東京のいとこ姉の包丁を研いだ。
全部で7本。
全て試し切りしたが、特に菜切りが
気持ち悪いほどにべらぼーに切れる。
これは鋼の質というよりも薄刃ゆえ
でしょうね。無抵抗のように食材に
入って行く。
私が大学進学時に約10年ぶりに自分用
包丁として買った包丁は角型薄刃だ。
高田馬場の金物屋で買った。
角型薄刃というのは、なんか変な鎬筋
があるやつ。
このような特化包丁を唯一一丁物とし
て自炊用に選択したのは失敗だった。
野菜しきゃ切れやしねえ(笑
前略サブちゃんの毎度の玉ねぎ切り
のように。
これが鎌型だったならば、まだ文化
包丁のようにも使えたのに。
そんでも、週末に部屋に泊まりに来て
た高校生の彼女は、それでうまいこと
飯作ってくれてたりした。下宿のみんな
にも振舞ったりしてさ。
映画『時をかける少女 2010』に出て
来たような下宿だったけどさ。
でも、その次からは彼女は自分の包丁を
持って来てたから、「あ~、やっぱ使い
にくいのか~」とか思ったあれは1979年。
で、角型薄刃などは本来は何に使うの
かってーと、こんなことに使う。
この『武士の献立』の時代には角型
薄刃包丁は存在していないけどね(笑
まあ、大根のかつら剥きとか椎茸とか
野菜などを切るのに特化した包丁だ。
鎌型ならば細工とかもできるが、先が
まっ平らなので使い方も限定される。
野菜を「切断」するための包丁だ。
それを考えると、1960年代呼称「文化
包丁」、その後の進化発展呼称「三徳
包丁」というものは非常に優れている。
汎用ナイフのようなものだ。
まあ包丁はクッキングナイフ、キッチン
ナイフのいわゆるナイフなんだけどさ。
キャンプなどでも、料理に一番使い
安いのは包丁だ。いわゆるナイフでは
ない。
日本の包丁は料理に特化して進化した
刃物であるので、非常に優れている。
元々の包丁は刀子(とうす)という
小さな刀のような姿だったんだけどね。
これは奈良時代から江戸時代始まり
あたりまで。
今の包丁の形状は、イクサが無くなった
平和な時代になって廃業した堺の鉄砲
鍛冶たちが作ったのがベースになって
いるのよね。
それまでも、アゴ付きの包丁はあるに
はあったが、堺の包丁がやはり使い勝手
が良かったのでしょうね。土産物として
大人気で大ヒット商品となっていた。
当時は「堺土産」として特産工芸品で、
やがて堺のいろいろな形状の包丁が全国
に普及した。たばこ包丁なんて人気の
特化物から料理包丁まで幅広かった。
それ以前にもアゴのついた幅広い刀身
の包丁というのは、室町末期にすでに
菜切り包丁みたいなのが存在した。
これは福井で発見されているらしい。
一番新しいのはいわゆる昭和時代に
登場の三徳(旧呼称文化包丁)だが、
意外と柳刃の誕生が新しい。柳刃は
明治維新以降に誕生した。江戸期には
存在しなかった。
江戸時代までは短刀のような形の包丁
しか一般的には無かった。例外は菜切り
型のみ。
「信長のシェフ」で出刃を使ったりとか
あり得ないわけ。
出刃は徳川政権出来て以降の誕生だから。
菜切りで料理するのならばいいけど、
タイムスリップしたらすでに国内に出刃
包丁や現代刃物がそこにあったし(笑)
時代考証がしどすぎる漫画だった。
日本の現在の包丁の形状の歴史は案外
浅くて、江戸時代後半中期に登場した
堺の包丁が発信源だ。
思うに、たぶん鉄砲カラクリとかいろ
いろな仕組みや形を考えてこしらえる
ことができる鍛冶職人さんたちだった
から、人類史上最大の大発明の日本型
包丁の原型というものを発明できたの
だと思うよ。
そして、今や日本型の包丁は全世界の
クッキングナイフのお手本になっている。
日本の包丁はいい。ほんとよく考えら
れている。
たまたまだが、包丁を作った国に生ま
れて、その包丁で作られた料理を食べ
て生きて行くことができる。
こいつぁ、かなりラッキーだぜ。
日本人に生まれたのはたまたまなので、
自分の手柄ではないから自慢とか誇り
に思ったりする勘違いをすると、みそ汁
で面洗っておとといおいで、のドカンチ
野郎になっちまうのでご注意。
本人の実力や質性ではどうにもならない
生まれや性別や体格等の身体的特徴とか
を自慢に思ったり、それを侮辱したりする
のは人として最低の野郎だからね。気を
付けたほうがいい。
そういうのは江戸弁で「とんちき」とか
「すっとこどっこい」という。