『リオ・ブラボー』(1959年)
<監督>
ハワード・ホークス
<出演>
ジョン・ウェイン、リッキー・ネルソン、
ディーン・マーティン、ウォルター・
ブレナン
殊の外、面白い。
『真昼の決闘』の作風にカチンと来た
監督とジョン・ウェインが対抗作として
製作した映画。
町の悪者と正義の保安官の物語。
この映画は、保安官助手たちのキャラが
とても個性的で良い。
歌手のディーン・マーティンとリッキー・
ネルソンが歌を歌うシーンがある。
それが、対決の前の保安官事務所での
ひと時の安らぎを感じさせる。
また、この映画のテーマ曲としては、
アラモ砦でテキサス人を皆殺しにした
メキシコ軍が演奏していた「皆殺しの歌」
を悪者が酒場のバンドに一日中演奏させる。
その曲も作品にスパイスとして作用して
いる。
ハンサムボーイのリッキーと、アル中
から立ち直るディーンがカッコいい。
そして、『赤い河』(1948年)でも
ジョン・ウェインと共演したウォルター・
ブレナン老人役でとてもいい味を出し
ている。
ブレナンは1890年代の生まれなので、
子どもの頃にはまだ本物のワイルド・
ウエストの気風が残っていた時代を
知っている筈だ。
ジョン・ウェインは1907年生まれだが、
本物のワイアット・アープが映画製作
アドバイザーだった頃にワイアットに
「君は俳優になれ」と言われている。
ハリウッド・ウエスタンは流行り廃り
とは関係のない作り=史劇であるので、
いつの時代でも映画作品として鑑賞し
て楽しめる。
この『リオ・ブラボー』は21世紀の
現在観ても痛快で面白い。
そして、ハリウッド・ウェスタンは
マカロニ・ウエスタンのように殺伐
とはしておらず、絶対に「いい女」
が出て来る。
それが主人公とロマンスの絡みを
必ず見せるのだ。
大抵、それらの女性は、気が強く、
主人公と反発し合うが、やがて互い
に強く惹かれ合い、恋に落ちる。
これ、日本の青春ラブコメの食パン
ダッシュ女子高生と同じくらいに
西部劇の定番。
『リオ・ブラボー』と『荒野の決闘』
を観ずに西部劇は語れない。あと
『シェーン』と『大いなる西部』ね。
『リオ・ブラボー』はジョン・ウェイン
主役だが、他の役どころの保安官助手
3名と女ギャンブラーのキャラが立って
いて楽しめる。
ジョンの旧友は加勢しようとして悪者
に闇討ちされた。旧友の牧童だった
若きリッキーは保安官助手となる。
この時19才の人気ロカビリー歌手の
リッキー・ネルソン。
彼は1981年12月31日、チャーターした
ダコタが墜落し、彼と婚約者、マネー
ジャーとバンドマン4名全員が死亡した。
死後の1987年にロックの殿堂入り。
私は『リオ・ブラボー』は1973年の
今頃の季節にフジテレビのゴールデン
洋画劇場で初めて観た。
一発でこの作品のファンになった。
それから、何度も事あるごとに思い
立った時に観ている。
この作品のように、役柄のキャラクタ
が冴えている映画作品はいつの時代に
観ても面白い。
別ジャンルではクリント・イースト
ウッドの『戦略大作戦』が各役者の
キャラが最高だ。全員主役なんじゃない?
という程に。そういう映画は面白い。
わざと無理してこんな昔の職業の格好
をする保安官に惚れこんだアンジー・
ディキンソン。定番マドンナ役。
現在89歳でこれ。
ハリウッド女優おそるべし。