
気に入ってる湯呑み。
すんげでけえ。
東京の鮨屋や日本蕎麦屋で出て来る
湯呑みだ。
茶舗で茶を馳走になると、まるで
ぐい呑みのような小さな茶碗で飲
むことになる。本来、茶はぐびぐ
びと飲むものではないとも聞く。
だが、江戸前の握り鮨屋と蕎麦屋
ときたらこれだ。
お上品な美よりも実。花より団子。
これよりでかい湯呑みは見たこと
ない、てなくらいの大きな物でドン
と出て来る。特に握り鮨屋のアガリ
用はこれでないとね、というのが
東京では定着している例のでか湯呑
みだ。
この手の湯呑みは、意外なことに
そこらでは売っていない。
まして、これは店舗用の実用品。
買おうにも金を出しても買えない。
まだ店をやっていた頃の日本蕎麦屋
の湯呑みで、東京の伯母のお弟子
さん(日本伝統音楽。200名程いた)
が経営していた時の店の湯呑みだ。
四半世紀以上使っている。
大きさと円筒の太さが絶妙で、気
に入ってる。
東海道五十三次の宿場名が江戸日本
橋から三十五番目の三河国御油(ごゆ)
まで書かれてる。

愛知屋ていうくらいだから、三河の
出の人の店だったのかな。
御油宿は現在の愛知県豊川市になる。

留め女の客引きが旅人の袖を引いて
いる。
