1日1日感動したことを書きたい

本、音楽、映画、仕事、出会い。1日1日感動したことを書きたい。
人生の黄昏時だから、なおそう思います。

「群狼の舞-満州国演義3」(船戸与一)

2008-03-15 20:26:51 | 
 船戸与一の「群狼の舞-満州国演義3」を読みました。去年の4月に、「風の払暁-満州国演義1」と「事変の夜-満州国演義2」が出て、これが第三巻です。どれも、400ページを超す大作ですが、まだまだ終わりそうにないのです。第4巻に続きます。
 舞台は、満州。物語は、世界恐慌後の経済的な矛盾(農業の疲弊と失業者の増加)を、中国東北地方への侵略を推し進めることによって解決しようとした日本帝国主義と、その侵略を先頭でになった関東軍の動きを縦糸の進んでいきます。文献考証が、しっかり行われていて、物語がとてもリアルなのです。敷島家の四兄弟、長男は奉天総領事館の領事、次男は大陸浪人、三男は奉天憲兵隊中尉、四男は元無政府主義者が、主人公なのですが、それぞれが中国に渡り、関東軍の侵略に関わっていくのです。
 船戸与一は、帝国主義列強の侵略とそれと闘う植民地諸国の民衆の姿をテーマに、多くの作品を発表してきました。侵略と抵抗、二つのパワーが生み出す冷徹な政治の中で、ひとつのコマとして捨てられていく生身の個人の悲しさと切なさを描いてきました。
 さて、この4人、どうなるのでしょうね。悲劇の予感は、漂っているのですが・・・。
 満州にのめり込んでいった日本帝国主義と、イラクののめり込んでいるアメリカの姿が、僕には、ダブってうつっています。