Light in June

文学やアニメ、毎日の生活についての日記。

雪消ゆ

2011-02-14 22:10:51 | Weblog
「いま雪が降っています。それに何の意味があります?」
「もえろ、もえろ、明るくもえろ 消えないように」

ロシア文学で「雪特集」を組んだら何があるかな、と思って数え出したら、片手ほどしか思いつかなかった・・・忘れてるなあ。

チェーホフ「三人姉妹」には、「いま雪が降っています。それに何の意味があります?」という台詞がありますが、まさに無意味を問うたものですね。「タララ・ブンビ・ヤー、シジュー・ナ・トゥンベ・ヤー」といった無意味な言葉遊びもありますし、「チェハールトマ」論争もあるし、どうしてどうしてチェーホフは無意味というものを追究した作家なのですね。

一方、「もえろ、もえろ」の方はマルシャーク『森は生きている』の有名な一節。雪深い森の中で、少女が大きな大きな焚き火を見つけます。その炎を囲っていたのは12人の月の精たち・・・。

いま雪が降っています。東京に。
久々の大雪です。1時間経たないくらいで積もり始め、今やもう靴がざくざく言うほどです。降り出したのは夕方頃でしょうか?それとももっと早く?初めは雨だったようですが、6時過ぎにはみぞれに変わり、30分も立つと、雪になっていました。ぼくはこの大雪の中を帰宅しましたが、びちょびちょになっちまいましたよ。冷たい!でも、東京で生まれ育ったので、雪は楽しみです。(あめゆじゅとてきてけんじゃ。)

目を閉じると、夜の街に降りしきる真白い無数のつぶての残像。
雪はまるで何かの続きのように、音もなく降り積もる。
東京を白で塗り込め、閉じ込めてしまう雪は、浄化の象徴のように言われますけれども、それはあたかも忘却の、無の象徴のようにも思われます。無。黒と同様に白もまた、無に違いない。いや、むしろ黒よりも。
雪国では、雪は白い巨人がばらばらに崩れながら落ちてくるようなものだとすれば、東京のそれはさしずめ、白い蝶の死骸か。なんかシンボリズムっぽいな。