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クラブ経営について75

2017-10-06 00:01:28 | サッカー(J3以下・外国・他カテゴリ)

 リスペクト(事例紹介)コラムです。
 Jリーグ百年構想のモデルはドイツ。Jリーグは目を向けるべきはアメリカではなく、ヨーロッパのドイツと言ってきました。当ブログでも時々ドルトムントの紹介記事出ますね。それくらい理想的なクラブですね。またしても、ドルトムントに関するいいコラムが出ました。VICTORY SPORS NEWSから、引用して紹介。長いコラムなので抜粋が大変。
   
【収益は浦和の約7倍! ドルトムントの精緻なブランドマネジメント】
〔地元に愛され、世界中にファンをもつドルトムント〕
「日本代表の香川真司選手が所属するブンデスリーガ1部のボルシア・ドルトムントは、平均観客動員数8万人を超える世界有数のビッグクラブ。平均観客動員数は、世界一を誇る。日本でも知名度が高いスペインのFCバルセロナやレアル・マドリー、英プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドでもこの数字には達していない。
 2015/2016シーズンのアニュアルレポートによれば、クラブの営業収益は3億2432万ユーロ(約422億円、1ユーロ=130円計算)。J1でトップの営業収益を誇る浦和レッズは、約60億円だ。ドルトムントはシーズンチケットが5万5,000枚となっており、チケット収入だけで60億円を稼いでいる。」
 
〔倒産の危機を契機に、ブランドマネジメントに着手〕
「実は、ドルトムントは2005年に倒産しかけている。巨額の放映権収入を見込んで高額年俸選手に投資し続けた結果、約200億円の負債を抱えたのだ。経営陣の交代や資金計画の見直しなど、クラブの抜本的な経営改革に着手して倒産を免れてから、ドルトムントは「ブランドマネジメント」こそが復活を遂げるために必要だと考えた。その中身は、「ドルトムントらしさ」を明確につくることであった。」
「最終的に、現在もクラブの戦略的ブランド管理の土台となっているアイデンティティーは以下のように創出された。
 まずは、クラブの中心となる存在は「Intensity(熱狂的)」。8万人を超える観客を動員するドルトムントは、クラブの創設からサポーターと強固な絆を構築してきた。その情熱は、クラブの象徴となる“熱さ”で幾度もの喜びと悲しみを経験している。
 Intensityを真ん中にして、周囲には3つのアイデンティティーを描いた。「Authenticity(本物)」「Ambition(野心)」「Bonding Force(結束力)」。これらは全て、ドルトムントを象徴する表現であり、軸となる行動規範、価値観を貫いている。」

〔「我々は常にチャレンジャーである」という信念〕
「クラブが発行する公式媒体を見ると、ホームページやパンフレットなどはすべて濃い黄色と黒だけのカラーリングとなっており、デザインに使用されている太い線や文字が「右斜めに上がる」ように表現されている。
 また、文章もふつうのテイストではなく、上述したように“熱狂的な(少々過激な)書き方”をしている。これは、ドルトムントが常にチャレンジし続ける精神のクラブであることを示している。日本語で「右肩上がり」という言葉があるが、現状維持ではなく毎シーズン成長し続けること、常に2番手が1番手を追い抜き(野心を持ち続け)、一体となって撃退したとき(結束力)の快感をサポーターたちと味わえるクラブ、それこそが真のサッカー体験(本物)=ボルシア・ドルトムントであると志した。」
 
〔ドイツの地域密着型クラブとは〕
「Jリーグが生んだ「地域密着」という理念ないし「ホームタウン活動」を通じたJクラブの在り方は、ドイツが原点となっている。Jリーグの公式ホームページでは、今でも「Jクラブの原点はドイツにあります」と記されており、日本におけるサッカーはドイツモデルとされてきた。
 ドルトムントが地域密着型クラブと称されるのは、地元のサポーターから得られる信頼と共感である。8万人もの観客がいるビッグクラブは“共感力”を維持するためにサポーターを消費者扱いしない。倒産しかけた瀕死状態のクラブを支えてくれたサポーターを常に“仲間”として捉え、サポーターの意見を回収する担当者はマーケティング担当にも向き合っている。」
「ブランドマネジメントなくして、縦割り組織のままのクラブが地域貢献活動の数を稼いでも、ファンやサポーターは増えないのだ。」

〔経営母体は、地域住民が会員の非営利スポーツクラブ〕
「ドルトムントが、「われわれは地域に密着している」と声高に言う理由はもう一つある。ブンデスリーガのプロクラブの親会社は、地域住民たちが所属するスポーツクラブからなっているからだ。ドイツは、地域発で自分たちのサッカークラブを作り上げ、そこに暮らす人たちと共に1部リーグに上がってきた歴史がある。
 ドルトムントはプロクラブ(トップチームのみ)を「Borussia Dortmund GmbH&Co.KGaA」と呼ばれる商業法人(日本でいう株式会社の形態)で経営しているが、親会社は非営利法人のスポーツクラブ「BVボルシア09 e.V. ドルトムント」だ。この親組織が、チームのアカデミーや生涯スポーツなど多種目のスポーツ(ドルトムントはハンドボールと卓球クラブを持っている)を有している。
 ブンデスリーガの規約では、地域の非営利法人格のスポーツクラブが資本会社化されたトップチームの議決権を51%以上持つことが条件(ドイツでは「51%ルール」と呼ばれる)とされている。つまり、過半となる議決権は、地域の会員で構成されたクラブ組織が持つ。Jクラブのように筆頭株主が一企業となることは、一部の例外を除いて存在しないのだ。
 ドルトムントのBVボルシア09 e.V.ドルトムントは会員費約8,000円(62ユーロ)で14万5,000人のクラブメンバーが所属している。」

〔デジタルメディアを強化した理由〕
「この51%ルールによって、イングランドやフランスのように民間企業や個人の金満家がオーナーになろうと思っても、仕組み上そうなれない。そのため、ドルトムントは「自分たちで稼ぐ」という意識が強く、スタジアム稼働率99%を誇るビッグクラブに成長してもなお新しいことに挑戦し続けるのである。
 デジタルメディアを強化したことも、それが理由だ。インテンシティー(熱狂的なクラブ)を国内外問わずに伝えるメディアとして、デジタルは非常に重要なツールだ。クラブの公式フェイスブックは現在1,500万人、ツイッターは200万人、Google+が110万人、インスタグラムは420万人のフォロワーを抱える。」
「ドイツ代表の主力選手のマルコ・ロイスやマリオ・ゲッツェは、ドルトムントの育成組織出身だ。そのため“ドルトムントらしさ”を伝える方法は「育成が強い」に定め、サッカースクールを開校させた。」
 
〔香川のマンU移籍で得た教訓とは?〕
「香川真司がドルトムントに来たことはきっかけにすぎず、クラブは日本での事業展開は慎重だ。香川がいるクラブとは思えないマネジメントの考え方を持っており、2倍も3倍も日本での売上が伸びることは期待していない。常に「1.5倍くらいでいい」と定めている。」
「決して傲慢にならず、着実に認知度を高めるスタンス。日本人の有名選手に頼らなくても、ドルトムントのブランド力が日本でゼロになることはない。であれば、クラブのブランドアイデンティティーを地道に浸透させることを優先したのだ。」

〔ドルトムントに学ぶグローカル戦略〕
「以前、川淵三郎氏がJリーグを立ち上げるときに「なぜヨーロッパの中でも特に範を求めたのがドイツだったのか?」と問われ、「ドイツ人はきっちり隅から隅まで精査し、ルールを決める。欧州の中で一番新しくできたプロリーグだから、イングランドなど他のプロリーグのいいとこ取りをした上で、整然としたルールをつくっているに違いないと見込んだ」と公言している。」
「リーグが主体的に各クラブの経営状態を厳格に監視していたため、「興行収入」、「広告スポンサー収入」、「放映権収入」、「移籍による収入」と「その他の収入」の各項目ともに、ほぼ均等にバランスがとれているのだ。
 ドルトムントのようにグローバル事業を展開するステージに入っても、ローカルを無視せず、クラブ独自のブランドをしっかり管理し、アイデンティティーをブレさせず海外のファン・サポーターとの絆もマネジメントするグローカル戦略――我が国のプロスポーツクラブも、ぜひ学ぶべきだろう。」
引用:VICTORY SPORTS NEWS

 かなり参考になる内容でしたね。例えば逆にドルトムントと逆の事になっているところはどういうところかをまずは見てみましょう。あくまで仮定の一般的な比較話ですが、ドルトムントは100年以上続いた成功しているクラブ。逆になっているところはやはり100年続かないという事なのでしょうか。
①議決権51%以上を一スポンサーもしくは一個人オーナーが保持
②デジタルメディア(SNS)を軽視している
③育成型クラブにほど遠い
④営業活動等が上から目線の姿勢。チャレンジャーとは正反対の勘違い
⑤多種目どころかサッカーしか有していない
 という事になります。皆さんの地元クラブは該当していないでしょうねぇ。それにしても51%ルールいいですね。思うに、未来のJクラブはこの51%ルールを、クラブライセンスのように導入堅持すべきです。一スポンサーもしくは一オーナーにより偏った経営になっていてはその時代はしのげても、いつか破たんするのではないでしょうか。広く堅い経営構造が100年継続させるのでは。よく、見てくれが良くても根が張れていなければ、強風が吹いたらすぐに倒れてしまう。見てくれが悪くても、しっかり地域に根が張れていれば、台風が来てもびくともしないとよく書きましたね。

 ドルトムントのもう一つの文化があります。それはサポーター。サポーターが座るゴール裏は「黄色い壁」。日立台にも柏熱地帯が黄色い壁ですが、規模が違います。確かかなり格安な料金なので、誰でもあそこへ行けるが、競争が激しいんじゃなかったかな。いいですね、黄色い壁。いつか本場ドイツの元祖黄色い壁に行ってみたいものです。
ドルトムント関連②:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20170808
   〃      ①:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20150815   

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