


















アルツハイマー型認知症と診断された93歳の姑を介護するT子さんと話す機会がありました。結婚と同時に
同居し、今までそれなりに上手くやっていたのに一年ほど前から姑の性格が変わり手を焼いているとのこと。
若い頃に学校の先生をしており、優しく物知りでT子さんご主人の自慢の母だったというのに、此処最近の
壊れように夫婦で悩んでいるようでした。アルツハイマー型認知症は多くの場合、記憶障害から始まり次第に
見当識障害や失語・失行・失認などの症状を伴って、知的機能の荒廃により人格崩壊をきたす疾患です。
医師からは病状の改善は望めないので、本人が安心して落ち着いた生活が送れるように介護して下さいと
言われたそう。T子さんの悩みは、失禁しても衣類を取り換えず 時に尿臭があること&頼みのご主人が母の
介護を避けるようになったこと…だそう。以前から何事も自分で決めプライドを持って生きてきた姑を見てきた
だけに何と言葉を掛けて良いか分からないようです。
「あんなに素敵だったママが…」と落ち込むT子さんの優しさに心が痛みます。「でもね、一番困っているのは
ママさんなのよ。思うように頭も体も動かずTさんに迷惑を掛けていることや、大きくなった孫たちが離れていく
寂しさなど思うに任せぬ日々が情けなくて、つい乱暴な言葉や行動になってしまうのじゃないかしらねぇ~」と、
慰めにもならぬ話をしました。そして楽しい時間を持つために、教員時代や子育て時代の思い出や、楽しみを
聞きながら一緒に好物の美味しいコーヒーを飲むのも良いことよ…と勧めました。ご主人が母親を避けるのは
T子さん以上に現実を認めるのが辛いからだと話すと、「そんなぁ~

このアルツハイマー型認知症は女性に多く見られ、男性の2〜3倍とされています。女性の方が 寿命が長く
高齢者全体に占める割合が高いのだから当然かもしれません。老いへの怖れや哀しみに戸惑う姑の心情に
寄り添いつつ今までと変わらぬ敬愛の心で接することで、T子さんを理解者と受け入れてくれることでしょう。
「もう少し頑張ってみます」、話をして幾らかすっきりしたか 笑顔で帰って行くT子さんの後ろ姿に、心からの
エールを送りました。