渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

映画『探偵物語』(1983年)

2021年04月09日 | open


『探偵物語』(1983年)

薬師丸ひろ子さんが可愛すぎて
爆死した(笑)。
この映画、1983年に渋谷に観に
行った。『時をかける少女』と
併映だった。
超満員の立ち見。
当時は「邦画は併映」、「立ち見
だろうが入れるだけ客を入れる」、
「入れ替え無し」が三原則だった。
ぎゅうぎゅうの満員電車のような
立ち見もごく普通って、消防法とか
どうなっていたのだろう(笑)。

この時の併映は、これは見応えと
いうかお得感ありましたよ~。
立ち見だけど(笑)。
現在のような全席指定の小さな映画館
というのではなく、映画館自体が
とんでもなく大きかった。NHKホール
や帝国劇場みたいな客席の広さなのよ
ね。

劇場で1983年に観た後は、ビデオと
DVDでふ~んと観ていたが、今回は
ネット映画配信サイトでじっくりと
観た。
松田優作さんがいいすね~。
それと、この作品の薬師丸ひろ子さん
は丁度玉川大の一年生になった時だ
けど、女子大生を演じていて、初めて
「大人」風の女性を演じた作品だった。
作品中の大学は池袋の立教大学で
ロケされた。
サークルボックスも、あれ立教のボッ
クスすね、あれは。

薬師丸ひろ子さんは実は運動神経抜群
で、高校の時などは鉄棒で大車輪とか
やって見せていた。体操選手でもない
のに。
それと、後年自動車運転免許を取得
してからは自分でも撮影所内や外で
時々運転をしていたが、車庫入れとか
が異様に巧かったとのタクシードライ
バーの証言もある。
この作品では、オープニング直後に、
田園調布の大邸宅の自宅(家のロケは
横浜市)に深夜こっそり帰宅する時、
薬師丸さんは庭木をスカートのまま
登って、そして二階から自宅に進入
してから靴を玄関に置く。
幼い時からいたお手伝いさんには
見破られてしまうのだが。
そのシーンを根岸監督はワンカットで
吹替無しで撮っている。つまり、薬師丸
さんが木登りして邸宅の二階の窓から
家に入るのだ。
これね、できる女優さんあまりいないと
思う。

薬師丸ひろ子さんは、とても潤いのある
良い声をしているのに、彼女には役者
としての欠点がある。
それは、台詞を舞台俳優のように大きな
声ではっきりと言うのだ。
彼女のウィスパーボイスなどは、ほぼ
聴けないが、たぶん松田聖子さんの
「スィートメモリー」の歌声のような
響き
なのではなかろうか。
薬師丸さんは歌声はキーが高いが、話し

声はそうではない。独特の太い艶やかさ
がある。ただ、声がでかい。


それにしても、かわいいすよ~、この
作品
での薬師丸ひろ子さんは。
公開直後には江口寿史大画伯の名作漫画
の『ストップ!ひばりくん!!』で
この髪型と劇中キャラがパロられて
ネタにされていじられていたけど(笑)。
この作品の後、薬師丸さんは新境地を
拓いて、大人の女優として活躍して
行く。
なんたって、最ラストシーンは、好きに
なってしまった探偵松田優作と空港の
エスカレーター越しに熱いキスだからよ~。
まるで映画みたいなキス(笑)。
この後の作品では『Wの悲劇』で彼女は
迫真の演技で観る者を圧倒するのであった。
三田佳子さんが鬼気迫る演技で完全に
主役の薬師丸さんを食いまくっていた
けどね。
『Wの悲劇』の撮影後に、薬師丸さんは
女優を辞めようと思ったんだってさ。
それくらいインパクトのある作品が
『Wの悲劇』だった。
その前哨戦のような作品がこの松田優作
と共演した『探偵物語』だった。
撮影時のインタビューで松田優作は
「薬師丸さんとの息は合ってますか」と
訊かれて「そりゃ勿論。もう尻も触った
しな」とか答えてた。こら~~!

ま、これまでの役者薬師丸ひろ子とは
まったく別境地のキャラクタを演じた
画期的な映画作品だった訳です。
この『探偵物語』は。
とにかく役柄がかわいいし、薬師丸さん
が演じる女子大生のお嬢様がかわいか
った。危なっかしいとこがなおかわいい。
お嬢様なのにしっかり者、でも人との
付き合いでは臆病になったりもする。
その様々な揺れる19才の心を見事に演じ
ている。
ネット配信で今観られる。

80年代文化に興味のある方は観るべし。


この記事についてブログを書く
« 古代エジプトの都市発見! | トップ | 映画『日本暗殺秘録』(1969年) »