近頃モーターサイクルに
乗り始めた人から訊かれ
た。
「古いバイクのほうが良
いのでしょうか」
と。
好みの問題だと思いますよ。
ただ、現代において旧車と
呼ばれるモーターサイクル
に人気があるのは、それに
あえて乗る人たちは、単な
る懐古趣味的ノスタルジー
を求めているのではなく、
車そのものが現代車とは違
う乗り味だからかと思いま
すよ。
実際に乗ってみると、過剰
デバイスなどは一切無いシ
ンプルな車づくりだけど、
現代車よりもずっと人間に
寄り添った乗り物であった
ことがつぶさに分かる。
現代の二輪車も良い物は良
いでしょうが、古い時代の
二輪の味は実現できないと
いう「未完成だった時代の
良質性」が再現できないと
いう未到達点が多すぎる程
ある。
現代車は進化したように思
えて、実はその未達成部分
が多くを占める車両になっ
てしまっている。
一見、人に優しい乗り物と
いう虚飾を身にまといなが
ら。
何しろ、おせっかいな装置
が過剰につき過ぎている。
それは真に人に優しいので
はなく、人の人間力、進化
した二足歩行の知的生命体
の能力を減退させる方向に
作用している。
そうした内実は、真実の部
分で「人の事を考えた車」
ではない。
人間の成長をスポイルする
からだ。
でも、車両の選択は乗る人
の好みかと思いますよ。
現代車でも旧車でも、大切
なのは「乗って走る」事。
買っても乗らない人が実は
かなりいたりもするけど、
二輪車は乗って走らせて初
めて人の生活に「共存」し
ている事が実感できるし、
実態としても名実共に実体
が存在する。
人が乗って走る事に実があ
る。
二輪車の真実の実が。