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渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

チタンマグカップ

2021年06月29日 | open



チタン製のマグカップは軽量ゆえに
キャンプで使う人も多いだろう。
熱伝導率がアルミよりも低いために、
熱い飲み物を飲むときも安全だった
りもする。
しかし欠点もある。
暖かい飲み物の味が極度に落ちる
事だ。
この味落ちは、てき面に感知できる。
ステンレスカップのほうが味の低下
は低い。
飲み物の味が一番変化が少ないのは
磁器だ。磁器が食器には世界最高。

食器を選ぶには、シチュエーションに
よって何を取るかだと思う。
チタン製食器が味を向上させるので
あるならば、多くの有名レストラン
などはすべてチタン製食器に変更する
事だろう。
だがしない。
チタン製食器は、あくまでも軽さが
存在意義なのである。

野外でのコーヒーも、チタンよりも
ステンレスカップのほうが味が落ち
ないし、ステンよりもククサだし、
ククサよりも陶器だし、陶器よりも
磁器なのだ。
これは好みの問題ではなく、物理的
な特性が現象の要因を決定づけて
いる。人の好みは関係ない。
備前焼でビールを飲むと美味しく感じ
るのはなぜか、に似ている。
それは備前焼の特徴がビールの味低下
を阻害し、むしろビールのうまみを
引き上げることに寄与する物理的な
特性を持っているから、という事と
同じ現象傾向がマグカップの材質には
存在しているのである。

それでも、野営行動では「軽さ」は
絶対必須条項の一つでもあるので、
チタン製食器は広く選択されている
し、私も使用している。
元々タイタニウムというレアメタル
は、戦車の装甲板等に使われるなど、
特殊特化物(工業界の業界用語=特
ダネ物)にのみ使用される非常に貴重
な金属だった。極めて高価でもあった。
それが、1990年代以降、民間品にも
軽量丈夫なチタンが出回るようになり、
野外活動物品に多く使われ始めた。
また、比重の軽さから軽量化が可能な
ため、モータースポーツではチタン
ボルトなどが使用され始めた。
ただし、アルミのほうがチタンよりも
ずっと軽い。しかし、アルミは熱伝動
率が高いので、アルミカップで料理は
できても熱い湯を飲むことはできない
のだ。そこらあたりが使い分けの選択肢
となる。
チタンの比重は4.54でアルミは2.70だ。
アルミはチタンの半分近く軽いのだ。
ちなみに鋼の比重は成分によるが7.85
前後で、ステンレスは304系で7.93だ。
鋼の食器は無いので、ステンレスの
食器が一番重たいという現実がある。
だが、ステンレスが多く使われる。
それはなぜか、ということだ。
また、すべてをチタンとはせずにアルミ
を選択しているベテランキャンパーも
多くいる。
それはなぜか、ということなのである。
軽さだけならば、チタンよりもアルミ
が圧倒的に軽いのだ。
強度はチタンのほうが圧倒的だ。
人体の手術でも、骨折などではかつて
はステンレスプレートが埋め込まれた
が、今はチタニウム製の骨子保護の
部材を人体内に埋め込むようになって
来ている。
アルミなどより強度があり、ステンレス
よりも圧倒的軽量の金属だからだ。

金属の製品は用途と目的により使い分け
るのが賢明な選択だろう。
ただいえることは、チタン製食器は飲み
物の味は確実に落ちる。磁器には到底
かなわない。
不思議なもので、アルミはほとんど味
が落ちない。ただし熱い物は注いで
飲めない。アルミは料理用器具やお弁当
箱などには軽くて良いだろう。
アルミ製食器、調理器具は多くとも、
アルミ製マグカップというのはあまり
見ないでしょう?
それには理由があるから。

最近多く見かける屋外用食器で優れた
構造の物はこれ。


薄いステンレスプレートを一挙
成形で二重構造にして外周の
金属板同士の中に空気の層を
閉じ込めている構造のマグカップ。
これは冷たい物は温まらず、また
熱い物は冷めず、かといって、口
を着けても食器自体は飲み物で加熱
していないので安全に美味しく飲め
るという超スグレモノだ。
金属加工技術の発達により登場した。

これはですね、凄いです。
Tシャツの胴部分の継ぎ目の縫い目が
無いのはどうやって作っているの?
というのと同じ程に加工に工夫が要る。
最近ではこの構造のビアジョッキも
あるようだ。
構造から、現段階では製品は高額には
なるが、今後ますます増える構造かと
思う。ソリッドではないため、ステン
であってもさほど重さは感じない。
相当薄いSUS板が使用されていると
思われる。
30年前には存在しなかった物体だ。


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