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欧州リーグの事情11     

2017-10-13 00:01:51 | サッカー(J3以下・外国・他カテゴリ)

 リスペクト(事例紹介)コラムです。
 もう4年前のコラムですが、たまたま目に留まりました。スルーしても良かったのですが、2017年の今でも十分感じ取れるいい内容だったので、あえて紹介させていただきました。ヨーロッパの主要リーグであるラ・リーガことスペインリーグですが、フットボールチャンネルの物騒なコラムでした。国内の複数クラブの経営アドバイザーを務めるバルセロナ大のホセ・マリア・ガイ教授へのインタビューコラムです。まさに商業主義の未来の末路を思い起こさせるような内容です。あくまで4年前の内容ですから。以下、引用して紹介。
   
【「余命5年」 “ 死”に近づくリーガ・エスパニョーラ】
〔スペインのクラブが負債を重ねた理由とは?〕
「――現在のスペインクラブの負債状況について教えてください。
『1部20クラブの負債総額は36億ユーロとなっていますが、その額は日増しに上昇していますし、とても高い負債総額です。ただ、負債の問題というのはその額が多い、少ないということではなく、ビジネスシーンでよく言われるようにその負債に対する適切な対処法を持っているかどうかが問題です。
 負債は返済、精算しなければいけませんが、スペインの大半のクラブにはキャッシュフロー(自己資金)がありません。そうなると負債を返済することが難しくなります。バルセロナ、レアル・マドリーはリソース(財源)がありますから返済に何の問題もありませんが、二強以外のクラブには厳しい状況です」
――なぜスペインのクラブはこれほどの負債を積み重ねてきたのですか?
『監査機関であるべきLFPのコントロールが存在しないからです。LFPはクラブの経営状態に興味を持たず、悪化するクラブ財政にそっぽを向いて、モンスターのような不健全経営と負債を長年見過ごしてきました』
――財務省に未払いとなっている負債総額にも驚かされます。
『はい。総額7億5200万ユーロです。現実問題、多くの1部クラブに支払い能力がありません。これまで政権政党がこのテーマを完全に放置してきたことで、財務省に対する負債を雪だるま式に増やしてきました。』」

〔不況でも高級車に乗れる選手〕
「『――スペイン政府は長年、サッカークラブに特別な取り計らいをしてきたということですね?
『はい。なぜなら、もし政府がサッカークラブやサッカーに対して強気の行動に出れば、市民であるファンが抗議行動に出るからです。スペインの政治家は、そもそも何の解決もできない存在なのですが、解決のための取り組みがなされないテーマの一つがサッカーなのです。なぜなら、政治家に恐怖心を与えるほど社会的に大きな影響力を持つものだからです』」
「――こうした状況下で選手は依然として高額の年俸を受け取っています。
『クラブが事実上破産し、返済不履行な状況となっている時に、選手たちはポルシェやフェラーリで練習場に出勤してきます。彼らは危機に瀕する会社の労働者でありながら、事の深刻さを理解していません。私は、サッカー界が強い姿勢を持って高額なサラリーに歯止めをかける必要があると考えています。社会では、公務員の給料がカットされており、民間企業でも大幅なリストラが断行されています。1部クラブの財務内容を見た時、人件費の高さに驚かされることがありますし、少なくないクラブが収入の100%を超える人件費となっています。
 人件費だけで収入以上の額となっている場合、これは破産状態にあると言うことができます。2部に関して言うならば、アマチュアの経営形態を導入する必要もあるでしょう』
――スペインのクラブの中でトップサラリー制度を採用しているクラブはありますか?
『トップサラリー制を導入しているクラブはありますが、選手はその原因を理解していませんので、私は選手のマネージャーやエージェントと話す必要があると思います。選手というのはクラブのバランスシートを見て、そうした高額の年俸を支払う能力がないとわかっている時でも、それは他人事だと考えています。』」

〔離れていくサッカーファン〕
「――もうサッカー界を社会から隔離できない時期に来ているということですね?
『そうです。実際サッカー界からファンが離れていっている理由の一つが、子供たちにとって選手があまりに遠い存在であることです。私が子供の頃は憧れの選手のサインをもらったり、握手をしたりすることは比較的容易いことでした。ただ、今の選手はクリスタル製のケージの中に囲われているような存在です。つまり、一般社会とのコンタクトを持っていません。エスパニョールで働いていた時から常に言っていることなのですが、選手たちは週に1日は学校訪問をして、子供と遊び、子供にチケットをプレゼントすべきです。
 それによって子供たちは選手に憧れを持ちます。今は選手と話すこともできず、選手は神様のように扱われています。これは由々しき事態で、選手会は何らかの行動を取るべきです。選手やクラブ側がもっとファンに近づく努力をするべきです』
――スペインサッカー界の近い将来と遠い将来の展望をお聞かせ下さい。
『近い将来は、話してきた通り、バルセロナとレアル・マドリーの二強状態が少なくとも2、3年は続くでしょうし、その2、3年で大きな問題が発生するでしょう。それはこれまで述べてきたような問題です。クラブによっては経営的に耐えられないクラブも出てくるでしょうね。
 リーガというコンテンツそのものを完全リフォームする必要があるでしょう。どういう形であれ、変化は必要です。それは、コンペティティブなリーグにするための変化です。バルセロナもレアル・マドリーも最終的には、犠牲が必要だということを理解すべきです。』」
引用:フットボールチャンネル

 という内容でした。4年前の話ながら、正直ショッキングでしたね。スペインがそうであったら、プレミアとかセリエAとかどうなの?と思ってしまいます。スペインリーグにはクラブライセンスのような制度がないんでしょうね。LFPという監査機関があるようですが、機能していないようです。やはりチェック機能は重要ですね。読者の皆さんの地元クラブにはチェック機能が働く諮問組織(後援会とか)はちゃんとありますか? 無いところは自浄できずに100年続かないのではないですか。
 そういう意味ではブンデスリーガは素晴らしいプロリーグですね。観客動員も世界一だし。バルサとレアルの2大クラブとそれ以外のクラブとの格差が相当大きいようです。たしかJリーグも世界に通用するメガクラブを作りたいから、DAZNマネーで優勝賞金をかなり増やしています。でも、思惑とは裏腹に一番そうなって欲しかった浦和さんは難しくなり、鹿島さんならまだふさわしいのかもしれませんが、川崎さんや柏・・・ 格差が広がってスペインみたいにならないように柏も優勝しなければいけませんね。どこが優勝するかわからないから面白いという見方もあるのではないでしょうか。でも、それではACLで戦い抜けないというジレンマもあります。スペインはスゴいですね。サッカーが余りにも社会的影響が大きいために国も手出しできないって。

 「子ども達に夢を」というキャッチフレーズをいろいろなクラブで見かけますが、選手とファン・サポーターとの距離感は大きく違う印象です。近いところもあれば、言葉だけで実際はずっと乖離しているところもあるのではと。コラムでもいい事が書かれていますね。「選手たちは週に1日は学校訪問をして、子供と遊び、子供にチケットをプレゼントすべきです」と。当ブログでも「選手はサッカーだけやってればいい」と考える価値観の事を、昔はよく口に出して批評していました。
 「選手会は何らかの行動を取るべきです。選手やクラブ側がもっとファンに近づく努力をするべきです」まさにその通り。「何か自分達が日本を代表するメガクラブと勘違いしていないか?」という声を、ネットかどこかで目にした事があります。地域に根差す価値観とは真逆ですね。いつ、どこでのどういうシーンだったかは忘れましたが、読者の方は何となくわかるでしょう。
 このスペインの話はJクラブにとって、反面教師のいい事例になります。Jリーグはドイツを手本にしたクラブライセンス制度を採用しているから、すぐに心配はありませんが、Jリーグ百年構想というもう一つの基準についてが心配です。モノ・カネばかり追い求める商業主義は当ブログで最も嫌う価値観です。4年前の情報で、このコラムの掲載時に「余命5年」と言っているから、5年目は来季になりますね。それでもまるで今年聞いたような話でした。今日の記事はあくまで参考にして下さい。今のラ・リーガはどういう財政状況なのかな。

コメント
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