キューテックやジョニー・アーチャー・
シグネイチャー・モデルのスコーピオン
などは、かつてはグラスファイバーで
メイプルがシールドされたシャフトだ
った。
このシャフトは好みが分かれていた。
総体的には評価は低く、「使えない
キュー」などとも揶揄されていた。
だが、特性を概括的に説明せんと
包括的に言うならば「コシが強い
キュー」となる。手玉をピュンと
持って行く。押し引きは特筆物だ。
だが、逆ヒネリを入れた場合には、
ノーマル・ソリッド・スタンダード・
シャフトよりも手玉に横跳びが出る。
ところが、イングリッシュはよく乗る
し、押し引きもキュー切れ大魔王の
ような玉筋を出すことができる。
アーチャーのように。
妙なキュー。
私は嫌いではない。
そして、こんな玉も撞けてしまう。
逆入れなので合わせの具合を掴むの
に度数感知の自己能力を上げる事と
撞き込みの慣れが必要だが、このよう
な通常とはかけ離れた玉筋を撞く事
が可能なキューだ。
一般的なキューだと、逆ヒネリを入れ
て押しても、手玉はラックエリア付近
の中央へ戻るコースとなる。
このグラスシールドシャフトは、トビ
は大きいのだが、それを使いこなすと
TAD以上の変化球を繰り出せる。
キュー先はサイドポケットの左端あた
りまで向くほどに見越しを取るマック
ス押し左ヒネリだ。
するとキュキュッと出る。
手玉が逆振りだったら真上押しで、
入れ穴側の長クッションに2-3クッショ
ンUターンしてトトンと入り4番にレー
ルに沿うように出せる。こちらの順振
りのトトンスー出しは他のキューでも
簡単にできるが、逆のイングリッシュ
利かしでの押し出しはよほどキュー
を切らないと出せない。
真上撞きでのキュー切らしの場合には、
長クッションに入って戻ってからU
ターンしてまた長クッションに向かう。
いわゆる平撞きのマッセのような
軌道の玉筋。
そういうのが簡単にできるキュー。
変態キューのようで面白い(笑)。
芯撞きしたらそのキューの独自の音質
が判る。
これは私の個体のみかもしれないが、
私のアーチャー・モデルは、撞くと
「スピン」という透き通る高音が
する。
こうした濁らない澄んだ高音を発する
キューは、プレーに際して気持ちが引
き締まるし、モチベーションも上がる。
音の要素は、キューの動き以上に大切
な要素かもしれない。
ある世界チャンピオンはキュー選びの
基準を尋ねられて、インタビューで
「サウンド」と答えていた。
なるほど頷ける。
どんなに動きが良いキューでも、音が
ペシペシ音だったりボンボン音だった
りしたら、なんだかなぁ、というのは
ある。