映画のスタジオで極端なローアングルが必要な場合、スタジオは土ですから、
カメラとキャメラマンとカメラ助手が入れるほどの長方形の穴を掘ります。
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テレビで秋の芸術祭参加番組で題名は忘れましたが、全編ローアングルのドラマがありました。
テレビのスタジオの場合は、リノリューム張りの水平の床ですから、
映画のスタジオのように穴を掘るわけにはいきません。
ローアングルとは、例えば、路地の塀の外から二階の彼女を見上げて話をしている角度のようなものです。
一階の居間のセットの畳の高さをペディスタルドリーに乗ったカメラのレンズの位置の高さに作りました。
居間に座る俳優さんを畳すれすれから見上げる、すなわちローアングルです。
ローアングルはカメラが上を向くことになるので、上からの照明器具が写り込みます。
普通はセットの上から照明を当てるために天井は作りません。
(映画のセットでも天井はありません)
それが、ローアングルになると天井が必要になります。
セットの上を天井で塞がれて照明の当てようがありません…。
照明器具のセッティングが大変でした…。
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テレビカメラも小型のものが出てきて、スポーツの「走り高跳び」で、支柱に小型のカメラをつけたり、
先日のプロ野球オールスターでは、グランドの塁に小型カメラを埋め込んでいました。
この小型カメラを使えば、どんな場所、どんなアングルでもOKになりました。
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映画のローアングルで印象に残るのは、オーソン・ウェルズの『市民ケーン』の一場面です。
会社の広いフロアの場面で、天井がバッチリ写るローアングルでした。
しかも画面がパンフォーカスでした。カメラのレンズを絞り込みます。
照明はどうしたのでしょう。キャメラマンはグレッグ・トーランドでした。
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写真のプロ・カメラマンが大きなスタジオを建設しました。
お披露目で拝見すると、スタジオに長方形のフタがあります。
その蓋を取ると、ローアングル用の穴でした。
8×10(エイトバイテン)のビューカメラが三脚つきで入れる大きな穴でした。
天井が写り込まないようにスタジオは背の高い壁で作られています。
私には新発売の新車をローアングルで撮るぐらいしか思いつきません…。
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