かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

クマさんの脅威を知らず無邪気に歩いていた北東北の山々

2024-05-22 21:24:56 | 日記

もう40年前の話になるかな。

仕事の関係で青森の港町八戸に4年間住んでいた。

そこの街の山岳会に4年間所属していた。あまり大人数の会山行はその当時から積極的ではなかったが、会所属の仲間の二人、三人とは毎週のように車を運転し山に行った。

そこの仲間たちのホームグランドは、八甲田と十和田湖周囲の山々だった。

十和田湖周辺の山々については、すぐに名前が出てこなかったが、十和田山(とわだやま・1053m)や十和利山(とわりさん・990m)という名前だけは記憶のうちにあった。

今、その周辺を地図アプリで眺めていると、懐かしい山の名前がいくつか拾えた。

新郷村の戸来岳(へらいだけ・1144m)や田子町の四角岳(しかくだけ・1003m)など。

それぞれの山が標高は低いが独立峰的にポッコリしていて、山頂は低いネマガリダケなどに覆われて展望がよく、八甲田や十和田湖、八幡平が見渡せ、勤労者が土日に遊ぶのはもってこいの山々だった。

青森にいたので、それらすべてが青森の山だと思っていたが、今地図を確認すると、十和田山を除くと隣県秋田県の鹿角市や岩手県の現在の八幡平市など県境を分けていた。

そして、この県境を接した山々の秋田県側の鹿角市なのだが、現在までクマさん(ツキノワグマ)による人身被害で名をはせた「不名誉な」山域として全国的に名を知られるようになっている。

先週も、十和田湖南岸に近い鹿角市大湯大平(おおたい)というところにタケノコ採りにいった年配の男性が行方不明になり、なんでも顔に傷を受けて意識不明の状態いたとの連絡を受けて、警察官2名が救出に向かったところクマに襲われ二人とも重軽症を負ったというニュースが流れた。

その後、この地域を中心として広範な地域が閉鎖されているということである。

そして思い出されるのが、2016年の今時分に起こった十和利山周辺でクマによる大事件。数日の間に4名の方が亡くなって、4名の方が重軽傷を負った。ツキノワグマ関連事故としては史上最大のものだという。

そして記憶に焼き付けないとならないことは、全員がタケノコ採りにきていた地元の人々だということだ。ネマガリダケの新芽は青森時代にいただいたことがあるが、鍋などに入れて食べるととても柔らかく香ばしく、北東北の人々にとっても愛される山菜だった。

なんでも収穫したタケノコは地元の青果業者等に高く買い取られて、地元の老人たちのいい稼ぎになるとも聞いたし、サラリーマンも年休をとってこれに勤しむものもあるとかで、40年前にも、5月から6月にかけて上記の山々の山中にたくさんのタケノコ採り(主に年配の男女)が車で駆けつけていたと記憶している。

ヤブ漕ぎをした登山者なら思い出すだろうが、あの密に生い茂ったネマガリダケのヤブに分け入ってタケノコを捜しながら歩くのは進むのも折り返すのも大変なアルバイトを要するのであって、なまけもんのオイラなんか「決してタケノコだけは取るまい」と心で誓ったものだ。(今でも、山菜やキノコをといった山の幸を愛するがタケノコだけは眼中にない・・・)

そして、このタケノコをこの時季クマさんたちも目の色を変えて掘り出して食べるのだという。

おそらくだが、同じエリアに侵入してきてクマさんの好物を横取りしているヤツらを許せなかったのではないだろうか。

それが、第一の反応だとは思いたい。

そして、雑食である彼らは、倒してしまった相手を何気なくいただいたところ、ヒトも彼らの糧になってくれると「学習」したのではないだろうか。当時襲ったクマは、「スーパーK(鹿角だからK)」と名付けられておそれられていたという。(添付の読売オンラインに詳しい)

たとえ、当時8人を襲った個体が駆除されたとしても、あるいは子や親族といった子孫たちに「学習内容」が引き継がられて現在に至っているのではないのだろうか・・・

こないだ、岩手の湯治宿でお話をしたオジサンは、「かつて、北海道から凶暴なヒグマが日本海側の青森や秋田に渡ってきて、彼らのDNAが今のツキノワグマに引き継がれている。」とウソかホントか真顔で語ってくれた。

40年前には、北海道のヒグマを除いて、まったくクマの脅威を感じず、クマ鈴さえも鳴らさずにオイラたちはあの周辺を歩いていたな。ネマガリダケの原に作られた登山道を踏みながら。

クマの気配を気にせず歩いていたあのころの屈託のない時代につくづく戻りたいと思うこの頃である。

いま、八戸の山岳会のあの当時の仲間はどうしているだろう。オイラと同じく、皆年老いて弱気になっているのだろうか。

鹿角市ホームページ

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