Light in June

文学やアニメ、毎日の生活についての日記。

五十一話集

2011-01-05 22:42:56 | 文学
ダンセイニの超短編小説集『五十一話集』を読む。ほぼ全ての作品が1~2ページに収まる内容で、非常に短いのが特徴。

さて、ダンセイニのこの作品集はタルホに絶大な影響を与えたらしく、それを知る前からぼくは読んでみたいと思っていたのですが、知ってからは、尚のこと読みたくなりました。で、読み始めると、なるほど、これはタルホの世界に一脈通じるものがある。

ダンセイニの世界観は、独特の寓話的・神話的世界であり、そこでは「死」や「名声」が人間と言葉を交わし、牧神のパンが死んだように眠りこけ、ペテロは娼婦に天国の門を開け、ミューズは人の国に使者を遣わし、男は夢の中で城壁をよじ登る。

訳文はときに格調高く、ときにお伽話の語り口に似て、自由自在。

時は千年を一瞬にして跳躍し、人間の造り出した文明は滅んでも、星々の世界と神々の世界は永えに続くものとして描かれます。『五十一話集』の随所に見られるのはこの文明批判と自然崇拝であり、仮初の生しか与えられないかのような人間が栄達を望むことへの皮肉も感じられます。冒頭の「あいびきの約束」は、詩人には目もくれない「名声」が最後に、百年もしたら墓場で詩人と会う約束をする物語であり(!)、「鳶職人」は、ホテルのてっぺんから落ちるときに足場に自分の名前を彫りつけようとした鳶職人を愚かに感じた「わたし」のもとに(そのような名前などどうして残ることがあるだろう)、その職人の幽霊が現われて、「くだらねえ文明なんざ何世紀かすりゃみんなきれいさっぱりなくなっちまう」と笑う物語でありました。こんなあらすじではよく分からないかもしれませんが、いずれも巨大な思想がぞぞっと来るほど集約された、稀に見る凝結度の高い見事な超短編となっています。

また、「あいびき」の例からも分かるように、詩人は人間の中でも特別扱いされていて、彼は一個の文明よりも貴重で、価値のある、後世に名を残すことのできる、恐らくは人間で唯一の存在です。

ダンセイニのペシミズムというか厭世主義、そして無邪気と覚えるほどの詩人崇拝は、もしかするとナイーヴに感じる向きもあるかもしれませんが、しかしこのある種の極端さが夢の世界、神話の世界の論理に通じている気がして、一つの妙味となっています。

お伽話ないしは例え話として完結したこれらの作品は、もし超短編小説というジャンルが峨々たる連峰であるならば、間違いなくそのジャンルの一峰の頂点に君臨している。アレーのようなブラックユーモア、タルホのような曖昧模糊とは異なる、しかしどこかタルホの世界観と響き合いもする、独自の魅力を具えた優れた作品集だと思います。

初詣!

2011-01-05 00:08:56 | お出かけ
きのう、初詣に行ってきました。
色々とあって、亀戸天神にまで行って参りました。
昼頃に着いたのですが、ものすごい行列で、境内から道路にまで続き、折れ曲がり、歩道に沿って何メートルも何メートルも延々とのびていました。並ぶのは好きじゃないのでもうやめようかなと思いましたが、しかし行列の進行は思いのほか早く、スムーズでしたので、そのまま行列の中に立っておりました。すると前へ前へと押されてゆき・・・しばらくすると境内の中へ。それからまたゆるゆると進み、全て合わせて40分ほどでしょうか、お賽銭を投げることができました。40分。長い気もしますが、けれどもあの長蛇の列を思えば、短い方だと思います。そのくらいの行列でした。

屋台がけっこう出ていたので、そこで軽い昼食を済ませ、亀戸天神を後にしたのでした。
今日はこれでおしまい。