お盆になると必ず思い出す出来事がある。
もう30年も前の事だけど、不思議な体験を再現してみましょう。
当時、歯科医の伯母は病院を息子に譲り、僻地医療の一環で鹿児島は長島町の診療所に赴任していた。
親戚付き合いが苦手な Nori だが、この伯母は稀な存在だったので時々遊びに行ってた。
島と言っても九州本島と橋で繋がっているので、車で行きやすかったこともある。
その夏、車で助手席に元カノを乗せて伯母の診療所を目指した。
8月13日と、お盆の初日だったことを覚えている。
長島の南岸道路は眺めが良く、日中に走れば左手にこんな眺望が楽しめる。
( google street view )
しかしその時は日もとっぷり暮れ、かろうじて空と海と陸がコントラストで識別できるくらいだった。
助手席から海を見ていた元カノが
水平線上に10ほどの光が見えた。
きっとイカ釣りの漁船達だと、この時は思った。
しばらく車の進行方向に視線を戻して車内の会話を続けていたところ
ほんの数十秒だったと思うが、光がかなり近寄ってきてた。
でも、まだこの時点では、港に戻る漁船の光だと思っていた。
今思えば、横一線のまま異様な速度での接近に不自然さを感じてもよかったはずだが・・・
この後ほどなく内陸側へ向かって海岸沿いを離れので、この先は見ていない。
伯母の診療所に着いて
Nori 「漁の明かりを見たよ。島に帰ってくるスピードって速いんだね」
元カノ「私も見ましたよ。奇麗でした」
伯母 ・・・・・・・
「この辺りでお盆に船を出す漁師は いないよ」
「地獄の釜の蓋が開いて、そこに引き込まれると信じてるから・・・」
じっ じゃぁ あれは?
南から帰って来てたということは、南方戦線の兵士達なのかな。
不思議に「怖い」とは感じなかったけど、お盆にしか日本に帰って来れないことへの理不尽さを悲しく思った。
南に戻ることなく、ずっと日本に居れたらいいのに ね