昨夜のNHK「クラッシック音楽館」、パンデミックにより活動休止に追いやられている音楽家たちの苦悩と再生への希求が語られていた。とくに、N響、読響、都響などのように企業や行政の後ろ盾のない自主運営団体の東響などは年間150回以上の公演をこなしているというのだから、公演中止が長引けば収入源が断たれ死活問題であろう。もちろん、室内演奏家やソロ活動家も同様、苦境のうちにあるのだろう。
そのような、状況打開策として、4月8日のこのブログでオイラはネットでの有料コンサートの可能性に触れていたが、この番組でに人気ピアニストの反田恭平さんが登場し、彼が、すでに、この4月1日、チケット1000円での「オンデマンドコンサート」を開催しており、2000人以上の観客を集めていたことを知った。
プロのヒトビトは、このような苦境から抜け出す道をすでに探り始めていたのだ。番組で、どなたかお話しされていたが、「ナチスがソビエトを破壊した大戦時にショスタコーヴィッチが【レニングラード】を生み出したように、破壊から、また何かが再生する。」と。これからの時代、パソコンとイヤホンで聴く音楽もそれなりの音質が楽しめ、むしろ広い演奏会場より細部の音域や息遣いが届くので、地方在住者としては、交通費もかからず、案外いいのかもしれない。演奏家の公演スタイルも、このパンデミックを機に革命的に変わるのかもしれない。
番組には、昨年の調布音楽祭で「後宮からの誘拐」を楽しんだバッハコレギウムの鈴木優人さんもご登場し、「苦境の時に、いつも慰めてくれるのはバッハ」とお話しされ、「われら苦難の極みにある時にも BWV641」というオルガン小品を演奏していた。ググっと胸に響いた。
モーツァルトでもベートーベンでもなく、このような厳しい季節に柔らかな春の光を差し伸べてくれるのは、バッハなのかもしれない。
さらに、番組最後に指揮者のブロムシュテットさんの結び。
「歌を思い出そう。歌を口ずさもう。母から聞いた子守唄のような歌を。」
苦難にあえいでいる音楽家のヒトビトが、視聴者を力づけようとさまざまな声を届けてくれている。1000円程度チケットでのオンデマンドをやっていただけるなら、中止の憂き目にあった聴衆からの支援の波が広がるんではないだろうか。
みゆきさんのラストコンサートは、延期の予定も含め、一切中止となった。1000円とはいかないだろうが、どうだろうオンデマンド。
Youtubeからいただいた鈴木優人さんの演奏
青葉山の遊歩道になかよくデュエットのカタクリ