気ままにかしまライフ

趣味を楽しみながらのシニアライフを記事にしています。

イブキジャコウソウについての紹介

2021年08月29日 | 日記
イブキジャコウソウを利用した西洋ミツバチの寄生ダニであるミツバチヘギイタダニの駆除方法についての記事が日本在来種みつばちの会会報(日本みつばちの会だより2021年8月号)に掲載されました。記事の詳細はこちら
 
 また、8月26日に銀座ミツバチプロジェクト主催のオンライン全国ミツバチプロジェクトミーティングでイブキジャコウソウによるダニ駆除方法について報告させて頂きました。
イブキジャコウソウにダニ駆除に効果があるかもしれないと思った経緯やその後の効果の確認実験の内容についてお話させて頂きました。
 
 
 

イブキジャコウソウによるダニ駆除効果の確認試験(その3)

2021年07月25日 | 日記

今回もイブキジャコウソウによるミツバチヘギイタダニ駆除の効果確認。6月から実施してきた一連の実験の最後の結果を記録する。

先のブログ記載の通り、7月初旬、E群とF群の巣箱に他のダニ駆除剤は使用せず、イブキジャコウソウのみを投与し、巣箱底に設置した粘着トラップを設置6日で引き上げ、そこにトラップされたダニの数から、イブキジャコウソウのみの投与でもダニを駆除することができることを確認した。この1回目の実験の後、2回目の実験として同じE群とF群を用い、今度はイブキジャコウソウと既存ダニ駆除剤アピバールを併用し、イブキジャコウソウ単独で使用した場合とダニの駆除がどのようになるのかを比較することにした。

1回目の実験後、巣箱に入れていたイブキジャコウソウを取り出し、新鮮なイブキジャコウソウ100gとアピバール3枚を巣箱に投与し、巣箱底には新しい粘着トラップを設置した。粘着トラップ設置期間は8日間とした。なお、粘着トラップは目の細かいトリカルネットに紙製ガムテープを貼り、4辺は布製ガムテープを貼ることで紙製ガムテープの浮き上がりを防ぐことにした。

設置後8日目の粘着トラップの様子を写真1、写真2に示す。写真1に示すように、E群ではガムテープが激しく食い破られていたため、ダニの数は実際より少なく勘定されたと思われるが、面積比などで補正することはせず、あくまでもガムテープに残っているダニの数だけを結果とした。

写真1 E群の粘着トラップ(ミツバチに激しく食い破られている)

写真2 F群の粘着トラップ

この1回目と2回目の実験条件と実験結果を表1にまとめた。

表1から、粘着トラップが2日ほど長く設置されているものの、アピバールを併用した2回目の方がトラップされたダニの数は1回目よりも明らかに多くなっている。これはアピバールとの併用効果があるようにも見えるが、ダニが寄生しているミツバチが1日あたりに羽化する数が1回目と2回目の実験期間内でどうであったかは明らかではなく、必ずしも明確に併用効果があったとは言えないのかもしれない。

しかし、今回の一連の実験で、イブキジャコウソウにはミツバチヘギイタダニを駆除する効果が明らかな結果が得られたと考えている。そのため、来年からは雄巣房の切り取りと、イブキジャコウソウ投与の二通りの方法でミツバチヘギイタダニ駆除を行いたいと考えている。


イブキジャコウソウのダニ駆除効果はどれだけ持続するのか

2021年07月21日 | 日記

最近の話題はイブキジャコウソウ一色になっているが、本日もその話題。今日の結論は「イブキジャコウソウは巣箱に入れてから10日後でもまだダニ駆除効果を持続している」というものである。

昨年、動物用医薬品として承認されているダニ駆除剤A剤が耐性ダニの存在のために全くダニ駆除が出来なかった巣箱が見つかったため、その対応処置として同じくダニ駆除剤として承認されているもう一つの駆除剤アピバールを入れ直すことにしたが、その際イブキジャコウソウの生葉も一緒に巣箱に入れたところ、多数のミツバチヘギイタダニが巣門前に出て死んでいるのを初めて観察することが出来た。しかし、その後滑走路でのダニの死骸は見つからず、処置5日後の内検では巣箱の底にダニの死骸が10匹、動き回るダニが数匹見つかっただけであったことと、巣箱に入れていたイブキジャコウソウに香りが感じられなかったことなどから、当時は生葉で入れたイブキジャコウソウの効果の持続性は短いのではないかと推定していた。詳細は昨年のブログを参照。

ところが本日(イブキジャコウソウ設置10日後)、下の写真のように巣門前に設置している滑走路に20数匹のダニの死骸が出ているのを見つけた。他の蜂群も同様の措置を施しているが、滑走路にはほとんどダニの死骸は観察されず、観察出来ても1~2匹程度であった。

この写真の巣箱は、7月11日にイブキジャコウソウ生葉100gとアピバール3枚を同時に巣箱に入れ、18日に巣箱底に設置した粘着トラップに約750匹の死骸が見つかり、大量のダニが存在していることが明らかになったH群である(前回ブログ参照)。

18日に粘着トラップは回収しているため、脱落したダニは巣箱底でトラップされず、巣門前に出てきて死んだものと思われる。このことからイブキジャコウソウのダニ駆除効果は少なくとも7日~10日程度は持続しているものと考えられる。この効果がいつまで持続するのかを明らかにするのも今後の課題である。

写真 滑走路で死んでいるミツバチヘギイタダニ(あずき色の小さなラクビーボールのような形状)

 


イブキジャコウソウによるダニ駆除効果の確認実験(その2)

2021年07月18日 | 日記

イブキジャコウソウを単独で使用しても、ミツバチの寄生ダニであるミツバチヘギイタダニを駆除する効果のあることについて前回のブログで報告した。今回はこのダニ駆除効果を再度確認すると共に、ダニ駆除剤の一つであるアピバールとの併用による相乗効果についても確認することにした。

実験に供した蜂群は5群で、それぞれの巣箱の様子は表1のとおりである。

なお、「除去雄峰有蓋蜂児」の欄にはこの春から実施してきたダニ駆除対策の一つとして、繁殖のためダニが選択的に侵入する雄峰巣房で蜂児が有蓋(蛹)になった時点で切り取るという処置の実施状況を示した。しかし、「下段針金下(部分切り取り巣枠)」の処置回数は明確な記録を取っておらず、記憶に基づく実施回数を表記したため、若干不確かである。なお、この雄峰有蓋蜂児の除去については、こちらのブログに記載した。

実験は、イブキジャコウソウを単独で入れた巣箱とイブキジャコウソウとアピバールを併用した巣箱の2種類準備した。なお、G群は前回報告のイブキジャコウソウ単独での効果確認をした蜂群であるが、表1ではそれも含めて表示している。各群共アピバールは巣箱に3枚挿入し、イブキジャコウソウは100gの生葉を入れた。なお、イブキジャコウソウは6月から約一ヵ月花を付けるが、その後茂りすぎによる蒸れが原因で枯れ上がるため適度に風通しをよくするための剪定が必要となっており、今回はその剪定を兼ねて切り取ったものを利用した。巣箱の底にはトリカルネットにガムテープを張り付けた粘着トラップを設置した。

昨年実施したイブキジャコウソウとアピバールの併用によるダニ駆除を試みた際、投与開始から約9時間までの間に多数のダニの死骸が巣門前滑走路で確認出来たものの、その後は確認することが出来なかったため、イブキジャコウソウのダニ駆除の効果発現は短時間であると思われたこと、今回試しに実施したG群の実験では21日間粘着トラップを入れていたところ、ガムテープがあちらこちら食い破られていたこと、などから粘着トラップの設置は短期間であった方が望ましいと考え、設置期間は一週間程度とした。

実験の結果を表2に示す。

トラップされたダニの数は、ガムテープ1枚ごとに慎重に数えたが、一部重複や漏れがあると思われること、特に多数のダニが見られたH群のトラップ数は誤差が生じていると思われる。さらに、ガムテープが齧られ破れている個所があること、ガムテープをトリカルネットから剥がす際に一部のダニが脱落してしまったことなどもあり、数が若干少なくなっている可能性もある。

表2から、今回の実験ではトラップ出来たダニの数にはかなりの違いのあることが分る。ダニのトラップ数が他と比べると圧倒的に多いH群は、こまめに雄峰有蓋蜂児を駆除していなかった蜂群である。このことから、逆にH群以外では春から実施してきた雄峰有蓋蜂児切り取りによるダニ駆除効果が得られていたのではないかと考えられる。なお、H群は針金だけを張った巣枠に出来た雄峰有蓋蜂児を巣枠ごと取り除いた4月下旬、切り取り巣板を入れる作業の際、巣箱内に入れる余地がなくついついそのままになっていた蜂群だった。

今回の実験の目的の一つであったイブキジャコウソウとアピバールの併用による効果確認は、今回の実験の範囲では明確にはならなかった。これは、イブキジャコウソウとアピバールを併用したI群は、イブキジャコウソウ単独使用のE群よりもトラップされたダニの数が少ないことからそのように考えられる。原因は、アピバールの使用時期は春と秋が望ましいとされ、そもそも夏場の使用は推奨されていないことからアピバールのダニ駆除効果が十分に発現されていなかったことも考えられる。それよりも実験結果を左右したのは、実験開始時の各群に寄生していたダニの数と考えられる。そのため、本来はシュガーロール法にて予め各群のダニ寄生率を調べておくべきだったが、前回のブログにも記した通り、明らかにダニの寄生が認められた蜂群においてもシュガーロール法によるダニ寄生率はゼロという結果になったため、今回の実験では事前の寄生率調査は行わないことにした。なお、寄生率が何故正しく求められなかったのかについてその後京都産業大学ミツバチ産業科学研究センターの高橋准教授に伺ったところ、①大匙2杯よりも多くの粉砂糖を使い、②ミツバチは場所を変えてサンプリングし3回実施の平均値を求めるのが良い、とのアドバイスを頂いた。今後実施する際には気を付けて調査したいと思う。

なお、ミツバチヘギイタダニは6月中旬頃から増殖を始めるため、夏場のダニ駆除が重要となっているが、先に記したようにアピバールの使用は推奨されておらず、もう一つの動物医薬品として承認されている既存ダニ駆除剤も耐性ダニがいるため使用できるか否かを事前チェックしなければならず面倒であること、また昨年発売された有機系ダニ駆除剤(タチジャコウソウ成分を主成分とする)も気温が30℃以下でないと使用できないことなどから、夏場のダニ駆除に養蜂家は苦労しているところである。そこで、春からの雄峰有蓋蜂児の除去と、イブキジャコウソウを巣箱に入れる方法との併用がダニ駆除に有効ではないかと考えられる。

実験後の粘着トラップの様子を写真1と写真2に示す。いずれの写真もイブキジャコウソウとアピバールを併用した蜂群の粘着トラップである。

写真1 I群(確認出来るダニは6~7匹)

写真2 H群 (多数のダニが確認出来る)

なお、今回各群とも100gのイブキジャコウソウを使用したが、巣箱周りで死蜂が数十匹出た巣箱があること、写真3に示すように巣箱の外にミツバチが多数出ていることなどから、イブキジャコウソウの量が多すぎたということもあるかもしれず、今後は使用するイブキジャコウソウの最適量の検討も必要ではないかと考えている。また、写真4に示すように日当たりが他の蜂群よりも悪い巣箱に入れたイブキジャコウソウにカビが発生していたため、入れるイブキジャコウソウが生であることを考えると注意しておく必要あると思われる。

写真3 巣門前に多数のミツバチが出ている蜂群(粘着トラップ入れていない6枚群)

写真4 カビが発生した様子

今回は実験群のバックグラウンドが一部不明瞭であったり、実験結果の評価が必ずしも十分正確ではないなどの問題点もあるが、大きく括ると次のようなことが明らかになったのではないかと考える。

(1)イブキジャコウソウ単独で用いてもミツバチヘギイタダニ駆除に効果がある。

(2)夏場におけるイブキジャコウソウとアピバールの併用効果は今回の実験の範囲内では明らかではないため、秋などに再試験するなど今後も検討が必要である。

(3)ダニが選択的に繁殖のため入り込む雄峰巣房の有蓋切り取り駆除法とイブキジャコウソウ生葉駆除法を併用するとダニ駆除効果が高まる可能性がある。

(4)ダニ駆除のためのイブキジャコウソウ最適量は今後検討する必要がある。

なお、現在ニホンミツバチを飼育していないため、ニホンミツバチへの利用については検討出来ていないが、今後の検討課題の一つとしてアカリンダニ対策としてニホンミツバチへの利用が考えられる。アカリンダニは小さなダニで気管支内で繁殖することでミツバチを弱らせ、最後は蜂群を崩壊させてしまう恐ろしいダニである。そして、その被害が全国に広がっている。このアカリンダニ駆除にはメンソールクリスタルなどが広く利用されているが、西洋ミツバチのダニ駆除剤も有効とされている。そのため、この西洋ミツバチのダニ駆除に効果のあったイブキジャコウソウがニホンミツバチのアカリンダニ対策として利用できるか否かの検討も必要と考えている。

 

 

 

 

 

 


イブキジャコウソウのミツバチヘギイタダニ駆除効果再確認

2021年07月11日 | 日記

6月21日、ミツバチヘギイタダニ駆除のため切り取った有蓋雄峰巣房の中を調べていたところ、沢山のダニが発生している巣箱を確認した。切り取った有蓋雄峰巣房を割った写真1では8匹が確認出来る。

写真1 切り取った巣房を割ったところ(矢印の先にミツバチヘギイタダニがいる)

 そこで、シュガーロール法によりこの巣箱のダニ寄生率を調べてみた。写真2にはミツバチが約200匹と粉砂糖(おおさじ2杯)が入っており、容器をローリングさせミツバチに粉砂糖を十分にまぶし、1分静置した後、写真3のように容器から粉砂糖を振り出し、その中にいるミツバチヘギイタダニをカウントするという方法である。しかし、やり方が悪かったのか、落ちてきたダニはゼロ。

写真2 シュガーロール用の容器(蓋はメッシュになっている)

写真3 容器をさかさまに振り、容器の蓋のメッシュから砂糖を振り落とす

シュガーロール法では寄生率はゼロということになったが、ミツバチヘギイタダニが存在していることは間違いが無いため、ここでイブキジャコウソウの効果を確かめる実験をすることにした。

 準備したのは、イブキジャコウソウの生葉(100g)を玉ねぎネットに入れたものと、目の細かいトリカルネットにガムテープを張り付けたもの2つ(写真4)。切り取った雄峰巣房からダニの見つかった巣箱は継箱を継いでおり、上下で17枚の巣板が入っている。この巣箱の底にトリカルネットに張り付けたガムテープの接着面が上になるように巣箱の底に敷き、イブキジャコウソウの入った玉ねぎネットは蓋の下に入れた(6月21日)。

写真4 トリカルネットにガムテープを張り付けたものとイブキジャコウソウ生葉

写真5 イブキジャコウソウを入れたところ

 そして、本日(7月11日)この巣箱の底に入れたガムテープを張り付けたトリカルネットを取り出してみた。写真6のように取り出したトリカルネットを通してガムテープ接着面を観察したところではダニはいないように見えた。しかし、ガムテープをトリカルネットから外して観察してみると、多数のダニが接着面にいることが確認出来た(写真7)。勘定してみると、凡そ90~100匹のダニが接着面に付いていることが判った。写真7ではよく分らないので、ガムテープ中央部分を拡大し写真8に示す。

 今回の結果から、イブキジャコウソウ単独で巣箱に入れてもダニ駆除の効果がある程度あることが確認出来たのではないかと考える。この結果を踏まえ、イブキジャコウソウ単独の場合(再試験)、イブキジャコウソウとアピバール併用の場合の効果比較を実施予定である。
 

なお、今年から始めた雄峰巣房の積極的除去法はまだ技術的に充分習得出来ていないため、駆除効果も現在のところ十分ではないことがイブキジャコウソウによる駆除で判った。つまり、春から行ってきた雄峰除去でダニが十分駆除出来ておればこれほどの量のミツバチヘギイタダニがトラップされなかったのではないかと考える。しかし、その一方で雄峰を除去しすぎたためか、産卵を続けていた今年生まれの女王蜂が突然姿を消すということも2度生じた。原因は不明だが、交尾不良で産卵出来なくなったことも考えられ、当然のことながら手あたり次第雄峰を除去していくことにも問題があり、どの程度の雄峰巣房除去をすればいいのかは経験を積んでいくほかは無いのかもしれないと考えている。

写真6 ガムテープを張り付けたトリカルネットを取り出した直後

写真7 トリカルネットから外したガムテープ接着面

写真8 ガムテープ接着面中央部拡大

 

 

 

 

 


イブキジャコウソウの開花

2021年07月11日 | 日記

和のハーブとされるタイムの仲間のイブキジャコウソウがミツバチの大敵ミツバチヘギイタダニの駆除に効果がありそうだということを自分なりに昨年見つけ、昨秋の初め頃から自宅で増殖させてきたが、そのイブキジャコウソウの花が6月中旬頃から咲き始め、ミツバチが訪れるようなった。

 なお、昨年イブキジャコウソウの効果を確認してから、かしまミツバチプロジェクトのビーガーデンから10株程(両掌に乗る程度)自宅に持ち帰り、積極的に挿し木などで増殖させたところ、現在驚くほどよく繁殖しかなりの株数となっている。


今年のダニ対策

2021年07月11日 | 日記

 2010年から趣味としてミツバチの飼育を始めてから11年が経過したが、年々西洋ミツバチに寄生するミツバチヘギイタダニが駆除しにくくなり、ダニによって様々なウィルスが媒介され、そのウィルスの影響でミツバチの翅が縮れたり、巣箱のまわりを徘徊して死んでしまうなどの被害が見過ごせなくなってきている。その上、ミツバチヘギイタダニの駆除剤として承認されている薬剤も耐性ダニの出現により効きにくくなるなど駆除の選択肢が限られてくることになっている。

 昨年、駆除剤として承認されている薬剤「A剤」が全く効果を発揮せず、ダニが大量に発生してしまった蜂群にイブキジャコウソウの生葉と、駆除剤として承認されているもう一つの薬剤「B剤」を同時に巣箱に入れて見たところ、大量のダニが巣箱から這い出して死んでいるのを確認することが出来た。詳細を記したブログはこちら

 一方、2021年はダニ駆除に関してイブキジャコウソウもさることながら、従来と異なる駆除法も試してみようと考えた。その一つが養蜂産業振興会報(No.4 October2020)「蜂児を用いたトラップ式ダニ駆除法-ナイフ1本でミツバチヘギイタダニをコントロールする-(山口冨生)」、付録DVD「蜂児を用いたトラップ式ダニ駆除法」である。これは巣礎を使わず、ミツバチに自由に造巣させると雄峰巣房が沢山出来るため、そこで誕生しようとする雄峰の有蓋巣房を切り取ってしまうという手法である。

ここには、写真1のように巣礎を張らない巣枠を用いて巣枠全体を自由に造巣させる方法と、通常の巣礎を張った巣枠の針金の下部分の巣礎を切り取り、この切り取った部分を自由に造巣させる方法の二通りが紹介されている。いずれも自由に造巣させるとほとんどの部分が雄峰巣房になるので、この巣房で生育している雄峰を有蓋蜂児の時点で取り除いていくというものである。ミツバチの幼虫に寄生して繁殖するミツバチヘギイタダニにとっては、有蓋蜂児期間が働きバチよりも長くなる雄峰に寄生する方が多くの子孫を残せるため、ダニも選択的に繁殖巣房として雄峰巣房を選ぶため、この性質を利用した駆除法である。

 今年は4月初旬に写真1の巣枠を全ての巣箱で1枚挿入し、雄峰有蓋蜂児が出来た時点でこれらを切り取り除去した。この操作を全ての巣箱で1~2回繰り返した。

その後、当然のことながら蜂場全体で雄峰があまり見かけなくなり、新女王蜂更新に支障が出そうだと考え、5月からは巣礎を張った巣板の下段針金の下の巣礎を切り取った巣枠を使った雄峰駆除をするようにし、それ以外に出来た雄峰巣房は除去せず適当に雄峰の誕生も許すようにし、現在もこの処置を継続している。

写真1 針金だけを張った巣枠 

写真2 巣板の下段針金の下部分巣礎を切り取り自由に造巣させた巣板

写真3 写真2の雄峰巣房の切り取り

 

 

 

 


イブキジャコウソウが西洋ミツバチに寄生するミツバチヘギイタダニ駆除に効果?

2020年08月20日 | 日記

イブキジャコウソウは、佐々木正巳著「蜂からみた花の世界」で、日本の山地から高山帯に自生し、タイムに近い仲間と紹介されている。草姿はクリーピングタイムに似ている。このタイムはハーブの一種で優れた蜜源植物としても知られているばかりか、その精油の主成分であるチモールは、ミツバチヘギイタダニ駆除剤に使われており(例えばアピライフバー等)、今年発売が開始された寄生ダニ駆除剤「チモバール」の主成分もチモールとされている。因みにチモバールのパンフレットには、チモバールは「タチジャコウソウやタイムに含まれる植物オイル成分由来の化合物」と表記されている。

 栽培しているイブキジャコウソウ (恐らく園芸種)

今回イブキジャコウソウにミツバチヘギイタダニの駆除効果があることを確認したのは、ダニ駆除剤アピスタンで駆除出来ずミツバチヘギイタダニが広がってしまった蜂群(8枚群)。恐らく寄生していたミツバチヘギイタダニがアピスタン耐性を有していたものと思われる。

この問題蜂群から入れていたアピスタンを抜き取り、それに代わりにもう1種類のダニ駆除剤アピバール2枚を挿入すると同時にイブキジャコウソウを巣板上部に置いた。その際のイブキジャコウソウの量は計量しておらず、両手にふっくらと乗る程度の量と表現せざるを得ない。

イブキジャコウソウを入れる判断に至った経緯は次の通り。手元にあるもので早急に広がったミツバチヘギイタダニを駆除するには、まずアピバールの利用が考えられる。しかし、アピバールの投与時期は春秋が推奨されており、夏場の使用を薦めていない。そのため、この時期投与しても十分に薬効が発揮されるかの疑問が残った。そこで考えられる手法がIPM(Integrated Pest Management)技術である。つまり非農薬系駆除剤とアピバールの併用で薬効を高めるという手法である。そのため、まず非農薬系駆除剤としてチモバールの投与を考えた。しかし、チモバールは気温15℃~30℃でないと使えず、毎日のように30℃を超えるこの夏場には使えない。そこで身近で栽培していたチモール成分を含んでいるイブキジャコウソウを利用してみようということになった(イブキジャコウソウ入手の経緯)。

 

処置後4時間経過した時点で、下の写真ように巣箱前に置いている滑走路に多数のミツバチヘギイタダニが出ているのが確認出来た。これらは、ミツバチが運び出したのか、それとも自ら外に出てきたのか定かではない。ほとんどのミツバチヘギイタダニは動いていないが、数匹は動いていた。なお、滑走路とは巣箱の巣門から地面までの高低差を埋めるために渡した板を滑走路と称する。

 処置4時間後

この滑走路上のミツバチヘギイタダニを全て除去した上で再び設置し、その5時間後に観察した際の様子を下の写真に示す。再び多数のミツバチヘギイタダニが観察された。これらを全て除去し、滑走路を設置し直し翌朝観察したところ、滑走路上で数匹のミツバチヘギイタダニが観察された。しかし、その後滑走路に出ているミツバチヘギイタダニは観察できなかった。

 処置4時間後のダニを払った後5時間後

アピバールとイブキジャコウソウとを投与してから5日後に内検を行い、女王蜂も産卵も確認出来たので、短期的にはミツバチへの影響は無いように思われた。なお、この内検の際、ミツバチヘギイタダニが多数寄生している有蓋蜂児枠を全て抜き出し破棄し、幼虫枠と蜜枠4枚群として整理し、アピバール(今まで垂下していたもの)と新しいイブキジャコウソウを前回と同じ程度入れ、給餌を行った。この時、(1)最初に入れたイブキジャコウソウの香りはほとんど無いこと、(2)巣箱の底にはミツバチヘギイタダニの死骸が10匹程度確認出来、中には数匹動いているものも認められたことなどが判った。余談だが、その動いている1匹のダニの上をミツバチが通り過ぎた後にその個体の姿がなく、ミツバチに乗り移ったものと思われる珍しい場面を目撃した。

これらの事実から(1)イブキジャコウソウがミツバチヘギイタダニ駆除にある程度の効果を有すること、(2)その効果の持続性は短期間であろうこと、(3)ミツバチから脱落したミツバチヘギイタダニをトラップするための巣箱底への粘着剤の配置で効果が高まる可能性があること、(4)短期的にはミツバチへの影響は認められないだろうことなどが判った。しかし、このダニ駆除効果がアピバールとイブキジャコウソウの相乗効果だったのか、イブキジャコウソウ単独でもダニ駆除効果があるのか、ミツバチの幼虫に与える影響の程度などは今後の課題と思われる。また効果の持続性についてもさらなる解明が必要と考えられる。

次に、今後のイブキジャコウソウに関する展開の可能性について考えてみる。イブキジャコウソウは2014年に入手して以来蜜源植物として栽培しているが、株分けや挿し木で簡単に増やすことが出来、花にはミツバチが沢山集まってくることを観察している。花は5月頃から7月頃に咲くが、夏場に蒸れて葉が枯れることがあるため、花が終わった頃に刈り込む必要ある。この花が終わった時期が丁度ミツバチヘギイタダニがミツバチの巣箱の中で大量に増殖し始める時期と重なるため、刈り込んだイブキジャコウソウの有効利用でダニ駆除が出来ることになる。

また、ニホンミツバチで近年問題となっているアカリンダニ駆除にはミツバチヘギイタダニ駆除剤が有効と養蜂技術指導書にも記載されている。このことから、イブキジャコウソウでニホンミツバチに寄生したアカリンダニ駆除にも期待したいところである。

養蜂場の周辺でイブキジャコウソウを栽培し、ミツバチに花蜜を提供してもらい、花の終わったイブキジャコウソウを栽培管理の一環として刈り取り、それを巣箱に入れてミツバチヘギイタダニやアカリンダニ駆除に利用するという環境が整うことで優しい養蜂が出来るのではないかと夢見ている。

たった一度しか確認出来ていない状況のため、イブキジャコウソウでミツバチヘギイタダニが確実に駆除出来るとは断定し難い現状ですが、今後趣味の養蜂家などでお役に立てればと思い早々と公開することにしました。多くの方々に試して頂ければ幸いです。


スノーシュートレッキングに参加してきました

2019年02月11日 | 日記

湯治の合間にスノーシュートレッキングツアーに参加してきました。コースは、温泉噴出地帯のため夏は立ち入りが制限されている後生掛自然研究路です。自然公園財団のガイドさんの案内で積雪約3mの中、日本最大級の泥火山や奇木の森では地吹雪体験が出来たり、急に差し込んでくる太陽による景色の変化を十分に楽しみ、アッという間の三時間でした。

隊列の一番先頭はしんどいラッセルのため、ガイドさんが頑張ってくれました。私は一番最後。楽して歩かせてもらいました。

泥火山があちらこちらにある大湯沼。

後生掛温泉を望む十字架の丘からの景色です。

つい前まで地吹雪が酷かったものの、青空も見えるようになってきました。

森の中でのガイドさんの説明。

今回、斜面で転んだ時にどうやら愛用のコンパクトカメラを雪の中に落としてしまった。残念。ブログの写真はツアー後半にスマホで撮影したものです。

 


後生掛温泉での自炊湯治

2019年02月11日 | 日記

後生掛温泉オンドル大部屋での自炊湯治一人旅を終えました。温泉の蒸気噴出地帯に建つオンドル建屋は床が熱く、熱気がこもった室内は真冬でも半そで半ズボンが普通。たまたま同室になった人たちとの交流が楽しく、今回も毎晩のように持ち寄り宴会、お昼は雪の中のウォーキングと楽しく過ごすことが出来ました。

写真左奥が後生掛温泉です。

この日散歩をご一緒した人たちと記念撮影

アルコール持参で美味しい食事を沢山いただきました。


またもや巣箱の下に蜂球が出来ました

2018年05月08日 | 日記

昨日のお昼過ぎ、まさに天気が崩れて雨が降り始める直前、我が家のニホンミツバチの巣箱から今年3度目の分封が発生し、またもや巣箱の下に蜂球を作りました。今日は昨日からの雨が上がったものの、北からの風が冷たい曇り空だったので、早く回収して巣箱に収めてあげるのが良いと思い、寒空の中回収することにしました。回収は前回と同じ電気掃除機を使い、蜂球を吸い取りました。

写真写りが悪いですが、前回と同じ巣箱下の蜂球です。昨日から一晩中雨が降り続いていたので、昨日蜂球が出来た時は外から見える位置にありましたが、今朝は巣箱の真下あたりに移動して雨を避けていたようです。

電気掃除機で回収した蜂球。電気掃除機と吸い口の間にミツバチを溜めるボックスを配置し、中に玉ねぎネットを入れて回収です。

玉ねぎネットを巣箱の近くにつりさげて蜂球を作らせ、その後は巣箱にドサッと落とし込んで回収完了となりました。

 


巣箱の下に何故か蜂球が!

2018年05月02日 | 日記

我が家のニホンミツバチの巣箱下に何故か蜂球が!
 この蜂球は4月26日の分封騒ぎの時から出来始めました。26日に楓に出来た蜂球は直ぐに捕獲しましたが、この巣箱下蜂球は本当に分封群なのかの判断が付かずでした。しかし、その後少しずつ蜂球が大きくなるようにも見えましたので、30日思い切ってその蜂球を捕獲することにしました。巣箱底板と置台の両方に跨って出来た蜂球で、いつものような捕獲が難しい場所でしたので、今回は電気掃除機で蜂球を吸い取ることにしました。最後は巣箱を持ち上げ綺麗にミツバチを吸い取り、新しい巣箱に回収することが出来ました。

4月26日の巣門付近の様子。楓には既にこの時点で蜂球が出来ていましたが、巣門前はミツバチがびっしり!しかし、午後にはこの塊は外見上無くなりました。恐らく巣箱の底には蜂球があったのかもしれませんが、巣箱の底はのぞき込まないと見えないので外見上は蜂球が確認出来ませんでした。しかし、翌日には巣箱底に蜂球のあることが外見上もはっきりとわかるようになりました。

こんな感じで巣箱の底にびっしりとニホンミツバチが蜂球を作っています。でも上の巣箱とは別の集団のように見えます。

巣箱の後ろ側から巣箱置台の下に手を入れ写真撮影したのがこの写真です。立派な蜂球です。蜂球は巣箱の底板と置台にまたがって出来ています。

この空間には片手がやっと入る程度の隙間しかありませんので、ミツバチを払い落すことも出来ません。

そこで電気掃除機の出番。掃除機の吸う力を「弱」にして慎重に吸い取っていきます。最後は巣箱を持ち上げ、残りのミツバチも吸引。

吸い取ったミツバチ達です。結構な蜂数でした。恐らく26日の朝には同じ巣箱から同時に二群が分封したようで、こちらが蜂数が多いことから旧王の入った第一分封群で、26日に捕獲した方が蜂数が少ないことから第二分封だったのかなと想像します。それにしても何故巣箱の底に蜂球を作ったのでしょうか。旧女王蜂は飛べなかったのでしょうか。




4月26日今年初の分封が発生しました

2018年05月02日 | 日記

4月26日朝、我が家のニホンミツバチが分封し、庭の楓の枝に分封群が集まり蜂球を作りました。ザルを付けた玉ねぎネットの中にバサバサと枝を揺すって落とし込み、木陰にぶら下げ落ち着かせました。ザルの中に再び蜂球が出来るので、これを巣箱に落とし入れ、回収完了となります。直接巣箱に落とし込んで回収すれば簡単だったのですが、分封群は蜂友にお譲りする約束をしていたので、こんな処置となりました。

楓の枝に出来た蜂球

片端にザルを取り付けた玉ねぎネットに蜂球を払い落し、その後ザルを頭にして木にぶら下げてザルに蜂球を作らせます。

玉ねぎネットの下からザルを覗いた写真。ザルに蜂球が出来れば、そっと玉ねぎネットを外してザルに付いたミツバチを巣箱に落とし入れたら完了です。

 

 

 


スズメバチ対策(西洋ミツバチ)

2017年09月20日 | 日記

ニホンミツバチのようにスズメバチに対抗する術を有していない西洋ミツバチは、従来「スズメバチ捕獲器」(一枚目写真手前)を巣箱に取り付け、スズメバチから守っていました。


 「スズメバチ捕獲器」に取り込まれたスズメバチはピンセットで摘み出して殺しますが、放っておいてもこの中で死んでしまいます。こんな仕掛けで従来はある程度の効果は上がっていました。
 しかし、数年前から我が家の西洋ミツバチもスズメバチに対抗する術を身に付けたようで、それからと言うもの、ミツバチも自信を付けたのか、「スズメバチ捕獲器」に捕らえられたスズメバチを放っておけばいいものをわざわざ闘いを挑みにいき、その結果多くの犠牲者を出すようになりました。また、多数のミツバチが「スズメバチ捕獲器」の金網の外側で一塊になって迎撃体制を作り、襲ってくるスズメバチに闘いを挑み、こちらもかえって犠牲者を増やすこともしばしばです。
 そこで、今年は「スズメバチ捕獲器」全体を網で覆える「網籠」(二枚目の写真)を試作してみました。

これなら「網籠」の外側では迎撃態勢を作り辛いだろうし、オオスズメバチの巣箱への侵入も一層しずらくなるのではないかと考えたからです。しかし、「スズメバチ捕獲器」と「網籠」同時に取り付けると、ミツバチにとっては、外に行くにも、巣箱に帰るにも何枚もの網を抜けないといけないのでストレスになると考えられます。そのため、「スズメバチ捕獲器」と「網籠」の併用はオオスズメバチの飛来がピークを迎える頃限定で使ってみようと考えています。
 現在は、その「網籠」の性能を確かめるために「スズメバチ捕獲器」を外し、「網籠」だけを取り付けてミツバチの様子を観察しています(写真1枚目の奥の巣箱)。
 「網籠」だけの場合でもやはりミツバチは巣門近くで迎撃態勢を作りました。しかし、それは「網籠」の内側のため、スズメバチから襲われる心配はありません。勿論スズメバチの侵入もありません。これなら何とか使えそうです。
 なお、この「網籠」の金網の目開きは「スズメバチ捕獲器」とほぼ同じサイズのものを使っています。 


スズメバチ対策(ニホンミツバチ)

2017年09月20日 | 日記

我が家周辺ではオオスズメバチはまだほとんど見掛けません。しかし、キイロスズメバチが毎日沢山やってきては、ミツバチを一匹ずつ捕まえて連れ去っていきます。見かけたら一匹ずつ捕虫網で捕まえては殺していますが、オオスズメバチがやってくるようになると捕虫網で一匹ずつ捕まえるような方法以外の対策も施しておいた方が無難なようです。というのも、オオスズメバチはミツバチの巣箱を見つけると巣門に取り付き、仲間を集めるための臭いを放出しながらミツバチを片っ端から噛み殺し(半殺しにし)、仲間と一緒に巣箱を齧って巣門を広げ巣箱の中に侵入し、幼虫とハチミツを強奪するのです。ニホンミツバチはスズメバチに抵抗する術は持っているものの、多勢に無勢の場合だってあるようだし、巣箱の見回りが出来ない場合もあります。そこで、オオスズメバチが巣門に侵入出来ないように巣門前に金網を取り付けました。金網の隙間が狭いため、ミツバチたちはちょっと出入りがしずらそうですが、11月初旬頃まで少し辛抱してもらいたいと思っています。巣箱はオオスズメバチが齧り切れない板厚で作っているので、金網防御は不要かもしれませんが、ちょっと過保護にやってみました。

取り付け後にミツバチの出入りする様子は、以下のサイトでご覧ください。動画を見ると、金網を一生懸命舐めている個体がいますが、一体何をしているのでしょうか。入りやすくするために蜜ろうでも塗っているのでしょか。それらの作業をしている個体に、途中で仲間が口移しで何かを渡しているようにも見えます。面白いですよね。