第二次大戦後のソビエト・ロシアにおいて、ユダヤ人が迫害を受けてきたことは、よく知られた事実です。この前読んだ、「天職の運命」という本の中にも、そのことは詳しく書かれていました。
1980年のブレジネフ体制下において、オーケストラからユダヤ人を追放するという命令に従わなかったために、オーケストラを解雇され、清掃労働者として働いている元天才指揮者が主人公の物語です。
そんな彼が、30年後にともにオーケストラを解雇になった仲間たちを集め、ボリショイ交響楽団になりしましてパリ公演を行うというお話。演奏曲目は、チャイコフスキーのバイオリン協奏曲。30年ぶりの演奏、リハーサルもなし。うまくいくはずのない演奏が、名演奏に終わるところがフィクションのフィクションたる所以です。なぜ主人公は解雇になり、若き女性ソリストを選んだのか、すべての謎が名演奏の終了とともに明らかになります。
かつての共産党の威光を忘れることができず、お金を出して集会参加者を集める老共産党員がでてきたり、「ほんとうのコミュニズムとは、一人ひとりが力を合わせるオーケストラのなかにある」という主人公の言葉が出てきたり。デュ・ミヘイレアニュ監督は、80年に共産党政権下のルーマニアからフランスに亡命したそうです。感動的な演奏が終わった後に、この映画を作った人たちの、国家によるユダヤ人迫害への抗議と恨みが、しこりのように残ります。
ユダヤ人への迫害は事実だし、共産党の衰退も疑いようのないことなのだけれど、つくりあげられたこの感動に、このまま乗っかっていいのかなと、ふと思った一作でした。
1980年のブレジネフ体制下において、オーケストラからユダヤ人を追放するという命令に従わなかったために、オーケストラを解雇され、清掃労働者として働いている元天才指揮者が主人公の物語です。
そんな彼が、30年後にともにオーケストラを解雇になった仲間たちを集め、ボリショイ交響楽団になりしましてパリ公演を行うというお話。演奏曲目は、チャイコフスキーのバイオリン協奏曲。30年ぶりの演奏、リハーサルもなし。うまくいくはずのない演奏が、名演奏に終わるところがフィクションのフィクションたる所以です。なぜ主人公は解雇になり、若き女性ソリストを選んだのか、すべての謎が名演奏の終了とともに明らかになります。
かつての共産党の威光を忘れることができず、お金を出して集会参加者を集める老共産党員がでてきたり、「ほんとうのコミュニズムとは、一人ひとりが力を合わせるオーケストラのなかにある」という主人公の言葉が出てきたり。デュ・ミヘイレアニュ監督は、80年に共産党政権下のルーマニアからフランスに亡命したそうです。感動的な演奏が終わった後に、この映画を作った人たちの、国家によるユダヤ人迫害への抗議と恨みが、しこりのように残ります。
ユダヤ人への迫害は事実だし、共産党の衰退も疑いようのないことなのだけれど、つくりあげられたこの感動に、このまま乗っかっていいのかなと、ふと思った一作でした。
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