かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

イーハトーブ花巻での哀しい出来事

2020-04-18 10:39:50 | 日記

今朝の毎日新聞社会面。宮沢賢治記念館や周囲に温泉がある環境が好きで、老後は花巻で暮らしたいと、この4月はじめに東京から移住しようとやってきた70代のⅯさん。東京からやってきたというだけの理由で、入居しようとしたマンションの住民たちから、「しばらく来ないで。」と入居を拒まれたという。さらに、花巻市役所は、何を血迷っているのか、2週間転入届の自粛要請をしていて、すぐに住民登録が叶わなかったとのこと。Ⅿさんは、友人の好意により花巻市土沢の友人の元店舗の2階に仮住まいした。おそらく2週間程度と考えていたのだろう。だが、彼の不幸は、それからだった。11日朝、隣の店舗兼住宅から出火し、仮住まい宅に延焼、Ⅿさんは焼死した。

マンション住人に他人の入居を拒む権利があろうはずがなく、市役所も、何の法的根拠があって入居手続きを拒否したのだろう。その者の2週間隔離を市の責任で見届けてから転入を認めるとでもいうのか、できっこないのに。Ⅿさんは、すでに来花しているのであって、保険や助成金など転入者の諸権利を奪うものであり、おおいに問題である。

なぜこんな哀しい結末を生じたのだろう。現在まで政府は都道府県間の移動を禁じてはいないし、緊急事態宣言発令後さえ、転出・転入を禁じていないのはもちろん、中止要請さえしていない。不要不急の自粛は、旅行や別荘への避難に向けられており、東京から花巻に「ついの住みか」を求めて転居しようとしたⅯさんに、非は全くない。

それなのに、Ⅿさんの行動を身勝手な旅行者や避難者と同列にみて、上のような対応をした花巻のヒトビトには、これまで感染者が県内ではゼロだからといって、何か間違った優性意識が生じていたのではないか。東京都民を一様にバイキンマンとみていなかったか。

何度でもいうように、県境に壁はなく、日本はロックダウンしていない。道路も鉄道も航空路も、何の制約もなく全国から岩手県に通じているのであって、日本政府はコロナウィルスのダダ洩れを日本全土に許容しているのである。なので、すでに、全土、汚染列島なので、岩手だけが別格に守られている特別な土地というものではない。(ファンタジーとして期待はするが。)

たしかに、100万人当たりの感染率は東京が一番高いが、今や、ほとんどの都道府県は感染率上昇中だ。岩手は、感染国土のただなかにあり、都道府県単位という集計上、現在、たまたま感染者が出ていないだけにすぎないことを自覚してもらいたい。

感染率

安倍総理は、昨日の会見で「感染者が多い都市部から地方へ人の流れができるようなことは絶対に避けなければならない」といったが、口先だけで「絶対防止」について何ら手段を講じてはいない。

東京都内の現状はどうだ。今も、通常時の5割程度が電車通勤しており、地方への流入といいながら、感染者の多い都内でのヒトの流れを認め、職場や街から家までのヒトの流れを認めているのだ。これじゃ感染が治まるわけはないし、日本全土に感染者を漏らし続けているといっても過言じゃないだろう。

日本の面積は、377,975㎡、ロックダウン中のカリフォルニア州の面積は、423,970㎡。「絶対防止」というなら、全国に緊急事態宣言を出した今、統治者は、東京だ、岩手だという島国根性を捨てて、日本全土に「接触8割減」と「経済的ダメージ」をできるだけ救済していくという「強いメッセージ」を今すぐ発すべきなのだろう。

為政者たちが、グダグダ、あいまいな政策とメッセージを出し続けているので、岩手のヒトにも変な島国根性と優性意識がいつの間にか生じて、Ⅿさんのような犠牲者を出したのではないか。(Ⅿさんの結果を知った花巻んヒトもつらいだろうに。彼らも犠牲者だ。)

東京大空襲で焼け出された高村光太郎さんを、家族ぐるみで優しく迎い入れ、終戦直前に花巻も空襲にあったのに、高村さんの命と賢治の原稿を必死に守り、戦後、皆が生きるのも辛いのに、高村さんの独居を手伝った賢治の父政次郎さんや弟の清六さんをはじめとする花巻のヒトビトが、Ⅿさんの出来事を星空で聞いたらなんと答えるのだろうな。


青葉山2020、4月17日、午後の光を受けて

ナガハシスミレ(長嘴菫)

 

 

カタクリとナガハシスミレ

 

ウグイスカグラ(鶯神楽)

 

 

 

 


 

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