昨春、「稲敷みつばちの里づくり」に提供して以来、我が家からニホンミツバチは居なくなり
ました。西洋ミツバチと同じ敷地内で飼育することは困難と判断し手放すことにしました。し
かし、やはりニホンミツバチは西洋ミツバチと違う魅力があります。盗蜂も覚悟し、その対策
もまた楽しかろうと思い、再びニホンミツバチを捕獲することにしました。
ニホンミツバチの捕獲に準備しておきたいキンリョウヘンは、その花芽がまだ小さい状態で
す。今年は桜の開花がとても早く、駆け足で春がやってきそうなので、ニホンミツバチの分
封の時期も早まるのではないかと、そわそわしてきました。それにしても、この時期の花芽
としてはちょっと小さいのでは?
先週、西洋ミツバチの巣箱を今年初めて内検したところ、一群だけ幼虫と蛹が確認出来る
ものの、女王蜂と卵が見当たらない蜂群がありました。その巣箱を昨日再び内検したとこ
ろ、何と変成王台が幾つも見つかりました。
これは、どういうことでしょうか。恐らく、10日程前までは女王蜂は生存しており、順調に卵
を産んでいと考えられます。しかし、その後何らかの原因で女王蜂が死亡したのだと思い
ます。そのため、働き蜂たちは新しい女王蜂を誕生させようと、産み落とされていた卵から
孵化して間もない幼虫を新女王蜂に育成するため、その幼虫の巣房を女王蜂を誕生さ
せるための特別仕様の巣房(変成王台)に作り替えたものと考えられます。
この写真は、巣板からミツバチをふるい落とし撮影しました。ちょっと出っ張った3個の巣房
が変成王台です。このような変成王台が8個も出来ていました。
実は、今はまだミツバチの繁殖の季節には早すぎます。仮にこの変成王台から新しい女王
蜂が誕生しても、交尾する相手の雄蜂がまだ誕生していません。そのため、女王蜂が誕生
しても卵が期待出来ません。つまり、いずれこの蜂群はダメになるのではないかと考えまし
た。そこで、変成王台を全て潰し、女王蜂のいる蜂群に合同することにしました。
合同はハッカオイル合同という方法で行いました。合同すると言うことは、今まで別々に生
活していた蜂群が一つになるわけですから、そのまま合同してしまうと両群で殺し合いにな
ってしまいます。そのため、両群の匂いを紛らわすために、香りの強いハッカオイルで両群
の匂いを統一させるという方法です。両群の間には新聞紙も入れていますので、いずれこ
の新聞紙を食い破り、両群が仲良く暮らすようになれば成功です。しばらくは、そっとしてお
きます。
西洋ミツバチの巣板は、巣礎張り完成品という出来合のものを従来購入していましたが、今
年は自分で作ってみることにしました。
ちょっと雑然とした状態ですが、巣枠作りに必要な材料一式です。巣枠は親桟という巣枠上
部になる桟と下桟、横桟の四本の部材で構成されており、それらを釘止めします。
横桟に小さな3個の穴が空いています。ここに針金を通すことになるのですが、その前にハ
トメという小さな金具をこの3個の穴に取り付けます。取り付けは、写真左下にあるハトメ押
し込み棒という道具で行います。このハトメは針金を張っていく時に、針金が横桟に食い込
むことを防ぐためのものです。
次に巣枠の上辺に三角コマと平金具を取り付けます。三角コマは巣板と巣板の間隔調整
用のスペーサーです。平金具は巣枠の強度を高めるためのものだと思います。
針金の三線通しという工程です。針金を巣枠にS字状に通します。
針金をピンと張った状態です。それぞれの針金がピンピンと高い金属音がする程度に張る
のだそうですが、これが結構大変でした。途中で針金が切れたりと苦戦しました。
いよいよ巣礎張りです。巣礎とは蜜蝋を原料にして出来た、ミツバチが巣房を作っていく上
での基礎となる平板です。その平板に六角形の巣房の形がプレス加工されています。この
巣礎を巣板に取り付けるのですが、この写真はその時に使う道具、電気埋線器というもの
です。
写真中央に横長に写っている道具を巣枠の針金に当てて電気を流し、巣枠の針金を暖め、
その熱で巣礎を針金の中に埋めていくのです。
これが、巣礎の中に針金を埋め込んだ状態で、これで巣板の完成です。それにしても、薄
っぺらな巣礎の断面の中央に針金を埋め込むという作業は、この巣板作りの中で一番難し
い工程でした。熱を加えすぎると、針金が巣礎を突き破って裏に出てしまうし、弱いと針金が
巣礎に埋まらないし悪戦苦闘しました。
ミツバチは金属を嫌うそうです。針金が巣礎から出ていると造巣してくれないそうです。その
ため、巣礎を突き抜けてしまった針金が露出している箇所には、蜜蝋を溶かし、これでタッ
チアップしていきます。補修方法があって良かったです。ほぼ全数補修が必要な出来でし
た。それにしても、このような巣板でミツバチが巣作りしてくれるかちょっと心配ですが、楽し
みでもあります。
今年の冬はかなり厳しい寒さが続き、普段より半月以上も梅の開花が遅れていました。
しかし、先日やっと咲き始めましたので、梅の開花を合図に今年初めて巣箱の内検を行
いました。昼間は暖かくても、最低気温がマイナスにもなる日もまだある時期ですが、巣
箱の中では春を迎える準備が始まっていました。
上の写真中央に女王蜂が写っています。蓋のされた巣房には蛹が入っているます。蓋の
無い巣房には卵もあり、幼虫も確認出来ました。但し、蓋が均一になされていないことで
ちょっとこの女王蜂の産卵能力が心配です。
これらの確認作業の後、さらに産卵を促すために、奨励給餌を行いました。昨年までは砂
糖水を与えていましたが、昨年秋に大量に採れ、保管していた蜂蜜(恐らくセイタカアワダチ
ソウの蜂蜜)がありましたので、これを給餌することにしました。砂糖水を与えると、ミツバチ
はこれを蜂蜜に作り替えるために相当なエネルギーを消耗してしまい、越冬しているミツバ
チの寿命が短くなのだそうです。そのため、今年生まれの働き蜂が誕生して、女王蜂や蜂
児のお世話が出来る若いミツバチが沢山誕生してくるまで、越冬バチに長生きしてもらえる
よう負担軽減のため、奨励給餌には出来るだけ蜂蜜を直接与えた方が良いのだそうです。
そこで、今年トライすることにしました。結晶していた蜂蜜を湯煎で溶かし、それに少しだけ
お湯を加えてゆるくして与えてみました。
いよいよミツバチのお世話が始まりました。今年もみんな元気で飛び回って、沢山の蜂蜜を
貯めて欲しいものです。
茨城県農林水産部畜産課でとりまとめられた茨城県の養蜂の現状が、月刊誌「農業いばらき」2013年1月号に掲載され、その中で私たちの活動が紹介されました。
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