目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

ハート・ロッカー ★★★★

2010-12-28 20:06:53 | ★★★★
DVDで今頃鑑賞。
監督:キャスリン・ビグロー
アカデミー賞で作品賞、監督賞、オリジナル脚本賞、編集賞、音響効果賞、録音賞を受賞し、鳴り物入りで公開、されたはずですが、日本ではあまり公開館数が多くなかったように思います。
イラク戦争を題材に爆発物処理班の活躍を描きながら一人の爆発物処理のプロの心の揺れ動きなどを追った映画作品。まず、私個人としてはイラク戦争についてあまり知識がない、切迫した問題だという認識がない、のが正直なところなのですが、それでも非常に興味深い題材だと感じました。

爆発物処理、という題材は基本的に映画の題材としてはよく使われるプロットで、たいていは爆弾魔とそれと対決する刑事、というような映画が多いと思います。赤い線か青い線かで悩む、という演出はジャガーノートなどで描かれてからはかなり世の中の爆弾モノの作品の定番演出となっていると思いますが、そういう部分ではなく、戦争の中のイラク市民をターゲットとした無差別テロに対しての爆発物処理班にスポットを当てている時点で中々題材の選択として面白いと思います。実際にはイラクでは切実な問題なのだと思います。実際、民族紛争としての爆弾テロ行為は頻発しているようですし。

映画を観終わった後に感じたのはやはり狙撃戦の刺激的な描写と人間爆弾の恐怖ですかね。更に爆弾によるテロの恐ろしさ。狙撃戦については多くの人が語るようにかなり面白いシーンだと思います。チームとしての一体感を描くという意味でもかなり良い描写だったと思います。人間爆弾のシーンとそれに連なるある人の死の描写も直接的・間接的に描いていくことでテロ行為の恐怖をじわじわと描いています。

爆発物処理に対してある種の刺激を感じ、次々と困難な爆発物解体に挑んでいくジェームズの仕事への没頭ぶりとは裏腹に家庭との生活に違和感を感じる、というのは確かにある種の麻薬・アドレナリンジャンキーなのでしょう。そんな彼といくつかの悲劇を通じて戦争の悲劇を描き出している、というのが一般的なこの映画への評価となるのでしょう。

エンドテーマに使われているアーティストの曲が反ブッシュのメッセージを歌うユニット、ということを知るとまたこの映画への見方が180度変わる、という仕掛けが非常に面白くもあり、社会的な映画だ、と感じました。オススメです。


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