渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

日本刀の見た目は研ぎ次第

2020年11月28日 | open


これは日本刀ではない。全鋼の肥後守だ。
地肌の熱変態の様子が克明に肉眼で確認
できるように、日本刀研磨と同じ手法で
私が研ぎ上げた。


たとえ日本刀であろうとも、日本刀専門
の研磨を成さずにナイフのような研ぎを
してしまうと、刀身は洋式ナイフのよう
になってしまう。
日本刀は日本刀専門の研磨を施さないと
日本刀の本来の姿を見ることは出来ない。

(備中国水田住山城大掾源國重/研田村慧氏)


この親友の日本刀は、ツンツルテンの模擬
刀のような無惨な表面だったので私が肌を
起こした。
同時によれよれだった鎬ラインをビシッと
正確に研ぎで出し、ツルツル丸坊主だった
鋩子もきっかりとナルメて、消滅していた
横手もきっちりと私が出した。
なかごまでを総合的に判断して、三原派
尾道辰房の作と私は鑑した。


肌を起こしたら、ビリーバットが現れた。



小林康宏師匠は刀工であると同時に研師
でもあるのだが、鍛冶押し以外は今は自
身研ぎはしない。鍛冶押しも昔のように
サッと押せばパッと刃が付くまで押さず
に、かなり打ち下ろしに近いので、研師
が今は苦労している。
ただし、刀身の出来栄えは、全盛期と謳
われた1990年代よりも確実に今のほうが
出来が良い。今の康宏作にはほぼ全作に
映りが出ている。直刃調小乱れで頼むと
康宏本来の本領発揮の刀剣が出来る。
斬鉄剣にして極めて優美。雅なる剣。
それが小林康宏刀だ。


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