2号機水たまりの放射性ヨウ素、通常冷却水の1千万倍
2011年3月27日
検出された放射性物質には燃料が核分裂してできる物質が含まれていた。半減期が8日と短いヨウ素131などが多量に含まれることなどから、保安院は、炉から取り出して時間が経っている燃料のプールより、原子炉から漏れ出た恐れが強いとみている。
2号機は炉心の水位が低い状況が続き、格納容器につながる圧力抑制室が爆発で壊れた疑いがある。特に2号機では、ほかの号機にはみられない、半減期が53分と短いヨウ素134が高い濃度で検出された。このため、炉内で部分的に核分裂反応が続いている可能性も出ている。
![](http://static.guim.co.uk/sys-images/Guardian/Pix/pictures/2011/3/26/1301157525478/Chernobyls-legacy-a-crack-007.jpg)
そんななか、ガーディアンが
Chernobyl 25 years on: a poisoned landscape
As Japan struggles with its nuclear plant crisis, the site of the biggest atomic disaster in history remains a grim, radioactive monument
Robin McKie in Chernobyl
The Observer, Sunday 27
チェリノブイリから25年、その負の遺産、という記事を出している。いまだに人が住めるところではなく、
Scientists say that radiation will affect the Chernobyl area for 48,000 years although it will be safe enough for humans to begin repopulating the area long before then - in about 600 years.
人が住めるようになるまでには600年、放射の影響は、48000年続くだろう、と。
ただ、チェルノブイリとは状況が違う、と。
As to the comparison between Fukushima and Chernobyl, Tatarchuk is emphatic: "No, it is not as bad in Japan as it was here, not by a long way.
Set among lakes, sandy soil and forests on steppe lands north of Kiev, Chernobyl achieved global notoriety in 1986 when technicians carried out an experiment aimed at testing backup electrical supplies to one of the plant's four reactors. The flow of water – used as a coolant to carry away the mighty heat of the reactor core – was raised and lowered.
After a few minutes, there was a sudden jump in reactor power. Ten seconds later the core was blown apart by a massive explosion.
Without a containment vessel, the reactor's deadly radioactive contents were borne high into the air by the heat of the core's burning graphite and spread over much of Europe, triggering an international panic.
But there are lots of similarities. Basically, we had high radiation and no information in 1986, and that seems to be going on once more. That is the pattern when these things happen."
チェリノブイリの場合は、圧力容器がないうえ、炉心が吹き飛ばされた。
ただ、類似点もある、と。
But there are lots of similarities. Basically, we had high radiation and no information in 1986, and that seems to be going on once more. That is the pattern when these things happen.
今回の場合も、高い放射能が放出され、かつ、情報がない、と。
BBC
27 March 2011 Last updated at 04:33 GMT Share this pageFacebookTwitterShareEmailPrint
Japan workers pulled out of reactor, as radiation soars
The UN's nuclear agency has warned the crisis could go on for months.
IAEAも危機的状況は数かけ月続くだろう、、と。
BBC
26 March 2011 Last updated at 12:50 GMT Share this pageFacebookTwitterShareEmailPrint
Viewpoint: We should stop running away from radiation
By Wade Allison
University of Oxford
What of Three Mile Island? There were no known deaths there.
And Chernobyl? The latest UN report published on 28 February confirms the known death toll - 28 fatalities among emergency workers, plus 15 fatal cases of child thyroid cancer - which would have been avoided if iodine tablets had been taken (as they have now in Japan). And in each case the numbers are minute compared with the 3,800 at Bhopal in 1984, who died as a result of a leak of chemicals from the Union Carbide pesticide plant.
スリーマイル島の時は死者は出なかった。チェリノブイリのときは、甲状腺癌による15人の子供の死亡が報告されている。(この場合、ヨウ素剤によってさけることもできた)いずれの場合も1984年におきた農薬工場での化学物質漏れで、3800人の死者を出した場合にくらべるとかなり少ない。
A map of Chernobyl in the UN report shows regions shaded according to rate, up to 3,700 kBq per sq m - areas with less than 37 kBq per sq m are not shaded at all. In round terms, this suggests that the radioactive fallout at Fukushima is less than 1% of that at Chernobyl.
福島からでている放射性物質はチェリノブイリの1%以下にすぎない。(記事執筆時ということだろう)
Over-reaction
On the 16th anniversary of Chernobyl, the Swedish radiation authorities, writing in the Stockholm daily Dagens Nyheter, admitted over-reacting by setting the safety level too low and condemning 78% of all reindeer meat unnecessarily, and at great cost.
Unfortunately, the Japanese seem to be repeating the mistake. On 23 March they advised that children should not drink tap water in Tokyo, where an activity of 200 Bq per litre had been measured the day before. Let's put this in perspective. The natural radioactivity in every human body is 50 Bq per litre - 200 Bq per litre is really not going to do much harm.
スエーデンの放射能の専門家はチェリノブイリ16周年のときに、安全基準が厳しすぎた、といっているが、今回も、日本では同じ間違いが繰り返されているのではないか?そもそも、自然な状態でも人体には50 Bq/l の放射性物質があり、200Bq/lの放射物質が人体に悪影響をおよぼすものでもない。
In the Cold War era most people were led to believe that nuclear radiation presents a quite exceptional danger understood only by "eggheads" working in secret military establishments.
To cope with the friendly fire of such nuclear propaganda on the home front, ever tighter radiation regulations were enacted in order to keep all contact with radiation As Low As Reasonably Achievable (ALARA), as the principle became known.
This attempt at reassurance is the basis of international radiation safety regulations today, which suggest an upper limit for the general public of 1 mSv per year above natural levels.
This very low figure is not a danger level, rather it's a small addition to the levels found in nature - a British person is exposed to 2.7 mSv per year, on average. My book Radiation and Reason argues that a responsible danger level based on current science would be 100 mSv per month, with a lifelong limit of 5,000 mSv, not 1 mSv per year.
冷戦期に安全基準のひきしめがあって、現在では、年間1ミリシーベルトが基準になっているが、イギリス人は平均、2,7ミリシーベルト被ばくしているし、月間に100ミリシーベルトとういのが現在の科学に基づいた合理的な基準でろう、と。
ARCH 26, 2011, 8:32 P.M. ET
Radiation Levels in Tokyo Air Continue to Fall
東京の大気の放射線レベルは減少しつつある。
もっとも、
MARCH 27, 2011, 2:34 A.M. ET
Radiation Jumps Inside Japan Nuclear Plant
プラントのなかの放射線レベルは上昇
読売社説
原発一進一退 被害を最小限に食い止めよ(3月27日付・読売社説)
圧力容器の温度などは安定しており、最も危機的な状況は脱しつつある。これをいかに常態化させるか。いまが正念場だ。
現場では懸命の復旧作業が続くが、24日には作業員の大量被曝事故が起きた。劣悪な環境で長期の緊張を強いられている作業員の疲労が心配だ。二度とこうした事故が起きないよう、政府、東電は安全管理を徹底すべきである。
状況は依然、楽観できない。
最も危機的な状況をどう評価するかにもよるが、危機をプラント内にとどめることが最重要であろう。
専門家でも確たることがいえないのだから、ド素人に確たることがいえるはずもないが、一般公衆に現実的に与える被ばく被害というのは乳幼児に注意を払うべきであるものの、むしろ過剰反応に気をつけるべきで、本当に心配しなくてはならないのは、現場の作業員の健康状況ではなかろうか?
朝日社説
電力不足―計画節電へ政府は動け
これから原発を安定させるまでの長い期間に向けて、十分な態勢で作業ができる人員の確保が大切になる。そのために原子力安全・保安院の果たす役割は大きい。必要ならば他の電力会社やメーカーからさらに応援を求めることもふくめ、政府として最大限の支援を集める必要がある。
必要ならばではなく、ぜひともそうすべきである。悠長なことはいってられない。
もうすでに限界に来ているようだ。
過酷労働もう限界、両親は不明…原発の東電社員がメール
2011年3月26日
そして、一般の国民も長丁場を覚悟しなくてはならない。
原子炉圧力容器は破損していない、事態収束への努力続ける=官房長官
2011年 03月 27日 13:4
もっとも、その過程で、再度蒸気放出して近辺の放射線濃度が一時的にあがることも十分考えられる。
長期戦のなかで、
予測可能なものはあらかじめ国民に通報しておくことで、国民の安心感にもつながる。
さらに、この長期戦のなかで、経済的な大打撃も不可避であろう。
被災地、原発、経済的被害の拡大を最小限に抑えること、それが今の日本の最優先課題であろう。
電気事業法第27条は政府が強制的に電力使用を制限できることを定めている。石油ショック時には、その発動によって節電が大きな成果を上げたという実績がある。
電力不足に伴う痛みの分かち合いは、停電より節電という手法を用いるほうが犠牲が少ない。そのことは、過去の経験からも明らかだ。
産業界や大口需要先に対しては、早期に協議の場を設け、総量規制の水準を定める。電力消費を一定の時間帯に集中させないための工夫も求める。操業時間や就業時間を短縮したり職場ごとにずらしたりする、あるいは休日を増やすといった案もあろう。
まだ、できること総力を結集して全力でやっているとはいえない。
この国難を乗り越えるための政策、新しい日本のための政策論に垣根をこえて、総力を結集すべきだ。
(この国難の時期に、与党がどうの野党がどうの、という、党利党略はやめてくれ)
更新
「再臨界の可能性は極めて低い」 日本システム安全研究所・吉岡律夫代表
2011.3.27 18:28 (1/2ページ)
福島第1原子力発電所の事故で、今後懸念される最悪の事態の1つは、原子炉の圧力容器内の底に溶融した核燃料が集まるなどして、再び核分裂反応を始める「再臨界」だ。平成11年に茨城県東海村で起きた臨界事故では、再臨界によって、放射性物質(放射能)が拡散したとされるが、今回のケースでは、再臨界の可能性は限りなく低く、仮に起きたとしても汚染拡大の可能性は低い。
その理由は、原子炉内での臨界がどういう状態で起きるかを考えると分かりやすい。
臨界は、(1)直径約1センチの核燃料棒を0.5センチ間隔で並べた核燃料集合体を約1センチ間隔で配置し、(2)水で満たした上で、(3)それぞれの核燃料集合体の隙間に挿入した制御棒を引き抜く-という3つの条件がすべてそろわないと起きない。
今回のケースでは、地震直後に制御棒がただちに挿入されたので、(3)の条件を満たしておらず、再臨界は起きないと考えられる。
制御棒が抜ける可能性は極めて低いが、仮に抜けたり、核燃料棒が溶融したりして、再臨界が起きた場合はどうなるのか。
その際のエネルギーは、炉心の水が、高さ約20メートルの圧力容器の天井に届くかどうかのレベルで、爆発して圧力容器が破損し、放射性物質が一気に拡散するなどという事態にはならない。
運転中の原子炉内の臨界では、100万キロワットもの電気を放出する力があるにもかかわらず、一度、原子炉が停止した後の再臨界では、その程度のエネルギーしか発せられないわけだ。
もう一つ、再臨界が起きる可能性として、使用済み核燃料プールがある。東京電力は「4号機の核燃料プールが再臨界となる可能性は否定できない」との見解を示したが、これについても可能性は極めて低い。
核燃料プールには、制御棒はないが、核燃料集合体の間隔を、もっとも核分裂が起きやすい約1センチよりも広く取っている。これは、水が核分裂反応の絶対条件である一方、約1センチより広い間隔での一定量は、核燃料集合体同士を遮断し、核分裂反応を起きにくくする効果もあるからだ。このため、核燃料プールでも再臨界が起こる心配はないといっていい。
以上の通り、原子炉でも核燃料プールでも、再臨界が起きる可能性は非常に低く、放射性物質が大量に放出されるということはありえない。
更新2
コメント欄で教えていただいた。参考にしていただきたい。
SMCJapan
原子力発電所で使用される燃料、その放射性物質の種類と振る舞い 2011/03/25
WHOの「飲用水の安全性について」は必読
Earthquake and nuclear crisis in Japan
24/03/2011
また、
Fukushima Nuclear Accident Update Log
Updates of 27 March 2011
Staff Report
さらに、
【暫定的なまとめ】
・ 使用済み核燃料プールで燃料が溶融し,そこで原子炉臨界状態が出現するという再臨界現象はおそらくは起こらないであろう(ホウ素投入はないと安全側に仮定しても)。
・ 再臨界状態が起こるとすれば、その可能性は圧力容器内部の方が相対的に高い。ホウ素投入の効果はあるが、再臨界を抑止できると保障することはできない
・ 仮に再臨界が起きても、核爆発のように連鎖的・爆発的に広がるのではなく、せいぜいスパイク(瞬間的な臨界超過状態)を何度か繰り返す程度ではないか。
・ その場合、周辺の放射線量(中性子、ガンマ線)は東海村JCO臨界事故のように瞬間的に高くはなっても、核爆発のように甚大な爆発被害が広がることはありそうもない。
・ 再臨界の有無に拘わらず、使用済み核燃料プールでの燃料溶融や圧力容器・格納容器における水蒸気爆発によって、これまでのベント(意図的な圧力開放)をはるかに超える放射能(核分裂生成物)の外部放出の可能性は否定できない。
・ ただし、圧力容器・格納容器の大爆発ではなく、構造上の弱い箇所の破損による瞬時放出に留まると推定される。そのため、黒鉛火災が何日も続いて放射能を大量放出したチェルノブイリ事故とは異なり、瞬時的な放出に留まると推定されるため、深刻な汚染地帯はチェルノブイリ事故よりも限定的に留まるものと推定される。
・ したがって、首都圏や仙台などの大都市の避難勧告のような事態は、おそらく避けることができるものと判断できるのではないか。
・ ただし、最悪シナリオが生じた場合に放出される放射能は、これまで一時的に放出された放射能よりも桁違いに多い可能性があるため、状況の推移によっては、現状の避難範囲(避難20km、屋内退避30km)の再検討やヨウ素剤の配布計画、広範な地域で被曝を最小限に抑えるためのマニュアルの周知徹底などが必要と考える。
も参照