イギリス旅行から帰った友人が、一番印象に残った場所は『嵐が丘』の舞台
ヨークシャーの荒野だったそう。彼女もkimitsuku同様に、「少年少女世界文学
全集」を読んで育った文学少女…らしい。
『嵐が丘』、『ジェーン・エア』のブロンテ姉妹に憧れ、遠い異国のヒースの丘に
想いを馳せた共通点がある。訪れた晩秋のヨークシャーは、小説で読んだ通り、
暗い空の下に寒風が吹き荒び、まさしく『嵐が丘』の世界だったとか…。
嵐が丘 1939公開アメリカ映画
思いついて映画化された『嵐が丘』を比較してみた。最初の一本は1939年
公開のアメリカ映画。ローレンス・オリヴィエとマール・オベロンが共演した。
ブロンテ原作に忠実に描かれているのだろうが、今イチ物足りなさを感じる。
ストーリーを追うのに一杯いっぱいで、ヒースクリフの激情や愛憎や執念が
淡白に過ぎる。大体、L・オリヴィエが貫禄あり過ぎて、どうみても野生的な
ジプシー青年には見えない。尤も、成功した後のフロックコート姿は、さすが
シェークスピア役者。堂々たるものですが…。
キャシー役のM・オベロンも、何だかしっくり来ないのよねぇ。ウ~ン2流の
アメリカン・メロドラマかも。
嵐が丘 1992公開イギリス映画
こちらは1992年公開のイギリス映画『嵐が丘』。原作には無い、次世代の
子供たちをも描いている。個人の好みがあるだろうが、kimitsuku的には断然
此方が良かった。ヒースクリフの愛憎、情念、怨念が、伝わってくる。
映画初出演レイフ・ファインズの素晴らしい眼技…に、魅了された。
ブルーにもグリーンにも見える眼が、繊細かつ冷酷かつ激しいヒースクリフの
人間性を表現していたと思う。
キャシー役はジュリエット・ビノチェ。可愛いけれど、何だかピッタリ来ない。
複雑なキャシー役を演技できる俳優って、なかなか居ないのかしらねぇ。
R・ファインズは、その後『愛を読む人』にも出演していたが、悲しみを湛えた
眼の表情は相変わらず魅惑的だった。この映画のテーマ音楽は、坂本龍一。
荒涼とした風景とドロドロした愛憎劇にぴったりの、素敵な音楽だった。
時間がある時に、ポスター下部の文字をクリックしてみてネ。
新旧2本の『嵐が丘』を、観賞できますわよ。
『嵐が丘』に限らず、名作を読んで勝手にイメージを膨らませ、
映画化されたものを観てガッカリって、分かる、分かりますぅ。観なければ良かったなんてね。
でも1992版の方、観てみてぇ~。
まぁとても10代の少年には見えないけれど、ヒースクリフを演じているレイフ・ファインズ、
kimitsuku的には納得です。野性味たっぷり&狂信的な眼差しに、
あぁヒースクリフってこんな青年だったのかぁ…でした。当時30歳だったってよ。
観終えたら、kana感想を聞かせて下さいネ。