Catch Ball

修業の時計を止めない教師でありたいです。

パイナップルから沖縄を見る 1

2011-06-10 22:05:37 | 社会
 社会で「国土の気候の特色と人々の暮らし」の授業を行っている。
 現在,沖縄のくらしを扱っている。

 この単元でぜひ行ってみたい授業があった。
 有田和正氏のパイナップルの授業である。
 今まで実践の機会がなかったが,ついにチャンスが巡ってきた。

 まずは,いつも通り地図帳を使っての地名調べから始めた。
 5年生の初めの段階で子どもたちは地図帳の使い方について,あまり理解していない様子だった。
 地名調べはできるものの,人口や産業,動物,歴史,活火山・休火山なども調べられるということを分かっていなかった。
 地図の面白さを感じ取っていなかったのである。
 それでほぼ毎回取り入れている。
 
 今日調べさせたのは,「磐田」「いわき」,そして「名護」である。
 初めの2つは本題とは関係ない。つかませたいのは「名護」である。

 名護を調べた子はすぐに「人口が10万人未満」「パイナップルが取れる」「近くの宜野座というところでもパイナップルが取れる」などと発表していった。

 沖縄を南北に分けるとすると,パイナップルがよく取れるのはどちら側ですか。

と聞くと,北側であるという。
 「パイナップルづくりが盛んなところは全部で5箇所あるけれど,全部北側」「南側にはパイナップルが取れるところは一つもない」などと発表した。
 「南側にはパイナップルはないが,サトウキビはある」となかなか鋭い着眼点を持っている子もいる。

 「そうです。沖縄の北側の方では,パイナップルづくりが盛んです。これです」と言って,事前に廊下に隠しておいたパイナップルを取り出した。

 「おー!」「本物?」と俄然盛り上がる子どもたち。
 社会ではやはりモノがあると子どもの目の輝きが違う。

 「日本ではほとんど沖縄でしか取れません」と説明した。

 「今から食べるの?」という子がいたので,「今から出す問題に正解した人がいたら食べられるかもしれません。でも,とても難しいですよ。挑戦してみますか」と言った。
 すると,「やる」という。

 そこで問題を板書した。

 パイナップルはどういうかっこうで実がついていますか。

 「ノートに絵を描きなさい」と指示した。

 「そのパイナップルを見てもいいですか」という子がいたので見せたところ,真剣に観察していた。

赤道の長さは?

2011-04-22 23:28:42 | 社会
 社会で「世界の国々」の授業をしている。
 ここでは,赤道や緯線・経線,北半球・南半球などの用語,六大陸や三大洋の名称,近隣諸国の名称などを子どもたちに習得させていく。
 しかし,これまでは授業内容が活動的なものではなかったこともあってか,子どもたちの目の輝きがいまひとつだと感じていた。

 これではいけない。
 意外に思われることが多いが,私の大学での専攻は社会である。
 社会はもっと楽しい教科のはずである。
 何とかしなければならない。

 前回の授業で,子どもから「赤道はどれぐらいの長さか」という「はてな?」が出された。
 これを生かさない手はない。

 まずは予想させた。
 3億㎞,4億㎞,30億kmなどの意見が出る中,K君が90000㎞,T君が40000㎞という意見を出した。
 他の考えと桁が違うほど短いので,みんな驚いた。
 私もけげんな表情をして,驚いてみせた。

 さて,問題はどうやって調べるかである。
 子どもたちに聞くと,インターネットで調べるとか,地図帳のどこかに載っているのではないかという。
 それでは面白くない。

 地球儀を使うことを知らせた。
 地球儀にも地図と同じように縮尺がある。
 地球儀の赤道を凧糸などで測り取って,計算していけばいいことを教えた。
 子どもたちは「なるほど」「面白そうだ」という反応であった。
 
 凧糸が赤道上からずれないようにセロテープでペタペタ貼りながら作業していく子どもたち。
 このように活動が入ると,やはり表情が違う。生き生きとしている。

 学校にあったのは3000万分の1の地球儀と,2800万分の1の地球儀である。
 3000万分の1の地球儀で調べたAグループは,136㎝だったという。
 一方,2800万分の1の地球儀で調べたBグループは,155cmだったという。
 それぞれ一生懸命に計算していた。
 単位換算が少しあやしかったので私も手伝ったが,Aグループは40800㎞,Bグループは43400㎞ということになった。
 
 「地図帳や資料集のどこかに載っていないかな」と投げ掛けて調べてさせると,「およそ40000㎞」と出ていた。
 
 他の人の予想と比べて桁違いだったT君の予想が,ズバリ的中だったのである。
 これにはみんな驚いていた。

 「およそ40000㎞ということは分かったけれど,正確には何㎞なのだろう」という疑問が残った。

 「はてな?」で始まり,「はてな?」を解決し,また「はてな?」で終わる。 
 これが盛り上がる社会授業の真髄だと思う。

事件や事故からくらしを守る

2011-02-26 20:44:07 | 社会
 社会で「事故や事件からくらしを守る」の学習に入った。
 警察の仕事の学習である。

 まずは,交通事故に遭ったことがあるかどうか聞いてみた。
 すると,4名が遭ったことがあるというのである。
 状況や場所を聞いていくと,狭い道路やカーブなどで見えにくいところといった共通点が見出せた。

 「学校の周りの道路は安全だろうか」と問うと,「学校のまわりの道路も狭いところがある」「車も多く通る」という。

 だが,学校の周りで交通事故が起こったという話は聞いたことがない。
 「何か工夫があるのではないか」という「はてな?」を持たせたところで1回目の授業を終えた。

 2回目の授業は実地踏査である。
 実際に学校周辺の道路を歩いて,事故を防ぐためにどんな秘密があるのか,どんな工夫があるのかを調べる。

 ただ「調べてみよう」と投げ掛けても,何を見てきたらいいのか見通しが立たない子もいる。
 そこで教科書にある道路標識などの写真を見せてから,調べに行かせた。
 学校の周辺の道路地図を持たせて出発である。

 外に出ると,子どもたちは一気に活動を始めた。
 活動が終わるころには,地図がメモで真っ黒になっているほどであった。

 地図の見方を勘違いし,自分がどこを歩いているかが分からなくなって,メモする場所が違っている子が数名いたが…。

防火水槽を追究する

2011-01-27 20:07:08 | 社会
 防火水槽の標識の写真を配って,ノートに貼らせた。
 そして,「これについて,分からないこと,気になること,面白いなと思うこと,知っていることを書きなさい」と指示した。

 「わ・き・お」というと,「分かったこと・気づいたこと・思ったこと」がTOSSでは通常である。
 しかし,追究活動に向かわせるための手立てとしては,「分からないこと・気になること・面白いこと」というのも面白いと思っている。

 机間巡視し,指名計画を練った。
 授業で取り上げる価値があるかどうかを考えながら巡視している。
 「なるほど」「へえ」「ん?」などと言いながらノートを指さしていく(低学年の場合は,頭をなでることもある)。
 そして,「ノートを指さされた人は立ちなさい」と指示して発表させていくようにしている。

 最初に分からないこと,気になることについて発表させた。
 出された意見は次の通りである。

 ・防火水槽って何?
 ・どこにあるのか?
 ・水槽がない!
 ・木があるから(燃えやすいものがあるから)防火水槽があるのかな?
 ・何歩おきにあるのか?
 ・何であるのかな?
 ・何に使うのか?
 ・消火栓と何が違うのか?
 ・公園の前にあるのか?

 知っていることとしては,次の意見が出た。

 ・火事のときに使う水をためておくところ
 ・看板の近くに水槽があるはずだ
 ・東照宮駅のそばにある

 ここから子どもたちの議論が始まった。

「水を貯めておくところだというけれど,水槽なんかないんじゃないか」
「いや,水槽があるはずだ」
「学校のプールにも同じ看板がある。プールみたいなのがあるんだ」
「公園にそんなのがあったら,危ないじゃないか」
「金網みたいなので,人が入れないようにしてあるんだ」
「そこの公園でプールなんて見たことないよ」
「地下に埋めてあるんだ」
「消防署に見学に行ったとき,防火水槽というマンホールがあった」
「マンホールにつながっていて,そこの水を使うのか?」
「消火栓とどう違うんだ?200歩おきぐらいに消火栓があるんだけれど。水槽なんて必要なのか」

 ここからの子どもたちの追究が楽しみである。

消防署までの道中 2

2011-01-25 00:00:58 | 社会
 いよいよ出発である。
 子どもたちは鉛筆としおりを持って,消火栓やら消火器やらをチェックしようと躍起になっている。
 ところが,機先を制するように「メモしながら歩くなんて危ないからやめなさい」と学年の先生から指導が入ったらしい。

 しかし,そんなことにめげないのが私の学級の子どもたちである。
 見つからないように,しっかりと調べながら歩いていったのである。

 道路に出てちょっと歩くと,「おっ!あった!」「あっ!あそこにもあるぞ!」「先生,見て見て!」「ソフト!ソフト!」などと声が挙がる。

 消火栓の数を数えたり,消火栓と消火栓の間が何歩離れているかを数えたり,消火器が駐車場にあることを発見したり,防火水槽を発見したり,いろいろなマンホールに着目したり…。
 消防署に着く前に,しおりのメモ欄が埋め尽くされんばかりである。

 往路では,他の先生の目を気にして調べられなかった子もいた。
 たくましいことに,そういう子は復路で調べていた。

 往路は私のクラスが先頭で歩いていったが,復路は逆順で歩いて最後尾なので,他の先生の目を気にせずにじっくりと調べられるというわけである。
 一番後ろを歩いてきた子どもたちは,じっくり調べ過ぎて他のクラスメートの姿も見えないほどに遅れてしまった。

 Sさんが次のように言った。
 「マンホールなんて,全然気にしたことなかったけれど,こうやって調べてみると面白いね」

 このひとことは,追究の本質をズバリと言い表している。
 遊びが勉強になっているのである。

消防署までの道中 1

2011-01-24 21:34:42 | 社会
 今日,仙台市消防局・青葉消防署に校外学習に行った。
 移動手段は徒歩である。30分間,ただ歩くだけではもったいない。
 道中にくらしを守るための様々なモノがあるのである。

 1時間目開始が8時50分,消防署に出発するのが9時10分。
 この20分間にどうやって意欲づけをすればよいか考えた。

 昨日撮ってきた写真を子どもたちに提示すればよいだろうと考えた。
 B4かA3に拡大して提示しようと考え,朝に学校で印刷することにした(家ではA4までしか印刷できないので…)。

 ところが,トラブル発生。まず,パソコンの起動が遅すぎることである。
 やっと動いたと思ったら,今度はプリンターの故障である。カラープリンター,白黒プリンターともにダウン。
 急遽テレビにパソコンをつないで,スライドショーで提示することにした。

 「今日は歩いて消防署に行きます。歩いていく道の途中に,何か防火に関係ある物はないだろうか」と問うと,「消火栓がある」とある子が言った。「そうだ,マンホールだ」と別の子。

 「では,いまからこの学区にある防火に関係のあるものを見せます」と言って,スライドショーを見せた。
 自分の通学路などが写って盛り上がる子どもたち。

 「どんなものがありましたか」と問うと,消火栓,防火水槽,消火器,移動式粉末消火設備などと答える。

 消火栓のスライド画像が多かったので,消火栓の数は結構多いのではないかと子どもたちはいう。
 「では,消防署までの道に消火栓がいくつあるかを,算数で勉強したように『正』の字で数えながら歩くのもいいですね」
 「消火器はどういう場所に置いてあるのか,研究しながら歩くのもいいね」などと投げ掛けていった。

 「ところで,消火栓って何ですか」と唐突に問うた。
 消火栓がたくさんあることは何となく分かっている。
 しかし,それが何なのか子どもたちは答えられないのである。

 「ちょっと分からないね。でも,『はてな?』があるからいいのです。分からないから消防署に行って聞いてくるのです。聞きたいことや調べたいことがないのなら,校外学習なんかに行く必要はないのです。そして,調べてきた結果,もっと調べたくなったとか新しい『はてな?』が出てきた人が,本当に勉強してきた人です」と説明した。

くらしを守る

2011-01-23 21:43:43 | 社会
 社会で「くらしを守る」の授業を行っている。

 指導計画としては,①校内の防火設備→②まちの防火設備→③消防署の仕事と展開させていく予定であった。

 現在,①の校内の防火設備について子どもたちが追究しているところである。
 消火器,感知器,消火栓,火災報知機,防火シャッターなどの数,どこに設置されているかなどを調べている。

 今日,教材研究として,学区内の防火設備を見て回り,写真撮影をしてきた。
 写真はあまり社会の学習に意欲的ではない子の通学路にあるものにした。
 
 消火栓,防火水槽,駐車場にある消火器などチェックしてきた。
 これらは子どもたちが普段目にしているはずである。
 しかし,防火設備であることを意識して見てはいないはずである。
 無意識に見ているのである。
 授業で私に問われて,初めて意識化されるのである。
 
 私もそうである。
 教材というフィルターを通さなければ,これらのものを意識的に見るということはない。
 
 消火栓を見ていったので,様々なマンホールを目にした。

 実にいろいろな種類のマンホールがあることが,今日改めて分かった。
 汚水,雨水,止水弁,仙台市ガス局…。仙台市の花である萩をデザインしたマンホールもある。
 
 分からないのは,仙台市のマークに「ソフト」という文字が入っているものである。
 何のマンホールなのだろうか。結構あちこちにあった。
 
 本題から外れるが,このようにマンホールを追究する活動に子どもたちも入っていく可能性がある。
 しかし,それはそれで面白い。
 「くらしを守る」という単元名からは外れていない。
 
 明日,消防署の見学である。
 私の指導計画の②は飛ばしてしまうことになる。
 しかし,徒歩で消防署まで行く間に,消火栓がいくつあるか調べさせながら行くのもいいと考えている。

笹かまぼこ研究

2010-12-28 23:35:52 | 社会
 「鐘崎笹かま館」に行った。

 既に社会の「工場の仕事」の授業は終了しているが,教材研究のためではなく,個人的に追究するのも楽しい。
 教師自身が楽しみながら追究しているうちに,授業のネタができていたという形が理想的だと思う。
 授業づくりのために本を読んだり,訪問したりして教材研究するのが一般的である。
 しかし,そうではなく教師が面白いと思って調べていたものが,ネタになっていくという形もよいと思う。教師が面白いと思ったものなら,その面白さはきっと子どもにも伝わっていく。
 有田和正氏のネタづくりはまさにこのような形であるし,野口芳宏氏の言う素材研究にも通じるところがあるだろう。

 今回,まず行ったのは試食である。
 大人げない行為であることは承知の上で,全種類を何度も試食した。大漁小町,サーモン入り笹かま,ずんだ入り笹かま,チーズ入り笹かま,そして惣菜品の数々…。

 何と言っても感動したのは,職人の手作りによる100%ひらめを使った笹かまぼこである。昔ながらの製法で作られたものであるという。
 1枚300円である。たら,いとよりを使った大漁小町が168円であるから,その差は歴然としている。
 何度も試食して食べ比べてみたが,明らかに味が違っていた。
 100%きちじを使ったものを作っている日もあるというので,今度また行ってみたい。

 また,今回は「笹かま手作り体験」も行った。1人500円で2枚作れる。
 自分の作った笹かまぼこ。焼きたての香ばしい香りでおいしかった。

笹かまぼこ食べ比べ 2

2010-12-02 00:05:42 | 社会
 11月30日,笹かまぼこの食べ比べを行った。

 「原料が違うと味がどれだけ違うのか」「メーカーによって味は違うのか」という「はてな?」の追究である。

 紙袋の中に隠しておいた笹かまぼこを提示すると,子どもたちから歓声が上がった。
 
 今回は,5つのメーカーの笹かまぼこを試食した。
 A,B,C,D,Eとだけ提示し,メーカー名は伏せた。

 ただ食べているだけでは学習にならない。
 結果を一覧表にまとめながら試食させるようにした。共通項目として,味,歯応え,原料は必ず書くようにさせた。 その他として,色の違い,においの違いなど,様々なところに着目しながら,真剣に食べていた。

 本当に真剣に食べているのである。
 このようなある種のくだらなさが,何ともいえずよい。

笹かまぼこ食べ比べ 1

2010-12-01 00:13:52 | 社会
 明日の社会の時間に,笹かまぼこの食べ比べをする。
 子どもたちが工場見学に行ったのが鐘崎。副読本『わたしたちのまち仙台』に載っているのが阿部かま。
 前回の授業で,笹かまぼこの原料を取り上げたところ,自分たちが調べてきた原料と副読本に載っている原料が違うということに気づいた子がいたのが発端である。

「原料が違うと味がどれだけ違うのか」「メーカーによって味は違うのか」という新しい「はてな?」が生まれたのである。

 既に何名か自宅で食べ比べている子もいるのだが,明日,授業の中で食べ比べをすることにする。
 まずは今から,私が試食してみることにする。

 比べるのは次の5つである。鐘崎(仙台),カネコ橋沼商店(塩釜),佐々直(名取),紀文(東京),セブンプレミアム(東京)。残念なのは,阿部かまが閉店時間を過ぎていて手に入らなかったことである。

 では,電子レンジで温めて,さっそく食べてみることにする。

 まずは鐘崎。1枚110円。原料となっている魚肉はたら,いとより,ぐち,その他。
 おいしい。食感が柔らかく,ぷりぷりしている。

 次にカネコ橋沼商店。ミニサイズ5枚で198円(1枚39円)。すけそうたら,いとよりたい,きんときたい,きちじ。
 鐘崎に比べてややかたい。やや味が濃いような気がする。

 次は佐々直。5枚で248円(1枚49円)。たら,いとよりだい。
 柔らかくておいしい。

 紀文。4枚198円(1枚49円)。たら,いとよりだい,たい,ぐち。
 やや柔らかい。明らかに味が違う。まろやかな味である。

 セブンプレミアム。5枚178円(1枚35円)。いとよりだい,ぐち,たら。
 やや柔らかい。まろやかだが,紀文よりやや味が濃いか。

 最後に子どもたちは試食しないのだが,鐘崎の大漁小町を食べてみる。1枚168円。たら,いとより,ぐち,その他。
 厚みがあり,ぷりっぷりで弾力がある。
 とてもうまい。さすがに高級品だ。レベルが違う。