目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

ダンサー・イン・ザ・ダーク ★★★★

2011-05-02 11:36:04 | ★★★★
DVDで今更鑑賞。2000年の映画だったんですね。


(あらすじ)
舞台はアメリカのある町。主人公のチェコからの移民セルマは息子と二人暮しをしていた。貧乏だが工場での労働は、友人に囲まれて日々楽しいものだった。だが彼女は先天性の病気で徐々に視力が失われつつあり、今年中には失明する運命にあった。息子もまた、彼女からの遺伝により13歳で手術をしなければいずれ失明する運命にあった。
(以上 wikipediaより ってか、またもや、ほとんど粗筋書いてあったので割愛)

相方のチョイスで鑑賞しました。それにしても、昔から色んな人がオススメしている映画ではあったものの、なかなか手が伸びなかったので相方には感謝したいところです。それにしても、相方のチョイスする映画はバッド・エンドが多いなあ苦笑。

正直、ミュージカルシーンだけ見てもなんのことやらわからないので、ぜひとも1回映画を通して鑑賞して欲しいですね。この映画のミュージカルシーンは必見かと思います。トム・ヨークとビョークのデュエットの電車のシーンは本当に美しい。こういう映像、こういう音楽を作れるってどういう才能なのだろうか、と考え込んでしまいます。

胸が締め付けられるようなお話です。途中から徐々に物語として日常が破綻していくのですが、破綻する前の日常もうまく描いており、丁寧に伏線も張ってあります。物語としても一級品だと思います。それにしても破綻していくところは本当に恐ろしい展開。ありそうな話だけに、なんとも・・・。人物配置や職業までよく考えられて作られたお話だなあ、と感心しました。後半は本当に救いがほとんどなくて見ていられない話になっていき、ラストのシーンは本当に無慈悲に描かれています。絞首刑と顔を覆う袋、全盲なので袋を外す、の流れは作り手側の狂気を見たように思います。ラストの衝撃度を大きく底上げする流れなのですが・・・。

映画の冒頭から静かなシーンが続きますが、徐々にセルマの妄想のシーンでミュージカルが挿入されるのですが、このミュージカルシーンが本当に素晴らしい。映画の粗筋と逸脱しているわけではないのですが、やはり非現実感は出てますね。私はこの非現実感は好き。あからさまに映像の雰囲気を変えてあるのも好印象。現在であればもっと美しい映像で撮影も出来たでしょうが、この映像の雰囲気も含めて、狙って作っているのでしょう。手持ちカメラで撮影した感じがドキュメンタリー感も出していて、臨場感を高めています。一人一人の役者の「そこにいそうな雰囲気」も素晴らしい。
音楽の乗っかり方は本当にすごい。場面場面で鳴っている音から徐々にミュージカルシーンへと没入していく様はセルマの聞いている音から妄想へ入っていく様とリンクしているのですが、その描き方、そして曲の1曲1曲の歌詞、内容まで含めて非常に上手な映画になっていました。セルマの心情を描ききっている。

冒頭にバッドエンド、と書きましたが、この映画の中でのセルマの感情はそういう意味では、最後に救われていると私は思います。そりゃあ、あのお話としてあの終わり方を手放しで絶賛するという意味ではもちろんありませんが。


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