渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

撞球の本質

2022年01月31日 | open
私の手による手作業の手削りの
タップ。
 
昨夜、4時間撞いた。撞球室には
二人以外誰もいない。
それでも二人ともマスクをずっと
着けたままでのプレーだ。
 
古い使い込んだシャフトに新品の
タップ着けたので試し斬り。
ウルトラ安値のタップ、ル・プロ
フェッショナル、侮れない。
ハウスキューなどに標準で着いて
いるタップだ。
1個120円。
 
実はこれがタップの適正価格だ。
今の1個1500円、2000円とかは
完全に暴利の儲け主義だ。
また、最近は業者はチョークに
狙い目を定めて、1個150円で
販売しても利益が出ていたチョー
クにたいそうなコピーを付けて
1個2000円以上とかで販売して
いる。
実に見えすいた暴利だ。
150円のノーマルチョークで充分
に使える、というか標準品が実
は撞いた瞬間の散りと食いつき
で極めて優れている。
 
業界は、今世紀開始頃にシャフト
をベニヤで作れば飛ぶように売れ
る事を発見し、カスタムメーカー
以外の全業者が「虚構の」イメージ
をねつ造して商戦マーケットを
作った。
ゴルフ業界の真似。
ゴルフは毎年新製品が出て、以前
よりも素晴らしいとか嘘ぶく。
それはあたかも「進化」したよう
なイメージで人を洗脳し、その
販売戦略に乗る大衆は、見極めも
せずに新物が良い物かと思い込ん
で大量消費に手を貸す。
ビリヤード界もゴルフや釣りの
商業世界の真似を遅まきながら
2000年頃から開始して、いろい
ろとくだらない実の無い販売戦略
を繰り広げている。
それに乗る商業プロはメーカーの
広告塔になり紐付きなものだから
昨年まで使わなかった新商品を
「良い物」かのように使って宣伝
する。
今はアホらしい商売戦略としては
グローブがウリの
ようで、商業
プロが使い始め、
それを着ければ
玉が上手くなるか
と一般人も真似
し始めた。
そんなもん、大昔からあったが、
プロや上級アマは着けなかった。
生の繊細な感覚が失われるからだ。
着ける着けないは自由だが、時流
と流行りにノセられて着用、と
いうのが極めて如何ともしがたい。
 
次に来るのは、ビリヤード用シュ
ーズとか、パンツとか出てきそう。
これを着用すれば貴方もチャンピ
オン!ドライバーの飛びが違いま
す!みたいな。
おお!そうか!と乗せられるのは
何だが手玉スクラッチみたいだ。
 
ル・プロは50個入り6,000円。
10数年前に箱買いしていた在庫。
これを動きの良いシャフトにも
着けてみた。


アメリカ製ながらフレンチスタイル
キューティップというコピーだ。


プロフェッショナルは実はかなり
良い。高度はやや硬め。
TADタップやウォーターバッファ
ローに撞き味がよく似ている。
押し引きヒネリ、よく乗り、バラ
ンスが良いコストパフォーマンス
最高のタップだ。
交換の際には切ったり削ったり
するので14mタイプがおすすめ。
カッターの刃だけで底面の平面
出しをしたほうがよい。
刃を立ててタップを回転させた
り、カッターの刃の並行移動で
面一を出して行く。
表面にコーティングがあるので、
それは完全に削って除去してか
ら瞬間接着剤(革OK物)で先角の
先端に圧着させる。
圧着は親指で押し付ける。
その時、プチっと接着面内部の
空気が抜ける音がするが、その
音をさせないと完全密着してい
ないので注意。
他にも沢山、タップ交換ノウハウ
はあるが、おいおい機会があれば
説明する。
 
タップ交換は、慣れれば、淀みな
い流れるような作業で、全工程を
10分程で終えられる。
知り合いの店長に頼まれて、無料
で店のハウスキュー26本のタップ
一気に一晩で店内で全本交換
た事があるが、その時には、さす
がに物理的に多少時間がかかった。
途中休憩入れたが、稼働作業時間
6時間半ほど。
東京時代にもビリヤード店の店主
たちから頼まれて、あいよお安い
御用と店のキューのタップを無償
で交換していた。私がきちんと
できるのでプロが交換を頼んで
来る。自分でタップ交換が苦手な
選手たちまで(笑
1986年からこれまでに一体何個
のタップを交換したのか定かでは
ない。それはもう、とんでもない
数を交換して来ている。
今は小型のキューレースマシンで
タップ交換をするビリヤード店も
あって綺麗に削りが出来るのだが、
私は昭和浪士なので、タップ交換
も手作業でやっている。
ただし、先角交換等は小型旋盤の
バイトで削らないと無理。
広島の知り合いは、自作小型旋盤
を作って巧みに先角交換やタップ
交換をしている。あれはあれば
便利な物だ。
だが、タップ交換は、手作業で
十分に精度出しもやれば出来る。
やれるようになるまでは、多少の
期間はかかるが、訓練すればでき
るようになる。
 
撞球動具はある程度の品質以上
ならば、金額の低額さは関係ない。
安いル・プロのタップを着けた
2万円台の安キューで、グリップ
を自分で100均の毛糸で手巻きし
た物をもう10年以上愛用する19才
に私は全く勝てない。
2才の時から知っている子に、全く
勝てない。
私だけでなく、中国地区の上級アマ
もスボコにやられている。
そこに、一つの本物の答えがある。
彼は数年後北米に移住して向こう
で撞球者となるが、その時にも
その2万円の100均巻きのキュー
で全米選手に立ち向かうつもりだ。
撞球の本質。本当の本物の者だけ
が持つ姿勢。
1970年代にエフレン・レイアスが
初めて登場した時がそうだった。
800円(日本円で当時16,000円)の
キューでエフレンは全米王者と
なったのだった。

 


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