「貧困大国アメリカ」(堤未果)を読みました。名著です。
新自由主義政策によって、世界一の貧困大国になったアメリカに対する、
直球勝負のルポルタージュでした。
返済額の急騰によって、家ばかりでなく、すべての財産を奪われた移民労働者。
高額の医療費のために、一つの病気で自己破産に追い込まれた中間所得層。
株式会社化した病院で、日帰り出産を強いられる婦人達。
貧困が原因の肥満に苦しむ子ども達。
民営化と市場原理主義がもたらしたアメリカの現実に、心が寒くなるのです。
私たちが住む日本も、決して人事ではないとも思うのです。
社会保障を削減し、貧困層を拡大再生産し、生活に苦しむ若者を軍隊にリクルートし、イラクに派遣する。
貧困層の弱みにつけ込む「貧困ビジネス」の存在に、怒りがこみ上げてくるのです。
マクドナルドとデパートの経営に打撃を与えた移民労働者のデモや、
民間戦争請負会社で働くフィリピンの移民労働者のストライキや、
「米軍リクルートの嘘」をインターネットでアピールするパンクミュージシャン
の闘いに、あきらめたらあかんのやと勇気づけられるのです。
そして、筆者の次の言葉が、読後に、しっかりと心に残るのです。
「民主主義には二種類がある、と私は思った。
経済重視型の民主主義は大量生産大量廃棄を行うことによって、日常生活の
便利さをもたらした。能力主義で目に見える利益に価値を置くこのやり方を
使うならば、戦争はもっとも効率のよいビッグビジネスになるだろう。
しかし、もう一つ、それとは別の、いのちをものさしにした民主主義という
ものがある。ゴールは環境や人権、人間らしい暮らしに光をあて、一人ひとりが
健やかに幸せに生きられる社会を作り出すこと。前者では国民はなるべくものを
考えないほうが都合よく、その存在は指導者たちにとっての「消費者・捨て駒」
になるが、後者では国民は個人の顔や生きてきた歴史、尊厳を持った「いのち」
として扱われることになる。」
新自由主義政策によって、世界一の貧困大国になったアメリカに対する、
直球勝負のルポルタージュでした。
返済額の急騰によって、家ばかりでなく、すべての財産を奪われた移民労働者。
高額の医療費のために、一つの病気で自己破産に追い込まれた中間所得層。
株式会社化した病院で、日帰り出産を強いられる婦人達。
貧困が原因の肥満に苦しむ子ども達。
民営化と市場原理主義がもたらしたアメリカの現実に、心が寒くなるのです。
私たちが住む日本も、決して人事ではないとも思うのです。
社会保障を削減し、貧困層を拡大再生産し、生活に苦しむ若者を軍隊にリクルートし、イラクに派遣する。
貧困層の弱みにつけ込む「貧困ビジネス」の存在に、怒りがこみ上げてくるのです。
マクドナルドとデパートの経営に打撃を与えた移民労働者のデモや、
民間戦争請負会社で働くフィリピンの移民労働者のストライキや、
「米軍リクルートの嘘」をインターネットでアピールするパンクミュージシャン
の闘いに、あきらめたらあかんのやと勇気づけられるのです。
そして、筆者の次の言葉が、読後に、しっかりと心に残るのです。
「民主主義には二種類がある、と私は思った。
経済重視型の民主主義は大量生産大量廃棄を行うことによって、日常生活の
便利さをもたらした。能力主義で目に見える利益に価値を置くこのやり方を
使うならば、戦争はもっとも効率のよいビッグビジネスになるだろう。
しかし、もう一つ、それとは別の、いのちをものさしにした民主主義という
ものがある。ゴールは環境や人権、人間らしい暮らしに光をあて、一人ひとりが
健やかに幸せに生きられる社会を作り出すこと。前者では国民はなるべくものを
考えないほうが都合よく、その存在は指導者たちにとっての「消費者・捨て駒」
になるが、後者では国民は個人の顔や生きてきた歴史、尊厳を持った「いのち」
として扱われることになる。」
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