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渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

映画『武蔵 ーむさしー』(2019)

2022年09月12日 | open

『武蔵 -むさし-』(2019)

主人公の擬斗がダメダメなの以外
は、そこそこ面白かった。
がんりゅうが老齢であるという
のもリアリティがある。
佐々木巌流は本当はこのように
殺されたのだろうなぁと感じる。
また、一説では武蔵の一派が
前に島内に潜み、期に乗じて
流を取り囲んで、まだ息のあっ
巌流がむっくり起き上がるとこ
ろを集団で滅多矢鱈打ちにして
したとの説もある。
これは細川藩の家老沼田家に伝
わる「沼田家記」にはそのよう
記されている。
舟島での武蔵と巌流の綺麗な決
闘は、後世の小説家の創作だろ
う。
巌流はいつの間にか、鬼退治の
桃太郎のような格好と美青年に
もされてしまった。
こうした史実と異なる作品での
創作は多い。
新選組が大丸に発注した麻の
浅葱色(極薄色の薄青緑色)と
白のダンダラ羽織などは、隊内
では不人気で誰も着なかった。
出動の際には近藤も土方も沖田
も上下黒尽くめが殆どだった。
しかし、映像化としては派手な
羽織は見栄えが良いので多用さ
れるようになった。
江戸期には存在しない呼称の
「忍者」の装束のようなものだ。
西部開拓時代には存在しないハリ
ウッド西部劇のホルスターぶら
下げガンベルトのようなもの。
そんなガンベルトは西部開拓
時代には一品たりとも存在しな
い。あれは20世紀の創作ベルト
なのだ。
日本の時代劇にも、そうした
時代考証の出鱈目なものが非常
に多い。

劇中、武蔵が大刀のナカゴを
熱してナカゴ部分をタガネで
折って短く改造するシーンが
ある。
その時振るう鎚は小さな建具屋
が使うような細工鎚だ。それで
刀剣を折る事は天地がひっくり
返っても不可能である。
また、折った時の音も、赤く
熱した刀がギャイーン!という
音と共に折れている。
あまりにもリアリティがない。
刑事ドラマで、砂利道だろうと
ブレーキをかけて車が停まる時
の音がアスファルトのスリップ
音ばかりである手抜き映像しか
世の中の三文ドラマには無いの
と同じ。絵空事の絵と音だ。

なお、本当の歴史的史実としては、
舟島での巌流との決闘後、武蔵
闇討ちしようとする者が多いため、
武蔵は藩主から警護をつけられて
領外まで逃れている。





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