1日1日感動したことを書きたい

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人生の黄昏時だから、なおそう思います。

「サブプライム金融危機」(みずほ総合研究所)

2008-03-01 17:41:42 | 
 「サブプライム金融危機」(みずほ総合研究所)を読みました。アメリカの住宅バブルの崩壊に始まる「サブプライム問題」の現状を、6人の研究者が大急ぎでとりまとめた本でした。
 著者たちは、「サブプライム問題は、証券化市場をメインステージにした初めての金融危機であり、そういう意味で<21世紀型金融危機>である」と指摘しています。<21世紀型金融危機>の金融危機は、次の四つの特徴を持っています。

1.証券化は、サブプライムローンにまつわるリスクを多くの投資家に分散した結果、どこにどれだけのリスクがあるかよく分からなくなった。
2.証券化された金融商品が世界各国の投資家に分散保有されたため、サブプライムロ問題の影響が世界的に波及した。
3.証券化の結果、住宅ローンが市場で取引される有価証券に変換し、時価評価が重要になった。
4.証券化商品を担保にして更なる証券化を行い、資金調達するというメカニズムが重層化することによって、信用膨張が起こっていた。

 そして、この信用膨張が、サブプライムローンの焦げ付きによって、逆回転の信用収縮のスパイラルに陥っているというのが、現在の状況なのです。この本の最後の章は、対策に当てられているのですが、金融を緩和する以外に、これといった政策を打ち出せていないアメリカの現状にふれられていました。
 28日、FRBのバーナキン議長が中小銀行が破綻する恐れがあることを議会で証言し、AIGがサブプライムローンで1.5兆円の損失を計上しました。そして、アメリカのダウは、315ドル下げて、円は1ドル103円台に上昇しました。「サブプライム金融危機」は、とどまる気配すら見せていません。
 円高による企業収益の減少と働くものへの犠牲の転化、消費者物価の上昇と賃金の抑制。決して他人事ではない経済の大きな変化に、私たちは、直面しているのだと思った一冊でした。