風の詩(kazenouta)2

いつも喜び、たえず祈り、すべてを感謝する
そのような日々を過ごしたい。

深沢七平 「楢山節考」の驚き

2022-10-31 11:22:18 | 文学

いつも私は、月曜日の朝に、聴き逃しで「飛ぶ教室」を聴くのを楽しみにしています。

今朝は、古い名作『楢山節考』が取り上げられていました。

2回映画化されています。1958年と1983年。

子どものころ、両親に連れられてこの映画を見ました。1958年版木下啓介・脚本、監督。

そのときの鮮烈な印象は、ずっと忘れられませんでした。

おりんさん(田中絹代)が、石のかまどの角で歯を砕く場面の、口元の血の色。

山道を、息子に背負われて登っていく姿。

 

けれど、今日驚いたのは、私が映画で、息子(45歳)がお母さん(69歳)を迎えに行ったと思い込んでいたように、

ゲストの伊藤比呂美さんも、18歳ころ見て、ずっと息子が迎えに行ったと思っていたということでした。

 

私はなんだか切ない気がして、原作は読んでいませんでした。

しかし伊藤弘美さんは、原作を確認し、また1983年版の映画も、再確認したが、迎えに行ってなかったと知ったそうです。

 

私は、息子が迎えに行って、そのことを村人から非難されて、

泣く泣くまた山へ連れていった、、、と、ずーっと思い込んでいました。

 

どうも、今日の話では、雪が降ってきて、母親が「自分が山へ行く時には雪が降るよ」と言っていたことを思い出した息子が、

山に残してきた母親にそのことを伝えに行った・・・のでした。

 

そろそろ、勇気を出して、原作を読む時が来たのかもしれません。

高橋源一郎さんによると、とても音楽性のある文章だとか。

 

中央公論新人賞の1956年第1回の受賞作で、選考委員たちに衝撃を与えたという。

 ちなみに、その時の選考委員は、三島由紀夫、伊藤整、武田泰淳。

 

姥捨て伝説、、、そして最初に紹介された映画

「PLAN 75」早川千絵 監督・脚本、 主演 倍賞千恵子

2022年6月公開。近未来映画で、2025年75歳になると生死が選べる制度「プラン75」が

 国会で承認されたという・・・・想定。

 

*****早川監督は*****

「自己責任論がはばをきかせている日本の社会において、

社会的に弱い立場にいる人々への風当たりが強く、

どんどん不寛容な社会になっていっていると感じていました」と語る。

“不寛容”は、コロナ禍においてより一般的な問題意識になってきたところがあるものの、

それ以前から顕在化していた。

********************

 

問題作といわれるこの映画、

 あなたは、ご覧になりましたか?

  ご覧になりますか?

   ご覧になれますか?

私は映画館では、無理。

 水面に映る夕陽 (eriさんからお借りしました)

  この写真は、2回目かもしれません。

  夕日が見たくて。

 


桂枝雀さんと 小佐田定雄さん

2022-10-30 15:43:00 | 芸術

歌舞伎チューンのゲストが、小佐田定雄さんでした。

ホストは、若い中村莟玉(かんぎょく)さん

小佐田定雄さんは、中学のころから桂米朝さんらの落語が好きだったが、

大学を卒業してからは、火災保険のサラリーマンをしていたという。

1977年に、桂枝雀さんに、新作落語「幽霊の辻」を郵送したところ、認められた。

1987年に、二足のわらじだったサラリーマンをやめて、落語作家に専念する。

 この時、桂米朝さんの所に相談に行って、「それもええやないか」と言われた。

 陰で心配してこっそり聞いていた枝雀さんは、ほっとしたという。

2016年8月に上演された、新作歌舞伎「廓話山名屋浦里」(くるわばなし=さとのうわさ やまなやうらざと)は、

原案は、笑福亭鶴瓶さんの「山名屋浦里」で、ブラタモリで吉原を訪れたタモリさんがそこで聞いた話を

鶴瓶さんに、落語にできないかと持ち掛けた話だとか。

原作は、小佐田定雄さんの妻、くまざわあかね。

それをさらに、歌舞伎に・・・ということになり、小佐田さんが鶴瓶さんのその落語を聞いていたら、

鶴瓶さんの顔が、一瞬中村七之助さんの顔に見えて、新作歌舞伎の筋ができたとか。

 

桂枝雀さんは、好きな落語家さんでした。

枝雀さんが、小佐田定雄さんの実力を認めて

客席にいた小佐田さんを指さし、「これからはあの人に書いてもらいます」と言ったという逸話も、

小佐田さん本人ならではのお話。

 

鶴瓶さんと親しい、さだまさしさんとの電話も、声音をまねしての紹介。

さだまさしさんの「檸檬」をリクエスト。

 「檸檬」久しぶりに聞きました。若いころ、私よりももっと若い友人と二人で、

 檸檬をあの場所から投げた、遠い思い出がよみがえりました。

 そこには、たくさんの檸檬がころがっていたとか・・・

 

久しぶりに枝雀さんの落語を聴いてみたくなりました。

 白菊 (親愛なる教え子 杉浦譲治君からお借りしました)

  そろそ各地で、菊花展も始まるのではないでしょうか。

  丹精込めた素晴らしい菊の花。秋の日本にふさわしい凛とした白菊ですね。

  アマチュア写真家としての腕をますます上げておられるようで楽しみです。

  これからも、お写真よろしくお願いいたします。 ありがとうございます。

 

 


こころの時代~「問われる宗教とカルト」

2022-10-29 19:15:28 | キリスト教会

こころの時代は、ときどき録画してあるのを見ます。(たまに興味深いタイトルがあると)

10/9と10/16の2回にわたって、議論された「問われる宗教とカルト」は、

若松英輔さんが出ておられるのを知って、ゆっくり見ることにしました。

NHKで、このような時にかなった事柄を取り上げ、討論(意見を闘わせる)というより、

議論して、課題を追求し深めていく話し合いは、とても良かったです。

 

****こころの時代ホームページより*******

安倍元首相銃撃事件を機に問われる“カルト”そして宗教のありかた。

宗教問題の現場・最前線で活動してきた研究者・宗教者6人が一堂に会し2回シリーズで徹底討論する。

 

前編では、旧統一教会の問題を現場で調査研究してきた櫻井義秀氏、

日本脱カルト協会顧問として学生の救済に尽力してきた川島堅二氏による現場報告を受け、

“カルト”とは何か、宗教との境界はどこにあるのかを探る。

カトリック信徒の批評家・若松英輔氏による問題提起を受け、「反体制」と「反社会」の違いを討論し、

日本社会と世界の政治状況における現代宗教そのものがもつ“ゆがみ”について考えてゆく。進行は小原克博氏。

 

後編は“カルト”問題で浮上してきた宗教そのものの現在地と問題点を考え、宗教とは何かをめぐって議論を交わす。

僧侶である釈徹宗氏が既存宗教集団の“劣化”を問題提起、宗教と政治はどのような関係を持つべきかを論点に、

カトリック信徒で批評家の若松英輔氏が宗教の本来のありかたを提言。

市民のみならず宗教者やメディアが目指すべき「宗教リテラシー」の未来について徹底討論。

後編の進行を務めるのは宗教学者・島薗進氏。

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宗教が、1恐怖 2.搾取 3.拘束 という手段をとったら、それは違うと、若松氏

宗教対話は、1.近景(身近な日常) 2.中景(文化・地域コミュニティ) 3.遠景(聖なるもの)と分類する、釈氏

宗教が、政治に利用されてはならない。 利己的であることが是認されてはいけない。

  救いはお金では買えない。神様はお金はいらないのです。と若松氏

「対話のかなたではなく、かなたでの対話=沈黙を考える=語られざる何かを真剣にとらえなおしてみることを忘れた現代。」

  これは井筒俊彦の著書の言葉の引用

宗教の視座として 1.尊さ 人間の存在の尊さ。これは自分だけでなく、敵にも、万人に与えられている。

         2.等しさ 優秀であることではなく、一人一人の等しさを探求していく。 若松氏。

理解する前に重んじる=わからないけれど、あなたが尊ぶものを、私も尊びます、という姿勢。

自己理解の深化が必要。

深化とは、外に学ぶ余裕、謙虚さ。

嘘(相手が気が付かなければ、こちらの利益を通していってもいいという考え)が、

宗教の発想に入ってしまったらおしまいと、島薗氏。

 

戦後日本の教育は、宗教アレルギーから、ひとつの宗教も教えてこなかった。

そのことが、いとも簡単にカルトの誘いに乗ってしまう原因ではないか。

迷い、疑うという自由もあることを教える宗教であるべきではないか。

 

6人の、自分で深く考え、ほかの人の意見にも耳を傾けることのできる賢者たちの議論は

とても教えられるものでした。

 メモをとりながら聞きましたが、発言者が違っているところもあるかもしれません。すみません。

 ダリア (野口勝利さんからお借りしました)

 

 

 

 


クラッシック カフェも

2022-10-28 20:14:59 | 音楽

朝は、なるべくクラッシックを聴きたいです。

今日は久しぶりに、クラッシック カフェを、聴き逃しラジオで(スマホで)聴きました。

知ってる曲、好きな曲が流れると、嬉しくなります。

ただ、すぐに曲名が思い出せないのは、悲しいけど、仕方ない。

 

ラジオのいいところは、知らない曲や、久しぶりに聞く曲があること。

また、作曲者のことや、その曲が作られた拝啓なども話してくださって

ああ、そうなのか・・・と教えてもらえること。

親近感がわいて来たりします。

 

今朝は、ケント・ナガノの「コッペリア」から始まりました。

フォーレのバイオリンソナタにきたとき、

なんと、サンサーンスがフォーレの先生で、10歳の年の差があるけれど

師弟関係から、友人になったと聞きました。

 へーえ、そんだったのか。

と、また知らないことを知ることができました。

 好奇心は、まだまだ衰えていないかも。体力は、衰えたことを実感しましたが。

 

好奇心といえば、先日の京都府立植物園で、6~7人のカメラを構えた男性が集まっていました。

友人が、何をしているのですか?とたずねたら、

あの木に、オオルリがいるのです。と。

目を上げて見ましたが、オオルリを見ることはできませんでした。

でも、彼らは、じっと、その時を待ち続けているのでした。三脚にカメラを乗せて。

 好奇心を失わないことは、人生を豊かにしてくれるかもしれません。

 オオルリ  (無料写真からお借りしました)

  このあと、瑠璃光院へ行ったのでした。でも、歩き疲れて、へとへとになってしまいました。

 

 


上村松園 序の舞

2022-10-27 11:42:23 | 絵画

ニュースで、2022年の文化勲章の受章者を知りました。

その中に、上村松園さんのお孫さん、上村淳之(うえむらあつし)さん89歳の名前を見ました。

父の上村松篁(うえむらしょうこう)も日本画家で、文化勲章受賞者。

祖母の上村松園は、1948年女性初の文化勲章受賞者です。

 1875年(明治8)4月23日生~1949年(昭和24)8月27日 (74歳没)

「1点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする、香高い珠玉のような絵」を描くことを願っていたという。

 

私が「序の舞」を見て、上村松園に魅かれたのは、いつごろだったか。学生時代であったことは確か。

社会人になってから、友人の部屋に、ほぼ等身大ともいえるほどの大きな「序の舞」の絵(ポスターらしい)が

飾ってあって大変驚いたことがあります。

いまもその部屋を思い出すと、清々しい気持ちになります。

その部屋は特別な部屋で、彼女が聖書を読んだり、瞑想する聖別された部屋でした。

彼女は、子どものころ日本舞踊を習っていたという。

私たちは、すぐに仲良しになりました。

 

お孫さんの上村淳之さんが、どのような画風の絵を描かれるのかは知りませんが、

親子三代で文化勲章受賞者とは、驚きました。

 

 ちなみに、文化功労者に、将棋の加藤一二三さんと、歌手の松任谷由実さんが選ばれたのも、嬉しい。

 松本白鸚(まつもとはくおう)さんは、文化勲章受賞者。

  松本幸四郎を名乗っておられた時の印象が強いです。歌舞伎の方には、受賞者が多い。

芸術の秋。日本の芸術や文化を、大切にしたいと思います。

 序の舞 上村松園   (ウィキペディアからお借りしました)

  東京芸術大学蔵で、重要文化財  1965年昭和40年の切手に採用されている。

  本物を見たいとは、いいませんが、大きな「序の舞」がほしいです。

   気持ちがしゃきっと、しゃんとするように思います。