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自転車業界は3K職業!?

2011-06-23 09:58:00 | Italia & Bike

月曜日から仕事で上海と昆山に来ている。
スポーツバイクを含めた多くの自転車の原産地が中国になって久しい。ハイエンドのスポーツバイクの組み立ての多くは、未だに台湾製が多いが、カーボンフレームを含めた多くの部品が中国製だ。中国国内だけで100%コンセプトにかなう商品造りがスムーズにいくかと言えば、前述のようにまだいくつかの障害もある。

が、現在と将来を含めた中国国内の需要期待と、圧倒的な製造コストの安さから、シマノをはじめ、ジャイアント等どの多くの自転車関連企業が中国に生産拠点を持っている。


近頃、多くの自転車関連企業が湾岸地域から内陸に追いやられているという。従来香港にほど近い深圳に多くの外資系自転車関連企業が進出していたが、さらに内陸や上海近郊に追いやられてしまった。その上海近郊の追いやられた企業は、再びさらに天津や内陸に引っ越しを強いられつつある現実が発生している。


中国の制度的な問題もさることながら、本当の理由は労働力の確保が大きな問題だと言う。その原因は外資系のコンピューター関連産業の工場進出にあるらしい。旧態依然とした?うす汚いいわゆる3K自転車関連工場で働くよりは、清潔で明るいしかも労働条件の良いコンピューター関連工場の方が良いというのが雇用される側の当たり前の論理。だから、自転車関連工場の近くに、コンピューター関連工場ができると従業員が突然消えてしまうという深刻事態が発生する。

給与を上げれば良いと簡単に思われそうだが、製品出荷価格に上昇コストを転嫁するにはライバルの同業他社の動向からも困難だ。さらに、平均的な日本人の属する組織へのロイヤリティと中国人のそれは大きな隔たりがある。もう一つ加えれば、付加価値を考慮すれば圧倒的にコンピューター関連産業の方が高いのは周知の事実で根本的に割にあわないらしい。
これらの背景から、さらに人件費の安い、労働力を確保しやすい内陸を目指すことになるらしい。


 そのような流れの中で、これらの地域に住み働く人の給与水準は上がり、経済的にも恵まれることになる。実際、上海や昆山地域の急速に発展した郊外の住宅地域は整然としている。東京近郊よりもはるかに大規模で、広大な敷地を持つ。さらに高層マンションがニョキニョキと存在する。それらの金額も決して安くはない。

 付加価値のそれほど高くない3K職場の自転車関連企業に勤めていたのでは、こんなところに住むことはできないらしい。

*昆山市の住宅街



昆山から上海に向かう時に見かけた、建設中のジャイアントの広大な新工場は、ある意味自転車業界の防波堤になるかもしれない。関連企業を含めその周辺に集約されつつある。押し寄せる他産業の工場進出という津波から、自転車関連業界を守るという意味で。
取引先の台湾系の中国工場も今月そのジャイアントの新工場のそばに引っ越しをするという。しかも、この製造エリアでは負荷価値の低いママチャリは製造されないようだ。
すでに、それらメインにする工場の多くは天津地区に移動していて上海・昆山エリアに残っているのは数えるほどだ。ここの新工場では、より付加価値の高いものを生産するようだ。


日本国内では、ママチャリ自転車は1万円前後が一般の人々の意識にあるかもしれないが、3K工員を確保出来なくなりつつある中、間違いなくそれは遠い過去の話となりつつある。


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