1日1日感動したことを書きたい

本、音楽、映画、仕事、出会い。1日1日感動したことを書きたい。
人生の黄昏時だから、なおそう思います。

「群狼の舞-満州国演義3」(船戸与一)

2008-03-15 20:26:51 | 
 船戸与一の「群狼の舞-満州国演義3」を読みました。去年の4月に、「風の払暁-満州国演義1」と「事変の夜-満州国演義2」が出て、これが第三巻です。どれも、400ページを超す大作ですが、まだまだ終わりそうにないのです。第4巻に続きます。
 舞台は、満州。物語は、世界恐慌後の経済的な矛盾(農業の疲弊と失業者の増加)を、中国東北地方への侵略を推し進めることによって解決しようとした日本帝国主義と、その侵略を先頭でになった関東軍の動きを縦糸の進んでいきます。文献考証が、しっかり行われていて、物語がとてもリアルなのです。敷島家の四兄弟、長男は奉天総領事館の領事、次男は大陸浪人、三男は奉天憲兵隊中尉、四男は元無政府主義者が、主人公なのですが、それぞれが中国に渡り、関東軍の侵略に関わっていくのです。
 船戸与一は、帝国主義列強の侵略とそれと闘う植民地諸国の民衆の姿をテーマに、多くの作品を発表してきました。侵略と抵抗、二つのパワーが生み出す冷徹な政治の中で、ひとつのコマとして捨てられていく生身の個人の悲しさと切なさを描いてきました。
 さて、この4人、どうなるのでしょうね。悲劇の予感は、漂っているのですが・・・。
 満州にのめり込んでいった日本帝国主義と、イラクののめり込んでいるアメリカの姿が、僕には、ダブってうつっています。

 

 

 

たった1000円とは・・・

2008-03-13 20:47:06 | 経済指標メモ
1ドル、90円台に遂に突入したのですね。
アメリカ経済のうめき声が、聞こえてきます。サブプライム問題の底は
まだまだ見えないし、再度の利下げの後に、もっと円高が進むのでしょうね。
でも、しかし、いかに円高とはいえ、連結ベースで今期に2兆3000億円の
営業利益を稼ぐ見通しのトヨタ自動車の賃上げが、たったの1000円とは開
いた口がふさがらないのです。
大企業の労働分配率(付加価値額に対する人件費の比率)は、50%台前半の
低水準にはりついたまま。それに反して、中小企業の労働分配率は、80%前後。
この数字を見ただけでも、働いている人や中小企業をいじめて、ひとり
利益を上げている大企業の姿が、透けて見えてくるのです。
貧困と格差が、今年も拡大していくのでしょうね・・・・・。
今日は、むかつきモードです



「新しい階級社会 新しい階級闘争」(橋本健二)

2008-03-11 22:12:53 | 
 「新しい階級社会 新しい階級闘争」(橋本健二)を読みました。この本は、「新しい階級社会」へ移行した日本社会の現実を、社会学の実証研究に基づいて、明らかにした本です。筆者は、日本の社会で起きている次の二つの変化を指摘することから、この本を始めます。

  第一の変化  貧困層の激増(日本の貧困率はアメリカについで世界第2位となった)
  第二の変化  挽回できない格差の拡大(親が貧しいと子どもも貧しくなる可能性が高い)

 このような変化の結果、日本の社会は、「格差社会」から、五つの階級からなる「新しい階級社会」になったと、筆者は主張します。

  <五つの階級>
   1.資本家階級  従業員が5人以上の経営者   5.4%
   2.新中間階級  専門職、管理職、管理職につながる男性事務職  19.5%
   3.旧中間階級  自営で農林漁業や商工業を営む人   16.3%
   4.正規労働者階級  正規雇用の労働者   36.7%
   5.アンダークラス  非正規雇用の労働者   22.1%

 「新しい階級社会」とは、資本家階級が被雇用者全体を搾取する一方で、資本家階級とともに新中間階級が労働者階級を搾取し、さらに資本家階級とともに労働者階級まで含んだ正社員全体が、派遣社員・請負社員・フリーターなどのアンダークラスを搾取するという、重層的な搾取関係が成立している社会なのです。
 筆者は、貧困と格差の拡大に闘う主体として、アンダークラスの人たちの中で芽生え始めたユニークな運動を紹介しています。「フリーター全般労働組合」「首都圏青年ユニオン」「派遣ユニオン」「ガテン系連帯」などの労働組合は、従来の労働組合のような縦型の組織ではなく、電子メールやソーシャルネットワーキングサービスを使った、個人加盟の直接参加型のネットワーク組織だそうです。彼らは、貧困と闘うために、シングルマザーや多重債務者、サラ金被害者、生活保護者支援団体、ホームレス支援団体と、積極的に交流を行っているそうです。
 筆者は、搾取者である資本家階級と新中間階級の収入を引き下げることによって、より格差が小さく、転落のリスクも小さい、アンダークラスの人が、なんとか生活してゆける社会をつくっていくことを主張して、この本を終えます。
 今は、ビジネスがほとんどになってしまいましたが、労働組合運動に長い間関わってきた者として、この本は、とても身につまされるものでした。非正規雇用の労働者の労働条件や生活の問題について、日本の労働組合が有効な取り組みができてこなかったこと、貧困と格差の拡大のひとつの原因は、やはりそこにあったと思うのです。
 倒産やリストラの恐怖に怯える多くの労働者の人たち。わずかな年金で暮らす年老いた人たち。
 そして、僕自身、近い将来、リタイアし、年金で暮らす生活を向かえることとなるでしょう。弱い人たちが、安心して暮らしていける社会、それは、より格差が小さく、転落のリスクも小さい社会であると思うのです。
 労働組合運動に携わるすべての人に、ぜひ読んでもらいたい本でした。

 
 
 

 

ソウル南大門

2008-03-10 20:25:20 | 旅行
ソウルで、設計コンサルタントと打ち合わせた後に、少しは観光できるかなと
思っていたのですが、パスポート事件でほとんどできませんでした。
焼けた南大門と南大門市場だけは、大使館の昼休みに回ることができました。

焼けた南大門の前です。復興を願う人たちの寄せ書きがいっぱい書かれていました。

   

   

南大門市場です。「完璧な偽物を売ってます」って、何度も声をかけられました。

   

僕自身、韓国に行くのは三度目です。
前の二回は、労働組合活動をやっている人やNPOの人たちとの交流でした。
仕事での訪問ははじめてなのですが、韓国では、仕事もNPOも労働組合も
会う人、会う人、みんなお酒が強いのです。
それから、みんなとっても熱いのです。
韓国では、自分たちのことを「鍋民族」というそうです。
麗水の人たちの鍋は、ぐつぐつ煮立っておりました。



麗水での食事

2008-03-09 10:35:39 | 旅行
麗水で食べた料理の紹介をしますね。
麗水でしか食べられない珍しいものを食べたいといって
連れて行ってもらった「豚のモツ鍋屋」さんです。

   

これが、もつ鍋。豚の内臓が入ってます。

   

韓国では、やっぱり焼き肉ということで、ご馳走になった焼き肉。

   

飲み過ぎた朝は、絶対にこれですといって連れて行ってもた「ふぐのチゲ」

   

業務提携した会社の社長の自宅でよばれた料理。おくさんが、がんばってくれました。
あわびの料理とイカの足をしゃぶしゃぶの感覚で食べる鍋です。

   

   

韓国の人たちは、とにかくお酒が強くて、お酒が弱い僕にはたいへんな3日間でした。

麗水  世界海洋博

2008-03-08 11:37:20 | 旅行
今回の出張の目的は、業務提携を結んだ麗水の企業との、今後の作業の進め方についての打ち合わせでした。
麗水で、2012年に「世界海洋博」が開催されることになりました。海洋博のテーマは、“生きている海、呼吸する沿岸”ということで、地元の企業や、研究機関、市民団体などが集まって地球温暖化の防止にむけたさまざまな提案を行っていくそうです。
下の写真は、麗水の海と、海洋博の開催用地です。

    

海洋博にむけた特別法が制定されて、右の写真に写っている民家は、強制的に立ち退きになるそうです。
すでに街では、民間企業による大規模リゾート開発とゴルフ場建設が進んでいました。
国立水産科学院や全南大学の海洋研究所、韓国最大の石油会社であるGSカルテックスなどに行って、
いろいろ話をしてきました。地元としては、鉄鋼スラグ(製鉄の過程で出る副産物)を骨材に使った人工漁礁の設置や
藻場の造成、風力エネルギーの利用を検討していきたいとのことでした。僕は、意見を聞かれるごとに、
大規模リゾートとゴルフ場の開発は、海洋博の理念とは、正反対のものだと思うと言って、
まわりの顰蹙を買っていたように思います。ソウルから車で5時間半、釜山から3時間半。
海洋博の終了後に、大規模リゾートがどのような姿になるのか、僕には、否定的なイメージしかわいてこないのです。

まぁ、そんなこんなで、麗水の街の見学と関係団体との一通りの顔合わせをした三日間の麗水滞在でした。

ついでに、麗水の街の夜景です。


パスポート紛失・・・1日遅れて無事帰国

2008-03-07 19:19:54 | 旅行
韓国出張から、ただいま帰国です。
しかし、大変でした・・・予定より1日遅れです。
同行してもらった部下の青年が、帰る日の朝になって、パスポートをなくしたと
報告に来ました。本人、真っ青。僕は、

大急ぎで、警察に紛失届を出して
写真を撮って
ソウルの日本大使館へ。11時についたのだけれど、
午前中の受付は終わっていて、午後は1時半から。
いらいらしながら、昼ご飯食べて、午後一番に受付てもらって
3日間だけ有効の臨時パスポートを発行してもらいました。
この段階で、2時半。
ホテルまでタクシーをとばして帰ったのですが、大渋滞。
ホテル着が、3時45分。丁度きたシャトルバスに飛び乗って
インチョン国際空港まで行っただけれど、ここでも大渋滞で、
空港到着、5時45分。
空港の出入国管理事務所に行って、臨時パスポートに入国のスタンプをもらって
チェックインカウンターに行ったのが6時10分。
JALも大韓航空もアシアナ航空も、関空に飛ぶフライトは
すべてチェックインの時間に間に合わず、
結局空港のそばのホテルで一泊することになりました。

まぁ、帰ってきた今となっては、笑い話だけれど
昨日は1日、はらはらどきどきの連続でした

おかげで、ホテルで、彼ともゆっくり話ができて、
それは、それでよかったのかなぁとも思っています。

というわけで、今日は、お疲れです。



「サブプライム金融危機」(みずほ総合研究所)

2008-03-01 17:41:42 | 
 「サブプライム金融危機」(みずほ総合研究所)を読みました。アメリカの住宅バブルの崩壊に始まる「サブプライム問題」の現状を、6人の研究者が大急ぎでとりまとめた本でした。
 著者たちは、「サブプライム問題は、証券化市場をメインステージにした初めての金融危機であり、そういう意味で<21世紀型金融危機>である」と指摘しています。<21世紀型金融危機>の金融危機は、次の四つの特徴を持っています。

1.証券化は、サブプライムローンにまつわるリスクを多くの投資家に分散した結果、どこにどれだけのリスクがあるかよく分からなくなった。
2.証券化された金融商品が世界各国の投資家に分散保有されたため、サブプライムロ問題の影響が世界的に波及した。
3.証券化の結果、住宅ローンが市場で取引される有価証券に変換し、時価評価が重要になった。
4.証券化商品を担保にして更なる証券化を行い、資金調達するというメカニズムが重層化することによって、信用膨張が起こっていた。

 そして、この信用膨張が、サブプライムローンの焦げ付きによって、逆回転の信用収縮のスパイラルに陥っているというのが、現在の状況なのです。この本の最後の章は、対策に当てられているのですが、金融を緩和する以外に、これといった政策を打ち出せていないアメリカの現状にふれられていました。
 28日、FRBのバーナキン議長が中小銀行が破綻する恐れがあることを議会で証言し、AIGがサブプライムローンで1.5兆円の損失を計上しました。そして、アメリカのダウは、315ドル下げて、円は1ドル103円台に上昇しました。「サブプライム金融危機」は、とどまる気配すら見せていません。
 円高による企業収益の減少と働くものへの犠牲の転化、消費者物価の上昇と賃金の抑制。決して他人事ではない経済の大きな変化に、私たちは、直面しているのだと思った一冊でした。