和式打ち刃物の切り出し小刀(こがたな)は、
ナイフでいうならばスカンジグラインド
(セーバー)に近い。それの片刃になる。
日本刀の分類では「切刃(きりは)」造り」
に近い断面形状にあたる。
この日本固有の刃物である切り出し小刀
の切削力、切れ味たるや壮絶なものがあ
る。
特に欠けにくく粘りある鋼にまとめ上げ
る事ができる鍛治職(案外少ない)が作った
刃物の切れ味は、背筋が凍りつく程の切れ
を見せる。
多分、外国人(西洋人も東洋人も中南米も
アフリカも)が使ってみたら、驚愕を覚え
るのではなかろうか。
大袈裟ではなく、それ程切れる。
木材専門に特化された刃物だが、これなく
ば、プロであるならプロである程、彫刻
や細工仕事はできない。洋式ナイフで欄間
など彫れない。細工小刀が必要だ。
この日本の打ち刃物の中でも、片刃の小刀
の切れ味の要因は、鋼と地鉄の種類と鍛治
職の仕事の腕にのみ依拠するものではな
い。根源的な要素が中軸にある。
それは、断面形状だ。
日本人が考え出した断面構造自体が比類
なき切れ味の基本を構成しているのであ
る。
断面形状による物理的な切れ味の原因の
説明は割愛するが、科学的に「切れない
筈がない」という要素を全て備えている
のだ。
そして、それを最大限に活かす仕事を鍛冶
職人がやり抜いて、一つの作品、多くの
製品が初めて生まれる。
それが「日本の刃物」だ。
これぞ、和式刃物の妙かと思う。
日本の刃物は世界一。これ確実。