・・・と理解できたのは後の話

 一方Casatiは、3代目のマッシモ・カザーティが乗り気でジオメトリーのアイデアもくれた。マッシモは1980年代からグランツールで活躍したブーニョの幼馴染。レース仲間だったブーニョがプロになる時に、自分の才能に限界を感じて家業を継いだ。だから、早くから家業を手伝っていた弟のルッカの方が溶接は上手だ。そんなブランドだから、Casatiのジオメトリーはガチレースのそれだ。台湾工場とも打合せして最終的なサンプル製作にかかる時に、当時まだ健在だった先代(二代目)のジャンニ・カザーティが、「やっぱり、自分の目の届かない所で自分の名前のバイクを作るのは好かん・・・・」てなことを思ったらしく、ドタキャン喰らってしまって計画は頓挫。しかし・・・・

 【手ごろな価格帯で、サイクリングを楽しめる本格的なクロモリロードバイク】が市場に存在しなければ、手頃な価格帯でないTommasiniやCasatiも将来的に危うくなるとの危機感から、そのバイクを僕が引き継ぐ決心をまもなくした。ついでにシートステーを僕が好きだったイタリアの某社のようにベントさせてサンプルを作った。思った以上にその効果は有って、巡行するのが楽になった。

 そう、元々のフレームデザインのベースはガチレースジオメトリーのCasati。知っている人は思い出してほしい。かつてはもっとタイヤが細くて空気も11~12気圧でカチカチだった。車輪側が硬すぎるのでシルクサイドのタイヤもあったくらいだから。だから、フレーム側に弾性力を持たせてライダーを保護していたのだ。

 ところが、今はどうだろう?高剛性のカーボンフレームをさらにスモールバックにし、DISC化したので下回り剛性も高くなっている。逆にタイヤは太くなる空気圧もかつての半分以下だ。

 わかり易く言えば、衝撃吸収は昔はフレーム側、今は車輪側の役目に代わっているのだ。

そう、衝撃吸収性の良いかつてのレーシングフレームに、太めの25Cのタイヤを装着したら空気圧も低いので、乗り心地が良いに決まっているし、元々優れたレーシングフレームなので巡行性能が良いに決まっているんですよ。サイクリングでゴールスプリントのような乗り方はしないので、あの手の瞬発力は必要ないですからね。

 それに、最近はクリンチャータイヤも進歩して、グラベルタイヤで良いものが出てきている。26Cのパナのグラベルキングはかせると、デフォルトで、34-32Tのギア比も相まって林道もかなり走れるので汎用性がとても高い。